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614 須郷岬=山本郡八峰町八森・西津軽郡深浦町大字大間越(秋田県・青森県)県境の岬を北へ [岬めぐり]

 「白神山地」という名前を意識するようになったのは、いつの頃からだろうと考えてみても、どうもはっきりしない。こどもの頃から地図を眺めて空想するのが好きだったので、だいたいの主な地名は頭に入っていたはずなのだが、その記憶データベースの中には覚えがない…。
 それもそのはずで、1993(平成5)年の世界遺産登録以前には「弘西山地」という、なにやら“横暴で度し難い”中国の地名のような表記をしていたらしいのだが、それも記憶にはない。
 屋久島とともに日本で初めて世界自然遺産に登録された地域は、青森県南西部から秋田県北西部にまたがる、人の手も加えられず足も入らないブナの原生林からなる山地である。県境を越えてまたがってはいるが、登録地域の4分の3は青森県に属し、秋田県側の該当地は藤里町にあるのみである。
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 ここ県境の須郷岬の秋田県側は、山本郡八峰町(はっぽうちょう)という名前だが、別に八つの峰があるとかいうわけではない。八森町と峰浜村が合併したのでそれぞれの頭の一字をとってくっつけたものである。その合併は、2006(平成18)年のことだったが、こうなったには、名前と町村合併について、実に興味深いいきさつが絡んでいた。
 前項でふれた「あきた白神」駅があり、そして須郷岬がある八峰町は、白神山地の周辺地域、それを展望できる緩衡地域にはあたるものの、厳密には直接関係がない。
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 もともと「白神」の名を合併後の新町名につけようと、最初に考えていたのは、青森県の深浦町と岩崎村であったらしい。なにしろ岩崎村には白神岳や十二湖があるから、ごく自然にそう考えたのだろう。ところが、それに先んじて2004(平成16)年、秋田県能代市と山本郡の七市町村(八森町と峰浜村もこれに参加していた)でつくる合併協議会が新市名「白神市」を名乗ることを決めた。これには、まず青森県側から反発が起こり、青森の「白神山地を守る会」をはじめ、能代側でも「白神市」に反対する市民グループが署名活動を盛り上げる一方、深浦町なども「白神町の名前は使わないので、能代側も考慮してほしい」と要望するなど、大問題になった。
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 能代側の七市町村には、秋田県で唯一世界遺産地域がある藤里町は入っていないので、白神山地とは直接関係のない地域が合併して「白神市」を名乗るのは確かに、かなり恥ずかしい。
 結局、能代市があくまで「白神市」にこだわる合併協議会を離脱してしまう。中心となるべき能代市に一ヌケされた合併協議会は、2005年3月に解散のやむなきにいたり、この構想は1年足らずのごたごたの末に頓挫してしまった。八峰町は、こうした経緯の後に生まれたふたつの町の町のひとつなのである。(これらの経緯については、記憶を『東奥日報』のニュースで確認した。)
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 名前というものは、きわめて重要である。
 名前がまとまらなくて、もめたあげく、合併そのものがオジャンになったケースは、この「白神市」をはじめ、「平泉市」「中央アルプス市」「南セントレア市」「安土市」があり、意外に多い。
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 須郷岬の名前が、どういう謂われによるものかは不明だが、白神山地からつながって西にのびてきた尾根とその上を辿る秋田県と青森県の県境が日本海に迫り、大鉢流山(626メートル)から海に落ちる岩の出っ張りにあたる。
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 五能線と101号線が、並んでそこをよぎっていくところに、「ようこそ青森県へ」という青い看板が立っている。
 須郷岬の前後は、五能線の海岸美の特徴が見られる場所でもある。
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▼国土地理院 「地理院地図」
40度25分42.60秒 139度56分11.78秒
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dendenmushi.gif東北地方(2010/06/29 訪問)

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