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1541 坊崎=姫路市家島町坊勢:坊勢島(兵庫県)連絡船「ぼうぜ2」号でやってきたこの島の伝説など [岬めぐり]

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 「坊勢」と書いて「ぼうぜ」と読むこの島は、名前の通り坊主に由来する言い伝えがあるという。883(元慶7)年に、覚円という僧侶が比叡山からこの島に配流されてきたが、弟子たちが師を慕って数十名も一緒に移り住んできた。それが島の名の起こりなのだそうだ。だが、坊主が大勢やってきても、“いわゆる生産性”は低かっただろうから、それが島の基盤づくりになったわけではない。
 島の名には、もうひとつ別の伝説もある。それは百済王子の子孫が坊勢法師と名乗って海軍の長となってこの島にいたとするものだ。これなどは、海賊の根拠地説を彷彿とさせる。
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 いずれも、坊勢漁業協同組合のサイトにある情報なのだが、古いのは百済のほうが古そうだし、坊主が大勢というのもおもしろい。が、真偽のほどはどちらとも言いがたい。ほんとうに名前というのは、不思議なものだ。
 この島の北端に、低い丘で突き出しているのが坊崎で、その東西両側も防波堤や岸壁を備えた港になっている。前項でもふれたように、坊勢は漁業の島で、その規模の大きいのは西ノ浦で北側の奈座地区にある漁港と合わせ、漁港と集落はほぼ島の北部に集中している。
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 比較的新しく開けた印象のある西ノ浦地区と、昔からあったような奈座地区は30メートルほどの丘を越えて、ほぼ繋がっているが、客船は奈座の桟橋に発着する。乗ってきた「ぼうぜ2」号は、家島航路の連絡船に比べてもひとまわりも小ぶりで古い。坊崎を回り込んで桟橋に着くと、そこで30分の待ち合わせでまた折り返して姫路港へ帰って行く。
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 前部の船室は椅子席で、後部の乗降口のところが半分荷物置き場、半部ベンチになっている。船室の窓が雨としぶきであまりよくないので、まるで渡し船のような雰囲気のベンチのほうがよいのではとも思ったが、後部もガラス窓に囲まれているので、これもどっちがどうとも言いがたかった。ガラスのないのは最後部だが、そこは立ち入り禁止となっている、
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 奈座の桟橋の西側には、なにやら朱塗りの橋で繋がった小島がある。これも坊勢漁業協同組合のサイトによれば、この島は弁天島、別名神権(じんごん)さんと呼ばれているという。漁師の守護神でもある海神・竜神・弁財天が祀られている、神権さんにも伝説がある。
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 無茶な漁ばかりする掟破りの漁師と、その心優しく利発で美しい娘の話で、出漁した父親は大漁で港に帰ってきたが、獲った魚の中には龍神様の使いがいたため、その怒りをかい、突然の暴風雨で小さな舟は転覆しそうになる。いつも無作法な漁をする父親を龍神様が怒っているのだと察した娘は、魚を海に返すよう叫ぶが、父親はせっかく獲ったのにと聞き入れない。娘が竜神様を鎮め父の命を助けるため、自らの身を海に投げ出したところ、水柱が天をも貫くような竜巻が起こった後、嵐はうそのようにおさまり、そこに美しい娘の化身の小島が現れた。そして、父親は心を入れ替え、そこに竜神様を祀り、島の安全と大漁を祈るようになった…というお話。
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 現在でも、坊勢では正月の4日、神海祭(神権祭り)が行なわれているそうだが、いかにも漁業の島らしい伝説ではある。しかし、その話を伝える漁協のサイトでは、その後に続けて「その島にまつわる伝説は意外に地元の人々にも知られていません。」と結んでいた。
 確かに、地元の人が知らなければ、よそ者が知るわけがない。国土地理院の地図では、東の恵美酒神社の記名はあっても神権の記名はなく、鳥居マークがあるだけで、Mapionになるとなんの表記もない。
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 地図によると、そこは陸繋島で、周辺には浅瀬が広がっているらしい。神権さんのところまで行ってみればよかったのだが、雨も降るし、なんとなくめんどくさい気がして、待合室でだらっとしてしまった。
 夏のシーズンには、奈座の桟橋からさらに西に向けて、西島まで渡る船もあるようだが、キャンプ場の利用者など、期間と乗客は限られるらしい。
 帰りの船も、坊崎をまた回り込んで行く。
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▼国土地理院 「地理院地図」
34度39分32.30秒 134度30分55.52秒
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dendenmushi.gif近畿地方(2018/10/10 訪問)

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タグ:兵庫県
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