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1500 大崎=むつ市脇野沢(青森県)「断層海岸」と言われるマサカリの刃はこうして研がれていったのか [岬めぐり]

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 大崎という名のつく岬は、黒崎についで二番目に多い。どれもその付近では最も存在感を発揮しているような岬に、この名はつけられることが多いようだが、ここの大崎もそうで、まぎれもない大崎である。
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 見た目はそんなに大きく飛び出しているという感じでもないのだが、やはり地図で検証してみると、大崎と呼ぶにふさわしい。
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 国道からは2.6キロ離れているだけだが、佐井村とむつ市の境界線がある武士泊から穴間の凹みまで、大崎を頂点とする5.6キロもの長い折れ線(細長い三角形の二辺)が引ける。それがほぼ丸々大崎の出っ張りだとも言える。
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 したがって、福浦崎から南の海岸線ではどこからでも、いとばん遠くの端に見えていたのがこの大崎なのだ。
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 ほんのりと丸く膨らんだ大崎から、対岸の平舘灯台までは10.5キロで、ここが下北半島と津軽半島の間の平舘海峡がいちばん狭くなっているところ。
 大崎の上の山は300メートルと、そんなに高い山ではない。しかし、その山頂の下標高200メートルの地点から大崎の先端までは垂直の幅で180メートルしかない。180メートルの幅の距離で200メートルもの落差がある。つまり等高線が、ぐっと狭く詰まっているわけで、それは急傾斜であることを示している。そして、おそらくはその断崖は海の中まで続いていることだろう。
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 これが、下北ジオパークその他青森県関係のサイトでも繰り返し強調している「急峻な断崖」そのものなのだ。
 似たような状況の断崖は、新山崎でも焼山崎でも同様にあったが、落差の激しさ(急傾斜度)では、大崎がいちばん。
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 この断崖が、下北ジオパークが「断層海岸といわれる」という断層でできた海岸とすると、その断層はいつ頃に起きたものだろうか。まず想像できるのは、グリーンタフ変動の時期(約2,300万年前から約500万年前までくらいの中新世)だが、それと同時期と考えていいのだろうか。いやいや、それは岩石が形成された時期なので、その頃から日本列島の形ができていたとは考えられない。したがって、現在の地形に近い形をつくり始めたのは、もっとずっと新しい時代の地殻変動による断層なのだろう。
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 海蝕崖というのは、崖または山ができたその後で、長い時間の間にそれが海に削られて崩れてできた急傾斜の崖ということになるはずなので、この両者の間にはかなり大きな時間的なズレが生じることになる。
 つまり、「断層海岸」と「海食崖」は、その断層と海食のそれぞれ作用した時期が大きくずれているはずで、強いて言えばまったく別の時期の別の状況を示していると思われるが…そういう解釈でいいのだろうか。
 そうだとすると、新山崎から南に向かって連なる焼山崎そして大崎の3つの岬の崖は、断層でできた海岸が、さらに海食によって削り取られて急峻な崖をうんだ、そういうことになる。
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 地図で大崎の表記がある東には300メートルのピークがあるが、ここを東西の断面でみると「ヘ」の字型になっている。西側は急な崖だが、海岸に近いピークから東へは、谷がゆるやかな傾斜をつくる面木沢から、脇野沢川の上流に合流し南に下っている。
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 大崎の崖は、深い大きな山の端にあるのではなく、海岸だけで盛り上がって急に落ち込んだようになっているわけだ。このことからみても、この崖が大きな地盤の変動によって生じた断層で生じた、マサカリの刃は断層によって研ぎすまされたという想像はできる。
 さらにシロウトの想像を膨らませれば、屏風を立てたような崖と山は、南の八甲田山や岩手山とつながる奥羽脊梁山脈の一部だったのだろう。
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 大崎の北にある焼山崎(前項)については、アイヌ語源関連もあった。いつもの「落合道人」ブログのコメント欄では、次のような指摘もいただいた。
北海道にも多い地名ですが、アイヌ語でya・ke(ヤケ)は削られた岸辺=断崖絶壁の意味になりますね。by ChinchikoPapa (2017-11-05 12:08)
 なるほどそうでした。そうすると、アイヌの命名者も、特異な岩肌の色については完全スルーしていることになるので、ナゾはいっそう深まる。

▼国土地理院 「地理院地図」
41度11分40.36秒 140度45分53.27秒
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dendenmushi.gif東北地方(2017/09/05 訪問)
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