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番外:木名峠=尾鷲市早田町(三重県)合図の狼煙は見たか役に立ったか富士は見えたのか [岬めぐり]

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 九鬼氏がここにいたのはわずかの間ではあったが、当然その後も人の営みが絶えることはなかった。この地域が、歴史の大きな舞台になって注目を集めることはまれであっただろうが、山の険しい大台ケ原を避けると、この熊野の端では海が近いところでは比較的穏やかになり、東西(というか南北というか)を結ぶ道も開かれた。
 それでも“熊野古道の難所”としてその名を残す“八鬼山越え”は、その主要な道であったのだろう。つまり、海岸を伝って歩くような平坦な道は、どこにもなかったわけで、山越えの道しかない。それは現在も変わらない。
 今では、先にもふれたように、JR紀勢本線も、国道42号線も311号線も、長いトンネルでここを通過しているので、地図を見ない人にはそれもほとんど気になることもなく通り過ぎて行く。
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 311号線では早田から三木浦への山越えの旧道は、三木浦トンネルで折れ曲がった半島の付け根をぶち抜いて走る。そのトンネルから南はすぐ下りになるので、トンネルを出たところから旧道を経て半島の奥に入って行くには、トンネルからが最短距離だったのだが、次の停留所三木浦小学校前で降りて引き返す。その距離はわずかな登りに過ぎないが、これから先の山道を思うと、少しでも体力を温存しておきたいという気にもなる。kinatoge12.jpg
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 それで、トンネル出たところで…という打診になったわけだが、尾鷲から早田に戻ってきた朝のバスには、ほかの乗客も数人いた。そこで、運転手さんわざわざでんでんむしを車外に呼んで、すまなさそうに断ってきた。心配ご無用。やはりこういうときは、規則には従わなければならない。融通に甘えることはできなかったが、運転手さんの好意だけは充分にいただきました。
 三木浦トンネルを出たところからは、道路も急に広く立派になって、三木浦町、三木里町へとつながっているのだが、旧道に折れてしばらくすると、突然、山の向うになにやら異様な光景が飛び込んできた。この後で、そこへ行くことになるとは、このときにはまだ想像していなかった。
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 これからこの半島の奥に入って、橋掛崎、三木崎という岬を目指したいと、旧道から分かれて進んで行くと、なにやら標識が立っている。
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 木名峠の烽火場跡であるという。地図にはなにも記していないけど、これは寄って見なければならぬ。
 峠の名があるところをみると、ここは三木浦と早田をつなぐ古い道でもあったのだろう。
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 烽火場については、尾鷲市教育委員会のていねいな説明板があるので、それを読むとしよう。
 なるほど…。
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 太平の世の夢を破るのは、たいていの場合、外敵や外圧によることが多い。
 異国船からの脅威に備える海岸警備は、それなりにかなり真剣に行なわれていた、行なわれようとしていたらしい。その痕跡には、岬めぐりでも全国各所で遭遇することもある。砦を築いたり、大砲を備えたり、いろいろだが、烽火とはまた…。
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 峠の樹木は切り払われていて、熊野灘の美しい景色を楽しみながら一休みできるよう、東屋まで設けられている。眼の下に広がるのは早田の入江の北に延びる無名の岬である。見えないけれども右手下が、カラカマノ鼻にあたる。
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 富士山を指し示す標識もあるが、もしここから富士遥拝が可能ならば、富士山が眺められる地としては、いちばん遠く離れたところ、富士山観測の西限になるのであろう。(…と書いていたのだが、10年ほど前に和歌山県色川の富士見峠で観測された、というのがあって、これが西限記録であるらしい。)
 峠の端には、こんな標識がつけられた木があった。このナゾめいた符丁のような情報の意味するところは、いったいナンなのだろう。
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▼国土地理院 「地理院地図」
33度59分22.48秒 136度15分13.66秒
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dendenmushi.gif東海地方(2011/04/13 訪問)

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タグ:三重県
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コメント 6

ナツパパ

海辺から狼煙台まで、息せき切って駆け上がるのは大変だったでしょうね。
狼煙番の役目を負っているのは、名誉なことでしょうが、一方、何かあったら
処分も厳しいのでしょうねえ。
by ナツパパ (2011-07-01 22:14) 

ぱぱくま

狼煙も遠くまで情報を伝えるために、リレー方式で複数拠点を
繋いでいたのでしょうね。晴れた穏やかな日ばかりではないでしょうから
本当に大変なお役目だったと思います。
by ぱぱくま (2011-07-02 12:13) 

つぼっち

狼煙場からの景色が絶景なので、
私なら景色に見とれて狼煙を見逃してしまいそうです。
by つぼっち (2011-07-02 23:13) 

dendenmushi

@狼煙台は、いつも誰かが詰めていなければ、役に立たないと思いますね。それも大変ですよね。
 それとも、緊急時だけのお仕事だったのでしょうかね。それだと、あまり役には立っていなかった…?
by dendenmushi (2011-07-04 05:14) 

dendenmushi

@そう、リレーですよね。そうすると、こういった狼煙台は、ひとつではなく、複数あちこちにあったわけで、それも大変だな。
by dendenmushi (2011-07-04 05:16) 

dendenmushi

@いくら絶景でも、そのうち見飽きてしまうだろうから、だいじょうぶだったんじゃないでしょうか?(笑)
 
by dendenmushi (2011-07-04 05:18) 

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