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079 仙崎=長門市仙崎(山口県)朝やけ小やけだ大漁だ北長門の地名だけど [岬めぐり]

 旅という程のものでもないが、急な所用が生じて出かけなければならないこともある。今回も山口へは、取るものもとりあえず飛び出したし、まったく想定外のコースで予測もしていなかった場所に来ることになってしまった。
 仙崎は二度目なのだが、今回もまた前回と同じく、想定外訪問で人の運転する車に乗って来ることになった。それも不思議な巡り合わせだが、仙崎という場所が、その名の通り地形上からも立派な岬であることに疑いはない。その岬の隅から隅まで、ぎっしりと民家で埋め尽くされているのもめずらしくおもしろい。

 青海島に向けて橋を渡ったすぐに王子山展望台があり、そこからの写真だけ撮ってきたが、目と鼻過ぎて全部が一枚に入らない。今回も青海島の車で行けるとこまで行って戻ってきたというのも実に芸のない話だが、もともと岬めぐりが目的で来たのではないから、しかたがない。
 この場所のことは、結構昔から知っていたが、それはここの名産かまぼこを通じてのことであった。前回来たときには金子みすゞの“か”の字も“み”の字もなかったのに、驚いたねえまったく。
 町中がみすゞだらけである。教科書にその詩が載った(らしい)というのも原因の一つというが、あるときから突然に、大衆がなにかに目覚めたように騒ぎ出し担ぎ上げるのは、近年この国ではますます顕著になっている。
 でも、ここにみすゞを訪ねて来る人のうち、いったい何割が、ちょっと東に外れたところにある香月泰男の絵を見に行くのだろうか。
 合併で市域が拡大した長門市へは、山口宇部空港からバスで新山口(昔は「小郡」といっていたところ)まででて、そこから山陽本線で厚狭まで行き、そこで1時間に1本の1両編成のワンマンカーが走る美祢線に乗り換えて、さらに1時間ごとごと揺られる。
 山口県のほぼ中央を、南北に縦断して走る美祢線の沿線の風景は、あまりにも懐かしく、見飽きない。畑と農家(それも立派な家が多い)がどこまでも続くが、土手の道や畔は冬枯れのなかにも春の楽しさや秋の豊かさを、彷彿とさせている。山々はさほど圧するがごとくでもなく、畑に寄り添うように馴染んでいる。
 天気が悪くなって、途中山越えをする頃には降り出した。この風景は、なにかが違う。なにかが今のほかの田舎の景色と違う。それはなぜだろう?
 雨に煙る山と畑と民家と道とを眺めているうちに、先ほどからの疑問の答えが、ふと浮かんできた。
 どういうわけだか知らない(単に費用対効果の問題かといえば、それだけでもないような気がする)が、とにかくまったくといっていいほど野立看板や広告の類いがないのである。電柱はあるにはあるが、さほど邪魔になっていない。それに、家先や道端や畑の間に、よけいなもの(たとえば資材や廃材や中古車やいるんだかいらないんだかわからないものがごちゃごちゃと)が野積みされていない。どこまでもきれいに片づいている。
 美祢の辺りでは、線路の側に工場が見えた。工場というものは、たいていどこでもなんだかんだいろんなものが置いてあるものだが、そこもきれいに片づいている。もちろん、道端に落ちているのか置いてあるのかわからないようなごみのようなものは、見当たらない。
 これが「美しい国」なのか…。

▼国土地理院 「地理院地図」
34度23分47.72秒 131度11分54.58秒
79せんざき-79.jpg
dendenmushi.gif中国地方(2007/01/30 再訪)

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タグ:山口県
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右左あんつぁん

此処があの有名な「白銀」の古里ですか。
この近くの女性の方が今スペインで暮らしていて、熱烈文通ならぬブログのやり取りをしています。きっと懐かしむでしょう。
by 右左あんつぁん (2007-02-14 16:47) 

dendenmushi

@そうなんですよ、あの「白銀」はここの名産品なんですね。あの歯ごたえは独特ですからね。
仙崎からスペインですか。
前々から思っていることなんですが、「人の描く航跡」というのは、実に不思議なものです。
その人の場合も、聞いてみたくなりますね。

「Q」さん、nice!ありがとう。
by dendenmushi (2007-02-19 08:59) 

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