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1555 丸山鼻=小豆島町堀越(香川県)大石先生の自転車通勤経路も赤鼻・丸山鼻・ウン崎と岬めぐりだが… [岬めぐり]

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 1952(昭和27)年に発表された壺井栄の「二十四の瞳」は、その2年後の木下恵介監督作品をはじめとして、何度も映画化・映像化されていて、今や小豆島といえば「二十四の瞳」というくらい有名になって定着している。ところが、Wikipediaをみると、こう書いている。

小説の舞台は、壺井栄が、その冒頭で「瀬戸内海べりの一寒村」としている。そして、全ページを通じて、一切、舞台の具体的な地名は出てこない。しかし、映画・テレビをあわせて9回映像化された際、原作者壺井栄の故郷が香川県小豆島であることから、これら映像作品では、物語の舞台を「小豆島」と設定した。これにより、「二十四の瞳」と、原作にはない「小豆島」の2つが結びついて広く認識されるようになった。
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 なるほど、そうだったのだ。と、でんでんむしがこれを読んで納得がいったのは、ネット情報に多くある「大石先生の家」から「岬の分教場」までの自転車で通う距離や経路などに、何かしっくりこない疑問を感じていたからなのだ。つまり、原作にはもともとないものを、小豆島の場所のどこかに置き換えようとする無理が、そういういろんな情報を生み出すことになってしまっているのだ。
 改めて、壺井栄の「二十四の瞳」を、青空文庫で読んでみると、確かに「瀬戸内海べりの一寒村」としか書いていないし、個々の場所の設定も極めて限定的かつ抽象的でしかない。
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 百戸あまりの小さなその村は、入り江の海を湖のような形にみせる役をしている細長い岬の、そのとっぱなにあったので、対岸の町や村へゆくには小舟で渡ったり、うねうねとまがりながらつづく岬の山道をてくてく歩いたりせねばならない。交通がすごくふべんなので、小学校の生徒は四年までが村の分教場にゆき、五年になってはじめて、片道五キロの本村の小学校へかようのである。(一 小石先生 青空文庫)
女先生の名は大石久子。湖のような入り江の向こう岸の、大きな一本松のある村の生まれである。岬の村から見る一本松は盆栽の木のように小さく見えたが、その一本松のそばにある家ではお母さんがひとり、娘のつとめぶりを案じてくれている。――と思うと、大石先生の小さなからだは思わず胸をはって、大きく息をすいこみ、
「お母さん!」
 と、心の底から呼びかけたくなる。ついこのあいだのこと、
「岬は遠くて気のどくだけど、一年だけがまんしてください。一年たったら本校へもどしますからな。分教場の苦労は、さきしといたほうがいいですよ」
 亡なくなった父親と友だちの校長先生にそういわれて、一年のしんぼうだと思ってやってきた大石先生である。歩いてかようにはあまりに遠いから、下宿をしてはとすすめられたのを、母子いっしょにくらせるのをただ一つのたのしみにして、市の女学校の師範科の二年を離れてくらしていた母親のことを思い、片道八キロを自転車でかよう決心をした大石先生である。(一 小石先生)
――着物きて、歩いてかよえというのかしら。往復四里(十六キロ)の道を……。(二 魔法の橋 青空文庫)

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 原作にある大石先生の通勤距離は、往復16キロというのだけは確かなようだから、まず岬の分教場のあった場所が田ノ浦だと仮定すると、そこから片道8キロ戻って行く付近に家があることになる。そうしてみると、およそ現在の草壁本町か片城の付近が、母が待つ大石先生の家の場所になる。草壁本町か片城というのは、マルキン醤油のある苗羽(のうま)からは、2.5キロほど北側へ戻ったところだ。そこに一本松があるのかどうかは、わからなかった。
 この辺りからだと自転車で岬の分教場まで通うのは、そう不自然ではないし無理でもない。また、「片道五キロの本村の小学校」というのは、測ってみると苗羽の南の古江付近になる。小説では地名の断定を避けているが、おそらく苗羽が本村ということになるのだろう。
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 赤鼻の先くらいまでは、平坦な海岸沿いの道が続くが、丸山鼻の付近では登り坂になって20メートルのコブを越えなければならない。大石先生の通勤経路ではこの丸山鼻付近がいちばんの難所になっていたことだろう。
 あれっ? でんでんむしもまた原作にはない場所や情景を、現実の小豆島にあてはめて勝手に膨らませてつくってしまっていることになるね。
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▼国土地理院 「地理院地図」
34度27分47.17秒 134度17分46.99秒
スクリーンショット 2018-12-28 10.03.36のコピー.jpg
dendenmushi.gif四国地方(2018/10/11 訪問)

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タグ:香川県
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