1507 サガレ石崎=むつ市脇野沢(青森県)脇野沢港から下北半島陸奥湾岸国道338号線を東へ進むと… [岬めぐり]
脇野沢港の岸壁に降り立ち、そこから北東に向かって歩いて行く道は、国道338号線。この道は半島北の大間から西海岸を下り、その南部では海岸から遠く高い山の中を通って、脇野沢でまた海岸まで降りてきた道である。
この国道は、陸奥湾岸を東へ進むと、大湊から太平洋側へ出て、陸奥小川原、三沢を経て奥入瀬川付近まで続く。もうひとつの下北半島の主要国道は、野辺地から陸奥湾岸を北上し、むつ市中心部を抜けて太平洋岸の風間浦村を経由して大間の高磯崎まで達している279号線。
半島の最北端は大間崎だが、そこまでは国道は届いていないのだ。大間崎と大間の街は2.7キロも離れており、338号線も大間崎からではなく、根田内崎の東600メートルにある大間町大間の279号線との交差点から始まっている。
この下北半島を巻いている二本の国道は、いずれもバスに乗って通ったり、バスを降りて歩いたりしてきたのだが、今回は脇野沢港から同じ脇野沢の小沢集落まで歩いた。この間で、めぐる岬は3つ。
そのまず最初は、岸壁からは500メートルのところにあるサガレ石崎。
ここもどういう命名由来か不明だが、岬の形状からすると、脇野沢の北にある山から東に延びる小さな尾根の先端が、ちょんと海に突き出たところにあたる。その南側では国道338号線が崖下の海岸線沿いに走っている。
南では港の防波堤と牛ノ首岬、それの沖合には鯛島が浮かぶ。蟹田からのフェリーらしい姿もある。
サガレ石崎で折れ曲がった国道は、北へ向かっては山側を少しえぐるようになっており、その国道と海の間は直線の護岸とテトラポットで仕切られている。おそらくは埋め立てがあったのだろうが、この工事以前は、国道の描くラインがそのまま海岸線であったと想像できる。その想像のうえで、やっとどうにか岬だった姿が浮かび上がってくる。
現在の護岸の内側には、水産会社の建物と水槽のようなものが並んでいる。その端の護岸の先がサガレ石崎になるわけで、はなはだ見栄えはしない岬で、この分ではいずれ地理院地図からもその名が消えてしまいそうな心配まで感じさせる。
実際に、護岸や築港で消えていった岬は多い。岬の名前が地図から消える基準がなにかあるのかどうかもよくわからないが、岬が岬でなくなるときにはそれもやむを得ない。だが、国土地理院にはできるだけ名前を残す方向で考えてもらいたい。
ただでさえ、岬の名前の由来など、ほとんどわからなくなっているのだから、せめてそういう名がついていたという記憶と記録だけでも、どこかに留めておく必要があるのではないだろうか。
ここから北東方向には、松ヶ崎があり、殿崎があり、そのまた向こうには大湊の西に屹立する釜臥山とさらに西につながる恐山山地を望む。むつ市中心部から南へは、山はぐっと低くなりつつ、陸奥湾はぐっと南の野辺地湾まで広がる。野辺地湾の西に突き出た大崎には、前に述べたような事情で結局行くことができず、今回の岬めぐりから漏れてしまった。
その付近は遠く、ほとんどなにも見えない。野辺地湾の最奥までは40キロあるのだから、陸奥湾も広い。そこから西には、夏泊半島が色濃く突き出てきて八甲田の峰も見える。
そんな風景を楽しみながら、なおも国道338号線を東へ進む。
▼国土地理院 「地理院地図」
41度8分52.02秒 140度49分50.34秒
東北地方(2017/09/05 訪問)
タグ:青森県
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