730 猿山崎=輪島市門前町深見(石川県)猿山岬と猿山崎は別の岬でこの付近を能登半島地震が直撃した [岬めぐり]
能登半島の西海岸では、最西端はといえば羽咋郡志賀町の海士岬になるが、その北側では輪島市の猿山岬がひときわ飛び出していて目立っている。そこへ行くには、半島北の輪島市街から海岸線を西から門前町に向かい、皆月海岸、外浦海岸を経て猿山を目指さなければならない。その北ルートではなんとか灯台までの道もあるらしいのだが、南の猿山崎側からは猿山岬へは行くことができない。
そうそう、猿山岬と猿山崎は別なのです。その間は、距離にして2キロも離れていないのだが、南から行く道がなければどうしようもない。
深見から猿山に向かう林道のような道はあるし、お寺のところから登る山道の点線はあるものの、こういう道はうっかり入り込むと大変にヤバいのだ。
北側から猿山岬へ行くルートも、道はあっても交通機関がどうなのだろうか。その道も険しそうだが、とりあえずは、それは次の輪島岬めぐり計画に委せることにして、今回のルートは、猿山崎を北限とすることにしたほうがよい。
国道249号線は、門前町道下からは海岸を離れて、山の中を輪島市街へ向かっており、猿山崎と上長谷崎へは、そこから分かれて北へ行かなければならない。歩いて行けない距離ではないのだが、「ビュー・サンセット」の人が車で送って行くと言ってくれたので、お言葉に甘えることにした。
門前まで行く用があるからという車に便乗したので、遠慮して海岸から分かれるところの門前町道下で降ろしてくれればいいと言ったのだが、宿の人は猿山崎へ行くならそこまで連れて行くという。結局、車で猿山崎へ行き、そこから折り返して、門前のバスターミナルまで運んでもらうことになった。
車に乗る人の感覚と、でんでんむしのようにノロノロと歩く感覚は、かなり違いがあり、道下だろうが猿山崎の深見だろうが、3〜4キロの差はたいした違いではないのであろう。
あるいは、猿山崎へ行く途中で、猿山岬もちょっとだけ見えたのではと思ったが、それはやはりムリ。猿山岬と灯台は、またのお楽しみにとっておこう。
おかげで、らくらくの猿山崎は、100メートルくらいの頂から落ちる出っ張りで、小さな入江と船溜まりを抱えている。集落はあるが、人影はどこにもまったく見えない。赤い自動販売機だけが人のいることの象徴のようにして目立っているだけだった。
岬の港側は植生も見られるが、地図によるとこの岬の北側は、断崖の海岸が猿山岬まで続いている。
送ってくれたの宿の人が、車を運転しながら、「このあたりの道も全部この前の地震で崩れて、長いこと通行止めのままでした」と言う。
一瞬、「この前の」が、2011年の3月ではないことを理解するのに、コンマ数秒かの時間が必要だった。
能登半島は、近年では、1993(平成5)年2月の能登沖地震、そして2007(平成19)年3月の能登半島地震と、二度も大きな地震に見舞われている。
この道が通行不能になるほどの被害であれば、林道も当然使えまい。いわば、実質的に袋小路のようになっている深見の集落に住む人たちは、この道が復旧するまでは、苦労なことだったろう。
能登半島地震の規模は、マグニチュード6.9、輪島市で震度6強。震源は輪島市西南西沖40キロの日本海。
津波の被害はなかったが、まさにこの猿山岬や猿山崎こそが、震央に最接近する陸地だったわけである。
そう思ってみると、猿山崎の頂や海岸の崖崩れのように見えるのも、能登半島地震の痕跡なのかもしれぬ。
▼国土地理院 「地理院地図」
37度18分25.38秒 136度43分27.70秒
北陸地方(2011/09/08 訪問)
これだけ山が海に迫っていると、地震では被害が出そうですね。
道路は完全に直っているみたいですね。
by ナツパパ (2011-12-17 18:31)