1586 荒崎ノ鼻=香川郡直島町(香川県)国立公園の第一号は備讃瀬戸を対象とした瀬戸内海国立公園だった [岬めぐり]
岡山県と香川県の間に広がる備讃瀬戸は、日本で最初に国立公園に指定された地域である。1934(昭和9)年の国立公園第一号指定は瀬戸内海国立公園のほか雲仙と霧島の三か所で、富士も箱根も日光も入っていなかった。
現在の瀬戸内海国立公園の領域はぐんと広がっているが、最初の指定時の範囲はこの備讃瀬戸一帯のみで、それこそが瀬戸内海そのものだったわけだ。
今でこそ瀬戸大橋というわかりやすい目印もあるけれど、ただ広く広がる海とそこに点在する島々の景を、まとめて国立公園の第一号に指定したのは、なかなかの慧眼で大きな視野があってのことだったろうと思われる。ちなみに雲仙や霧島は温泉や神話伝説といったポイントがあった。
この備讃瀬戸の真ん中付近で、少し岡山寄りに集まっているのが、直島諸島と呼ばれる27もの島々である。そのうち人が住んでいるのは直島、向島、家島、牛ケ首島、屏風島の5島のみで、残り22島は無人島。無人島がそんなにたくさんあるのか、と思うが数え直してみるまでもあるまい。
歴史的にみると、ここでもいくらかの変遷があって、男木島や女木島もひっくるめられたり、小豆島地域の一部であったこともあるようだ。もともとこの辺りは備前の勢力が及んだり、幕府の直轄地になったりした経緯も絡んで複雑なのだ。
荒崎ノ鼻は、この有人島のひとつである向島の北東端にあたる。フェリーが鞍掛ノ鼻を右手にみる頃から、その進行方向正面に見えてくるのが向島でその奥に連なる山々は直島である。
本島である直島の本村の向かいにある「むかえじま」。同じ漢字表記で同じ意味の尾道の場合は「むかいしま」。東京にある地名は「むこうじま」。こちらの「むかえじま」は、有人島とはいえ人口は十数人でしかないらしい。地図で見ても集落らしい集落もなく、建物がいくつか島の二か所でみられるくらいで、荒崎ノ鼻の周辺もまったくの無人地帯になっている。
すでに植生が茂って崖が崩れた跡のようにも見えるところを覆っているが、岬の東側には岩石の露頭も多くある。あるいはかつて採石場があったのかもしれないが、確かなことはわからない。
鞍掛ノ鼻と荒崎ノ鼻の海峡をフエリーが北西へ進路をとると、家島との間から直島北部を占めている三菱マテリアルの銅製錬所の一帯も視界に入ってくる。
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