109 竹ヶ鼻・鬼ヶ鼻=糸魚川市大字外波・大字歌(新潟県)親不知子不知なぜ名ばかりの岬ばかりなのか [岬めぐり]
北陸自動車道は、この親不知近辺では陸地に余地が残されていないので、しかたなく海の中に橋を架けて道をつないで走っている。親不知ICも半分以上海の中である。橋の下に隠れるようにある竹ヶ鼻も、岩がちょっと覗いている名前だけの岬である、といってよい。先ヶ鼻もそうだったが、地図で見ても海岸線の出っ張りなど、まったくといっていいほどない。
実は、北陸本線の親不知駅の東寄りから青海までの間も、親不知と同じ断崖が続いているのだが、こちら側は子不知で、西側の親不知とは区分されていて、両方合わせての「親不知子不知」ということになる。この子不知側にも鬼ヶ鼻という表記が出てくる。
これを含めてどれもこれもこれでは、いかに図々しくてもとうてい「岬」とは呼べないようなところなのだ。
では、どうしてこの場所に、こんな「鼻」という岬を示す地名表記がされているのだろうか。
これからは、でんでんむし得意の憶測だが、地図にこうした名が残されているということは、かつてはここらはそれぞれに岩場が海にせり出した地形をもっていた、ということにほかならない。そのはずであろう。
それが、長年の間に絶え間ない波浪に少しずつ浜が削られ、あるいは地盤が沈下して、本来あった「鼻」というべき地形の特徴は失われていき、地図上にはその名前だけが残った、ということではないだろうか。
今、海中にぽつんぽつんと残る岩は、それを示す名残なのではないかと思われる。
昔の旅人は、この切り立った断崖の下、海岸線の岩場や浜を辿ったのであって、それが唯一の道だった。だからこそ、終始波に洗われながらここを通り抜けなければならず、それ故の難所だったという、もう一つ別の傍証からも言えるだろう。
今、海岸線を通ることのできる道は、まったくなく、現代の旅人はトンネルと橋でここを通る。
▼国土地理院 「地理院地図」
36度59分52.96秒 137度42分38.15秒 37度0分29.73秒 137度44分32.01秒北越地方(2007/04/20 訪問)
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