1539 堂崎=姫路市家島町宮:家島(兵庫県)観音崎の名も観音堂も道も消えてなく変わらぬものは月ばかり [岬めぐり]
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塩崎とヒシノ鼻を後にした坊勢航路の船は、一路南西へ向かい家島の最南端である堂崎を回り込もうとしている。その堂崎を目指してまっすぐ進んでいるので、男鹿島の最南端である大崎や、さらにその南にある加島のボンノ鼻にはさらに近寄ることなく、だんだん離れていっている。
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どんどん近寄ってくる家島には、堂崎の北側でもなんだか採石場のように山を削った崖が目立つ場所がある。現役の採石場なのか、それともすでにそれを放棄された跡なのかもよくわからないが、家島で採石場のような崖が目立つところはほかにはなく、ここだけだ。家島と坊勢島のさらに西にある西島では、やはり採石は盛んに行なわれているようだ。
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堂崎がかつては家島十景に「観音崎月」として数えられていたところからすると、古くは月の名所でもあったのだろう。しかし、その観音崎の由来となった観音堂がどこにあるのか、あったのか、それを示すものはなにもない。第一、家島の南部はほとんど道も人家もないようなのだ。
ただ、現在のこの岬の名が堂崎であることは、ここに観音堂があったことの確かな証と考えられるのではないだろうか。
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だが、今ではここまでやってくるだけでも大変だ。家島中学と家島高校のある集落付近から山間の谷筋に入って鞍部を越え、採石場らしい場所の南端に出る細い道が一本あるきりだ。そこから岬の場所までは道もない。
家島ではコミュニティバスが走っているが、その宮ルートの路線図を見ると、集落から谷筋に入って行く分かれ道のところ、終点の中学校前のひとつ手前には、なんと「堂崎」という名のバス停があった。堂崎への入口を示しているという意味なのか、それとも…。バス停と堂崎の間は1.8キロほどある。
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堂崎の崖と山から落ちてくる斜面も急で、採石場と思しき辺りの海岸を除いては、建物が建てられるような平坦な場所もない。それでも五浦海岸の六角堂のことを思えば、観音堂のひとつくらいはなんとか建てられたかもしれない。
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堂崎の名は岬とコミュニティバスのバス停に残っているが、それと家島十景にいう観音崎月とを結びつける具体的な情報はないようだ。観音崎も観音堂も道も消えてなくなり、変わらぬものは月ばかり、ということなのか。
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