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171 長久手岬・こんご崎=男鹿市北浦入道崎(秋田県)野に花の咲くためには [岬めぐり]

 男鹿半島最北端は北浦入道崎という地名になっているが、その集落は北に向かって突き出している岬の東海岸にある。観光地となっている入道崎一帯は、土産物屋や食堂などが行儀よく一列に並んでいる。平日の朝まだ比較的早い時間とあって、広い灯台周辺の園地には誰もいない。向こうで、数人の人が草刈り機をブンブン唸らせている。
 バスの終点は、このいちばん奥のはずれになり、長久手岬・こんご崎はそこから南に向かって1キロちょっと歩いたところにある。
 だいたいが観光地などというものはどこも似たようなもので、観光客という人種が集中する場所は限定されていて、そこから少しはずれると、もうそこは観光地ではなくなる。
 去年の夏に入道崎を訪れたときには、団体行動だったために、もうすぐ先に見えているのに、この1キロ先まで足を伸ばすということができなかった。今回、やっと長久手岬に到達できた。
 格別ここに思い入れがあったわけではないのだが、地図を見ていて「ここはいったいどんなところだろう」というポイントのひとつで記憶にあっただけのことだ。もっとも、ZENRINにはこんご崎は表示されているが長久手岬は無視されている。
 だが、きてみるとここはなかなかすばらしい岬である。

 一面の草地が岬のデコボコを被っていて、木の一本もないなだらかな曲線が海にストンと落ち込んでいる。その先には海と空しかない。草地には、リンドウのような…と一瞬思ったがよく見るとほとんど似ていない釣り鐘型をした青い花や淡いピンクのヤマトナデシコなど、さまざまな野の花が咲いている。ぽつんと立っている古い石碑は、この沖で遭難した漁船員の供養塔らしい。

 灯台よりの一角には、ロープで区画が仕切られていて、男鹿市が植生調査のために立入を禁止している場所もある。自然の草花など植生を調査して、今後の管理に役立てようということなのだろう。
 おそらくここまでは、入道崎園地の続きとして、刈込みなどの手入れがされているのだろう。

 近年は“自然嗜好”が流行であるが、自然というのは人間がナンにもしないでほおっておくのが自然だという考え方は、根強く定着しているようだ。だが、これはどうも違うらしい。森も林も草地も、人間が適度な手入れをして面倒を見てやらなければ、荒れ果てた自然しか残らない。
 一年のうちほんのわずかな一時期にだけ小さな花が咲くこんな美しい岬も、決してほおっておいて自然にできたわけではないのだろう。冬は雪に閉ざされ、冷たい風が吹き荒れることだろう。その風を避けるために木の柵が組まれ、その内側には植林もされている。
 この先、赤島から南へ行くと、もう道沿いには背丈を越す萱草が茂っていたりするので、人間の手入れにも限界があるようだ。こんご崎は、このさらに向こう。

 赤島は、先に男鹿の地層について触れたところでもでてきた、男鹿でいちばん古い地層が露出している場所である。そのとき、ネタ元にした男鹿市教育委員会の地層ガイドの看板が、ここにもある。

 また長久手岬まで戻って、しばらくの間、岬の先端で花の間に立って岩を洗う波を眺めていた。

▼国土地理院 「地理院地図」
39度59分56.88秒 139度41分47.57秒 39度59分21.61秒 139度41分42.17秒
171ながくてこんご-71.jpg
dendenmushi.gif東北地方(2007/09/06 訪問)

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タグ:秋田県
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コメント 2

knaito57

これまでの画像とはちがって、樹木がみえない岬ですね。この緑も枯れると、映画でみたアイルランド辺りの荒涼とした岬風景を連想します。
ここまでくるともう“準秋田県民”か“名誉市民”の資格がありそうですが、まだ県当局からはなにもいってきませんか。私のところには遠からず「江戸川の自然を守る会」(というのがあれば)から感謝状がくると思いますが──。
by knaito57 (2007-10-18 10:13) 

dendenmushi

@木のまったく生えていない岬というのも、よくあることはあるので、まったくめずらしいというわけでもないのです。
 こうしてみると、岬のタイプもいくつかありそうですが…。
 アイルランドですか。なるほどね。小さな島国では、海と陸地のせめぎあう地形はどこか今日点があるかもしれない。あの映画、ね。
by dendenmushi (2007-10-20 08:07) 

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