おにぎり型 iMac から以降Apple が出してきた新製品の主だったもの=記憶遺産Part2-06 [ある編集者の記憶遺産Part2]
素人目にも混乱が見えていると思われたAppleの製品ラインも、ジョブスが復帰した翌年の1998(平成10)年から、さっそく劇的に変化する。それまでAppleの新製品発表も幕張メッセで毎年開かれていたショウに合わせていたが、1998年には東京ビッグサイトでApple単独の新製品発表会が開かれ、それにジョブスがやってきて基調講演をするというので、大騒ぎになった。
でんでんむしも申し込んで、ナマ・ジョブスを見に出かけたが、ものスゴイ人の波で、講演会場に入るまで川の流れのような人の帯に驚いた。後にそのジョブスのスタイルは、プレゼンテーションのモデルとなり、今日に至るまで多くの人が踏襲し参考にしてきたようだ。
当日の目玉が、カラフルな5色のおにぎり型 iMacであった。Yum! Yum! というキャッチも使われていたが、美味しそうなキャンディーをイメージしたものだったという。へそまがりのでんでんむしはこの5色にはない特別仕様のグラファイトが出てすぐ自宅用に買ったのだが、展示会場でそれらを初めて間近に見たときに、遠いかなたからゴロゴロ響いてくる遠雷を聞いたと思った。
やがて、コンピュータとは関係ないものにまで、カラフルな半透明な樹脂のデザインは溢れかえるようになるまで、そう時間はかからなかった。
実は、このときのプレゼンで、ジョブスはMac OS Xのこともちょっとだけ紹介していたのだが、v10.0が出るまでは少し時間がかかったようだ。
おにぎり型 iMac から以降、Apple の出してきた新製品の主だったものは、こんな具合になるだろうか。(大型Power Macの一部省略)
■1998年 iMac G3(おにぎり型5色)。
■1999年 iBook(貝殻型ボディデザインでこれも5色?)。
■2000年 Power Mac G4 Cube(四角い箱)。
■2001年 初代 iPod(カセットテープ大)。Mac OS X v10.0。
■2002年 iMac G4(首振り大福もち型)。eMac。
■2003年 iBook G4。PowerMac G5。
■2004年 iMac G5(液晶と本体が一体化した大型ディスプレイ)。
■2005年 iPod nano、 iPod shuffle(iTunes Music Store)。
■2006年 MacBook(白いポリカーボネートボディ)。MacBook Pro。
■2007年 初代 iPhone。 iPod Touch。
■2008年 MacBook Air。
■2010年 初代 iPad。
このリストのなかでは、iBookとiPod mini、iPod nano、iPod Touch、iBook G4、PowerMac G5それにMacBook Air以外は全部買っていて、使っていた。なかでも、G4 CubeとiMac G4は仕事場では並べて使っていたし、iMac G5が出てからはそれがメインマシンとして働いていた。そして、携帯用には白いMacBookもよく働いた。
そうして、iMac G5を最後にメインもデスクトップ型からラップトップ型のMacBook Pro に切り替わっていった。というのも、もうあまり大きな画面は必要としなくなっていたからだが、そもそもこれだけ次々と新機種を追いかける必要があったのだろうか。
この当時はもう、現役編集者として編集の業務そのものにMac は欠かせない道具となっていた。常に新しい機種を追いかける必要はなかったのだが、不思議と新機種が出る頃には前のマシンに不具合が生じる。そんなこともあって、必要に迫られて切り替えるというケースもあった。
この12年のリストの中で、注目されるのがiPod からiPhone への流れで、Appleが音楽やアプリの配信の基礎をつくり、やがてコンピュータ屋さんから電話器屋さんへとその事業主体を移していくことになったことだろう。でんでんむしも初代 iPhone は使っていたが、猫も杓子もケータイを振り回すようになってきて、へそまががりはさっさとやめてしまった。
その前にも、携帯電話初期の頃にTU-KAの端末を使っていたこともあるが、もともと電話というものがあまり好きではない。ビジネスにも、メールが普及するとそれで充分だ。電話以外にもなんでもできると言われたって、それはコンピュータでもうやっているから必要ない。わざわざ読みにくい小さな画面で、電車の中でまで見たいとは思わない。
とはいえ、PDAへの興味はまだ断続的にあって、PalmOSの端末も試したりしていた。2003年にSONYが出したQWERTYキーボード搭載、折りたたみ型CLIEには、ちょっと期待して買ってみたのだが、やはり実用まで至らなかった。
DTPは早くから実践してきたので、その普及活動にも関わってきたり、人様にもMacを勧めたりして、エバンジェリスト的なこともやっていたのだが、人に勧めるのはやめることにした。だって、考えてみれば余計なお世話だからね…。それでも、おにぎり型iMac は、頼まれたり相談されたりして、秋葉原のイケショップを紹介したりしていた。
そう、イケショップ。Appleが直営店方式に乗り出す前までは、Mac専門店としてユーザーの間ではちょっとした有名店だったのだ。そのショップとの付き合いも、1985年の漢字ROMの時くらいから始まっていたから、これも随分長かった。
アップルストア銀座がオープンするのは、2003年11月のことで、当日は銀座通りから京橋の交差点を曲がって、鍛冶橋近くまで長い長い行列ができたものだった。
もう一つには、システムの変遷がある。この間には、ずいぶんたくさんのシステムのアップグレードや新システムへの移行があった。Mac OS X のように、システムそのものが根本的に様変わりするので、それについていかなけれならないということもあった。これには、戸惑うユーザーも多かったが、ジョブスの哲学では「過去との互換性は画期的な製品進歩の抵抗である」ということらしかった。
そして、もう現役を退いたでんでんむしは、MacBook Pro が一台あればそれで事足りたし、アプリケーションも決まったものだけしか必要でない。それで、システムはアップグレードもしないで10.6.8のまま使い続けるという選択をした。
こうして、話はこの記憶遺産のはじめのほう、
に戻って繋がっていくわけだ。
(2018/08/13 記)
タグ:MAC
「過去との互換性は画期的な製品進歩の抵抗である」は、
パラダイム転換として他領域でも通じますかねぇ(@_@)
by middrinn (2018-08-13 07:41)
@middrinn さん、nice!ボタンがないので、いつも見るだけで失礼していますが、ちゃんと長くてしっかりと時にユーモアたっぷりに書かれた記事を感心しながら拝見していますよ。
「過去との互換性は画期的な製品進歩の抵抗である」は、ほかの分野事項でもいろいろと互換性?があるのではないでしょうか。わずかでも過去との互換性にこだわれば、だからAppleもMacもダメなんだよということになるでしょうからね。
それにしても、パラダイム変換について行くのはなかなか大変ですけど…。
by dendenmushi (2018-08-13 08:04)
「互換性?がある」は、座布団ものですね(〃'∇'〃) 自ら(がしてきたこと)
を否定することでもあるので、「過去との互換性」と決別することは、頭で
解っていても、難しいです(^_^;) 小生が押したnice!からだと思いますが、
拙ブログを訪問して下さっていることは「アクセス解析」の「リンク元」で
気付いておりました(^^) 従来メインブログだった「けふもよむべし あすも
よむべし」の方は毎日更新してるので暇潰しにでも覗いてやって下さい^_^;
このシリーズ記事、非常に興味深いので、次回も愉しみにしております(^^)
by middrinn (2018-08-13 21:42)
@このシリーズは、コンピュータ遍歴の記憶を整理する目的だったのですが、これで現在まできてしまいましたから終わりです。
しかし、これで終わるのもなあ、とどうすべきか思案中です。
by dendenmushi (2018-08-14 08:01)