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番外:数え直し都道府県別分布 岬のある県・ない県・少ない県(岬・崎・鼻データベース2018改訂新版=その2) [番外DB]

▲都道府県別にみる沿岸部と島嶼部・内陸部の分布
 「多い県」を赤字で「少ない県」「ない県」を青字で、表記してみると、はっきりした傾向が浮かび上がってくる。
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 岬の多い県は、西日本に偏っている。これは、離島や内海の島々が多く、海岸線が複雑に入り組んでいるからにほかならない。でんでんむしの岬めぐりは、ここまで1,500項目を超えているが、一部を残して近畿以東のエリアはだいたいほぼ一応めぐり終わっているといえる。それでもまだ全体の半分には遠く届かないわけで、中国・四国・九州それに沖縄も宮古・八重山の先島諸島まで含め、いくらか行ってはいるものの、歯抜け状態でまだ多くを残しているし、隠岐・対馬・壱岐・五島それに奄美の島々は、まったく手つかず足つかずで、先が思いやられる。
 「でんでんむし西に」これからの課題であるが、これは大変ですよ。さてさてどうしたものやら…。
 岬のある県・ない県・少ない県からみると、まず「ない県」は群馬・埼玉・岐阜・奈良の海なし4県だけで、「少ない県」は、富山県の2、栃木・大阪・鳥取がそれぞれ5となっている。富山と大阪・鳥取が少ないのは、海岸線がさほど長くないうえに、でこぼこが少ないからであろう。海なし県の栃木には中禅寺湖があるが、他の海なし県には湖がない。いや、群馬県には榛名湖があった。が、残念ながら岬はない。
 岬のある県のうち、多いほうでは長崎県が飛び抜けて多い。これは対馬・壱岐・五島の島嶼部を広範囲にかかえているため。薩南・奄美諸島がある鹿児島と、なにしろ大きくて広く、したがって海岸線も長くなるうえ北方領土もある北海道がこれに続く。
 愛媛・山口・和歌山といった各県は、島もあるがギザギザと細かいでこぼこのある長い海岸線をもつからだろう。沖縄・東京は伊豆と小笠原の島々の多さで、石川は能登半島があるためで、島根も隠岐の島がある。
 あと100前後の岬を数えるところでは、高知の場合は長い海岸線があるが比較的すんなりしていて、室戸岬はあってもその周辺の岬は多くない。高知の岬は足摺岬側の西部に多くあり、熊本・広島・香川の各県はそれぞれ天草と瀬戸内の島々が岬の数を押し上げているといえる。
 以下、宮城・岩手・新潟・大分・三重・青森・岡山と続くが、このうち岩手と青森は島なしで、新潟は佐渡ヶ島で、大分・三重・岡山は海岸線のでこぼこで数を稼いでいる。これに続く兵庫は淡路島と家島諸島で島のほうが多く、福岡は逆に島より沿岸部が多い。
 福井・静岡は島がなく沿岸部だけで、宮崎も沿岸部が主だが、佐賀は北部ででこぼこも島もと続く。神奈川は芦ノ湖もあるが、三浦半島が主になっていて、島はない。それに続く、徳島・千葉・秋田・京都・茨城・福島また愛知はいずれもほとんどが沿岸部のみだが、山形は沿岸も島嶼も同じく少ない。
 長野・山梨・滋賀それに「少ない県」でふれた栃木の、いずれも海なし4県では、野尻湖・富士五湖・琵琶湖それに中禅寺湖と湖の岬を数えている。
 以上、不公平のないように、全都道府県を網羅して俯瞰してみたが、それぞれに沿岸部・島嶼部・内陸部のちゃんとした数字の裏付けとなる地理的な背景があっておもしろい。
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▲岬・崎・鼻の名前の呼び方分布を見渡してみると
 では、今度は岬・崎・鼻といった呼び方では、いったいどんな特徴があるかを眺めてみよう。
 これは厳密なデータ比較でどちらがいくつ多い少ないとかいってもあまり意味がないので、ごくおおまかなデータの印象でみるしかないが、一番にはっきりと目立っているのは、岬が北海道では229もあり、これだけが飛び抜けていること。なにしろ、これに続く二番手は山口の29なのだから、飛び抜けるにもほどがある(こういう表現はヘンだがそんな感じ)。北海道でこのように「岬」が多い理由には、どうもはっきりしたものはなさそうだ。
 想像では、アイヌ語源の名前が多く使われていた北海道では、それ以外の名前は比較的新しくつけられたものだということはできそうだ。あるいは、アイヌ語の名前を和名に変えたというのものも、あったかもしれない。それが、和人の蝦夷地進出によるものか、明治以降に本格化する開拓に伴うものかはよくわからないが、いずれにしろ時代がかなり下がって後からつけるときに、最もつけやすいわかりやすい命名としてそれがあったのではないか。
 山口のほかは高知・鹿児島・沖縄までが20となっていて、あとはちょぼちょぼなので、全国的には岬の名で「◯◯岬」はみんなが思っているほど多くはない。
 多いのはなんといっても「崎」だが、これの一番は長崎の350。鹿児島の216、沖縄の105がこれに続く。100には届かないが、和歌山・北海道・宮城・岩手・青森までが70超となっている。
 これも西日本に多いが、それは岬の総数自体が多いからであって、とくに「崎」が西に極端に多いというわけではなく、東日本にもそれなりにあって、ほぼ全国まんべんなく多いのが「崎」だといえる。
 これに対して、「鼻」は明らかな地域的な偏りが認められる。長崎が282、愛媛が132、鹿児島が118と、ここまで九州・四国ばかりでビッグ3。以下、山口・広島・島根・大分・香川・岡山と中国・瀬戸内沿岸と、西日本ばかりが並んでいる。その後に伊豆・小笠原の諸島を抱える東京と、能登半島の石川が続いて顔を出すが、全国的な分布としては明らかに「鼻」は西日本に集中して多いといえる。
 そして、岬を「鼻」と呼ぶ習慣は、東日本にはあまり波及しなかったらしい。とくに北海道では300を超える岬があっても、鼻は10しかなく、青森ではゼロである。一方、南は奄美までは結構ある「鼻」も、沖縄に行くとまったくないという極端な分布になっている。
 想像の域を出ないが、でんでんむしの考えでは、西日本に「鼻」が多いのは、まず島が多いからではなかろうかと思う。島が多いということは、船から見る岬が多いということになる。船で内海や沿岸の島々の間を抜けるとき、島の出っ張りはその傾斜といい角度といい、ちょうど人間の鼻のように見えることが多い。また、この地域では端っこのことをハナと表現することも広く定着していた。
 そう呼び始めた人々は、主には船に乗っている人たちで、やはり航海上の必要からの命名が多かったのではないか。自然、その地域で使われていた小さな出っ張りを鼻と呼ぶ習慣は、そこに引き継がれ広まっていくが、内海の小さな船の乗り手が、島もほとんどなく岬の出っ張りも少ない、波も荒い東日本の沿岸沿いに東進北上していくことはなかったのだろう。
 次には、名前のつけ方について考えてみよう。(次項(岬・崎・鼻データベース2018改訂新版=その3)へ続く。)


dendenmushi.gif(2018/03/26 記)

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タグ:岬めぐり
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