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901 洲ノ崎=福岡市西区(福岡県)糸島半島は東端の今津にある入江の口に砂州でできた頼りなげな岬 [岬めぐり]

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 「洲」のつく岬は、全国で16あり、「州」も1つある。「鼻」も「崎」も「の」や「ノ」が入ったのもあるが、これらの岬に共通しているのは、河口などの砂州が発達してできたもの、という生成の過程であろう。また、多くの場合、その周辺にも大きな入江や低湿地帯などがある。
 糸島半島の東の今津から西の前原までの一帯は、益軒が風土記を編纂していた時期には、もう「皆陸地に連れり。近年東西の端は、猶斥残りしが、又既に新田となれり」という状態になっていたわけだ。東西の端については現在もその状態はあまり変わっていないようだ。
 東の今津には、水田の間を流れてきた水流を集めた瑞梅寺川が、大きな入江に注ぐ。西でも泉川が弁天橋をくぐって、唐津湾に注ぎ出る周辺は干拓地のような新田と名のある土地が広がる。
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 西の方はさておき、東のこの入江は、風土記の記述によると、「昔は此津に唐船来り着しかば、今の長崎湊のごとし。さればこそ、村より西の方に入海有。是を唐船洲と云。」として、外国船の避難港のような役割をしていたとにおわせる。
 長崎と比較するのはいささかオーバーとしても、実際、文永の蒙古使節船も、ここに着いているから、博多よりも湊としてはこちらのほうが知られていたのだろうか。
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 洲ノ崎は、その入江の入口の外に細長く飛び出している砂州である。
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 風土記が「亥魔山」と書いていた小山は、現在では「今山」としている。その北にある埋立てでできた横浜という字名の住宅地の端から、今津橋を渡ると、そこから浜崎山の西にかけて4キロ以上も広がる地域が、今津となっている。
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 入江に流れ込んでくる川と、福岡湾の海水の動きがつくりだしたこの地面には、Mapionの厳密な地名表示の区分けによると、なぜか“福岡市西区”とだけで字名がついていない。ここは、今津でもないのか。
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 北の浜崎山の南に、この橋と並ぶようにして海に伸びる洲ノ崎は、はなはだ頼りなげな陸地である。先端部にだけ樹木も茂っていて、地図には神社の記号がある。風土記の編纂者の目にとまるようなところではないが、その頃にはこの砂州もまだできていなかったと考えるほうがスジかもしれない。
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 浜崎山と毘沙門山の間の西麓に続く今津は、古い町のようで、「此所異国の船の来りつどひしを舶し所なればにや。昔の宅地の址、市町の筋多く見ゆ。且廃寺の旧跡も又所々に残れり。今も猶廣き村里にて、民家多く、寺院も十二所あり。」としている。
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 また、これに続いて北の海浜には弘安の頃異族襲来してこれを防ぐために築いた「石畳」が浜の長さに等しく続き、その高さは「二間餘」とし今は海中に埋もれて所々に現れていると記している。また、今津は染匠の家が三十いくつもあり、“今津紺屋”として近郷で有名だったとも…。
 今津の北の長浜海岸は、元寇防塁の西の端になる。毘沙門山の西麓には元軍の死者を埋葬したらしい蒙古塚があり、「∴元寇防塁」の史跡指定も残っている。
 前項の碁石鼻の項では、碁石鼻も毘沙門山のことも、風土記では触れていないと書いていたのだが、別の所にこんな記述を見つけた。毘沙門山はやはり無視できなかったようだ。
 
 今津の上の高き山を毘沙門嶽と云、毘沙門堂あり。村俗の俚語に、今に今津の七不思議有と云。此里に蓼なく●なし。其餘も此類なるべし。未詳。
 
 この“今津の七不思議”というのが、おもしろそうだが、「蓼(たで)なく●(もぐら→旧字が使えない)なし」とは、いったいどういう意味だろう。貝原益軒先生は他も以下同類としつつも、未だ詳らかでないと深入りせず投げている。
 わかるとおもしろいのに、残念だ。こういうことも含めて、伝えて残していくのはなかなか大変なのだ。
 でんでんむしの得意の憶測を働かせてみると、タデは海辺の湿気の多いところにはない、そういう地質だからモグラもいない、ということではないのか。
 けれども、タデ科の植物は水辺などでも好んで育つものがあるらしいので、この説も根拠薄弱か…。

▼国土地理院 電子国土ポータル(Web.NEXT)
33.59371, 130.267111
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dendenmushi.gif九州地方(2012/10/30訪問)

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タグ:福岡県 歴史
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