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111 鴎ヶ鼻(恋人岬)=柏崎市大字青海川(新潟県)鍵を掛けられる愛などないけれど… [岬めぐり]

 福浦と総称される海岸線に沿って、米山駅から数えて二つ目の駅が青海川(おうみがわ)という駅である。例によってここも無人駅だが、鉄道フアンには有名なところらしい。「日本で一番海に近い駅」というキャッチフレーズが、その有名な所以である。普通には、海に近い駅はそうめずらしくないのではないかと考えてしまうが、まことここはホームの柵から下がすぐ海である。それにしてもまたしても、この海岸にもたくさんの漂着ごみが層をなしている。

 鴎ヶ鼻とホテルの平たい建物が、駅から見えているのだが、結構山の上なので電話するとすぐに迎えの車がやってきた。駅からはここも一軒宿のように見えていたが、ホテルに着いてみると、そこはドライブインのような土産物屋のような海鮮市場のようなレストランのような建物が、国道8号線沿いにずらりと並んでいるところだった。
 しかも、目に付くのは「恋人岬」という看板や標識ばかりである。「鴎ヶ鼻」などとは、どこにも書いていない。なるほど、そういうわけか。なんとなくわかってきたぞ。

 全室オーシャンビューで建物の高さは抑えたホテルは、きれいでおしゃれでなかなか気の利いた印象がある。昔の船に使われていた羅針盤や操舵輪などがあちこち飾られている館内は、「ザ・ホテルシーポート」という命名のコンセプトというわけなのか。さっそく岬まで出かけることにして、道を尋ねると、以前はホテルからまっすぐ行けたのだが、今は駐車場からぐるっと回って行かなければならないという。

 整備された遊歩道をしばらく行くと、10万羽(あるいは“匹”というべきか)ものコウモリの住み着いているという洞窟の上を通って下りになり、カラフルな色彩に彩られた岬の先端が見えてきた。それはなんと、恋人たちが永遠の愛を誓って、岬の柵にチェーンを回し厳重に鍵を掛けてぶら下げられた、ハート型のプラスチック・プレートの塊だった。
 こういうのは、パリのポン・ヌフのマネなのだろうが、やたら橋に南京錠をぶら下げることが流行って、困っているところもある。
 永遠の愛などというものはこの世にはなく、ましてそれに鍵を掛けることの無意味さなど、考え及ばぬ若い人たちのゲームにすぎないもので、そんなに真剣なものではないのだろう。しかし、神社の絵馬ほどの厳粛さもない無数のプレートは、岬のそばまでは別ルートの自動車道があるので、ドライブの途中に車で乗りつけたカップルなどが、たくさんの二人の物語を織り出してきたことを物語っている。そこらに残された落書きからは、その多くは年齢層もそう高くはないのだろうと想像できる。

 そういえば「恋人岬」とか、またそれに類する伝説がつくられた場所は、全国あちこちほかにもいくつもあったような気がする。伝説をつくるには、それなりのストーリーが求められるが、小島が点在するこの岬の場合は、「佐渡情話」にひっかけてある。

 おあつらえむきに駅の向こう側には伝説のヒロインゆかりの滝も白く細く見えたりしており、そのこちらには赤い大きな橋がある。なんとなく餘部の鉄橋を思わせるこの橋が米山大橋で、かなり高いところをまたぐ。道の駅や高速道路のICやサービスエリアなど、米山を冠した名前がここらまで広く使われているのは、ちゃんと独立峰の威容が、どこからも眺められているからなのだろう。

 ウエディングも当然のようにやっているホテルは、金曜日の夜だったが、一人旅のでんでんむしのほかは、恋人というムードではない熟年カップル3組と親娘連れくらいしか見なかった。部屋の窓からは、今度は聖ヶ鼻の灯台の点滅する灯がよく見えた。
 翌朝も結構充実の朝食をいただいて、早立ちで駅まで送ってもらう車内で聞いてみると、岬のレストランを含めて、ホテルから海鮮市場まで、全部同じ系列の企業グループが経営しているのだという。なるほど。それで読めた。
 「恋人岬」として売り出す仕掛けも、岬の自然を最大限に保護しつつも、必要な事業施設を整備しようという思いも、それらの間にいわゆる観光地につきものの猥雑さが、比較的感じられなかったのも、ここのグループの経営者の考え方の一端を反映しているのではないか、というような気がなんとなくだがした。
 温泉ではないがお風呂もよかったし、ウエルカム・シャーベットもでたし、部屋にはUCCコーヒーもセットされていたし、リーズナブルだし、このホテル結構気に入りましたよ。
 あ、そうそう。かもめは一羽も見ませんでした。

▼国土地理院 「地理院地図」
37度21分6.69秒 138度29分19.92秒
111かもめがはな-11.jpg
dendenmushi.gif北越地方(2007/04/20 訪問)

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タグ:新潟県
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コメント 2

knaito57

ほかにもあったような気がしますが、恋人岬なんていかにも安っぽいネーミングですねえ。業者の魂胆がみえみえで、行きたい気持も引っ込んじゃう。おじさんには万歳岬のほうがいいです。ところで、そろそろ「厳選・でんでんむしの岬10選」などいかが?
by knaito57 (2007-05-08 10:05) 

dendenmushi

@いやいや。まだまだ…。まず、おおまかにでも日本列島を全部ぐるりと回ってみてからのことでしょう、それは…。
 でも、それはいつのことになるやら…。
 予告:次には伊豆半島の岬、再訪に行きたいですね。
 こうして言っておくと、意地でも行かなければならなくなる。それが溜まると、爆発してパッと出かけられるわけです。
 瞬発力ですね、必要なのは。
by dendenmushi (2007-05-08 10:21) 

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