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891 鐘ノ岬=宗像市鐘崎(福岡県)ちはやぶる鐘の岬を過ぎぬともにわかの大雨のなかに降り込められて [岬めぐり]

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 鐘崎にある鐘ノ岬は、やはり陸繋島なのかと思ったのは、神湊のほうから眺めると東から流れてきた尾根がいったん低くなって途切れ、その先に島のようにくっついていたからでもある。しかし、よく地図をみると、現在は京泊という鐘崎の北の中心となる集落が広がるその付け根は、幅もあるうえ10メートルほどの高度もあるので、どうやらそうではないようだ。この岬の名の起こりは、昔三韓から運んできた鐘が、この沖に沈んでしまった、という伝説による。
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 鐘崎へくるのは二度目である。だから、このブログでは最初のほうで項目にあげていたつもりでいたが、まだだった。前のときは、別の目的もあって、鐘ノ岬の2キロ先に浮かぶ地島へ渡った。地島には、岬はない。そこでネコの写真を撮っていたのだが、それがちょうどデジカメ(という言葉もまだないくらい)初期の頃で、その辺のデータを探すのは大変だ。それで写真が探せなかったのだ。
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 あのときも、どんよりと曇って小雨交じりの日だったが、この日も鐘崎では突然の大雨に見舞われた。このため、港からの写真はなく、鐘ノ岬は神湊からの眺めと、岬の低い尾根を越えて北側の海岸からのものしかない。後者の写真はまだ明るさを残しているが、前者になると厚い雨雲がまだ残っている。いささか変な表現だが、実際に歩いた順とこの記事を書く順序が、まったく逆になっているため、表現もむずかしい。
 この日は、博多駅を早朝に出て、まず遠賀川駅まで行った。そこから芦屋町へ行き、また引き返して今度は海老津駅で降りて波津に向かった。そこからは鐘崎まで海岸を歩いてきて、そこで大雨に遭遇したのだ。もちろん、折りたたみ傘は持ってはいるけれど、それがまったく役に立たないほどの降り方だった。
 鐘崎の大きな漁港に面して、南北約2キロ弱にわたって住宅地が広がるが、その北の端、鐘ノ岬に近いところが京泊と呼ばれる集落である。漁港のほうには雨を避ける場所もないことは、前回の記憶にあったので、二筋ほどある主要道路の一本の道を行くと、軒を突き出した商店があり、ベンチもある。その軒先を借りて、しばらく雨宿りをする。ちょっと軒をお借りしますと声をかけて、ベンチに腰掛けていると、どうぞ中に入ってお休みなさいと親切に女主人が言ってくれる。
 宗像市内もコミュニティバスが走っている。だが、雨と時刻表の両方で、タイミングが合わない。
 中でちょっとお茶と菓子など買って、タクシーの番号を聞くと、すぐ呼んであげるという。雨の話などをしているうちに、この店は京泊の集落にあるただ一軒の商店になってしまった、と女主人がいう。タクシーは待つ間もなくやってきて、神湊に着いた頃には、どうにか少し雨脚も弱くなっていた。そのタクシーのなかには、こんなものが…。こんなところで、安倍貞任に出くわすとは思わなかった…。(が、この人の奥さんの実家が福岡ですから…かな)
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 写真はそういう時系列で、項目の並びとは逆順になっているので、神湊からの鐘ノ岬は雨雲がやっと去ろうかというところで、北面の砂浜からの岬はまだ雨雲がやってくる少し前、ということになる。港からの写真が撮れなかったので、大島の東端にある加代鼻と地島の写真も、神湊からのしかない。
 北の砂浜から見ると、鐘ノ岬のバックには、地島と大島がかぶって写り込んでいる。
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 鐘崎は、大きな漁港である。おそらく、玄界灘沿岸でも一二を争うくらいであろう。この海を縦横に往来していた広義の海人族という言い方ができるとすれば、ここもその重要な根拠地のひとつであったろう。
 志賀の島のところでもふれたように、鐘ノ岬を歌う万葉集の古歌には「ちはやぶる」という枕詞がこの岬につけられているくらいで、いつも穏やかな海ではなかった。万葉の昔から人の往来も盛んだったのは、防人などの当時の人の移動があったからと思われ、同時にこの地域も、日本の歴史のなかで特別の意味を幅広く抱えていることが想像される。
 神湊から鐘崎の間は、さつき松原と長い弓なりの砂浜が続く。ここも歩いてみたかったのだが、この雨ではしかたがない。
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 雨雲の流れる下に横たわる、標高471メートルの湯川山を主峰とする山波は、宗像市と東隣になる岡垣町との境界である。この山麓一帯には、ため池が多く点在しているのは、地下水には恵まれなかったということだろうか。
 この傾向は、境界の山を越えた向こう側の岡垣町でも同様である。
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 京泊の集落から北へは、ちょっとした峠を越えるような形になり、海岸の道を岬を後にして東へ行くと、やがて宗像市と岡垣町の境を越える。

▼国土地理院 電子国土ポータル(Web.NEXT)
33.888195, 130.524386
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dendenmushi.gif九州地方(2012/10/31再訪)

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タグ:福岡県
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