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1499 焼山崎=下北郡佐井村大字長後(青森県)ここの岬はなぜ「焼け」たのか誰も教えてくれないのも不思議ですが… [岬めぐり]

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 下北半島のサルとその生息地が、なぜ「∴ 」つきで特筆されるのかといえば、それは世界的にみてもヒトを除く霊長類ではここのニホンザルが最も北に生息しており、その場所としてはこの下北が世界でいちばん北に位置しているからだ。
 彼らは山の中に孤立しているわけではなく、生息地の南部、脇野沢に近いところではしばしば人間の世界に降りてきて農作物を荒らすなどの食害も起こっていて、保護と対策が問題になったりしている。
 山の中では、自然林の伐採などによって広葉樹林帯が縮小され、食料確保がむずかしくなるという事情もあったのだろう。そのため、下北のサルは道路もなく人もいない海岸に降りてきて、海藻貝類など海性の食料をじっくり調達するという芸当も身につけた。ポーラスターから海岸を眺めていても、サルらしい姿は発見できなかったが、これも世界的にめずらしく、ここだけでみられる現象だという。
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 地理院地図では、焼山崎のすぐそばに記された「∴ 下北半島のサル…」表記から大荒川を越えて少し東にずれた山のところにも、もうひとつ別の「∴ 」がある。それは「縫道石の特殊植物群落」というもの。世の中には、普通には知らない知らずにすんでいることがいっぱいあるものだ。これはいったいなんだろう。
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 縫道石山(ぬいどういしやま)というのは、仏ヶ浦の東3.6キロのところにある標高526メートルの岩峰ドームの山で、その岩に生えているオオウラヒダイワタケの群生が天然記念物に指定されており、それの群生が縫道石山から離れた焼山崎の東(縫道石)にもあるらしい。なんでも、その地衣類は氷河期をも生き残ったものなのだという。そしてまた、世界では北米東部のアパラチア山脈と日本にしかないのだという。そうきけば、それもまたありがたく思えてくる。
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 ポーラスターの船内放送で観光ガイドが流れるのはたまにしかないようだが、それによると焼山崎はこの海岸で屈指の見どころだという。確かに、赤茶けた岩肌が広く大きく露出しているのは、なかなかない景観であろう。
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 焼山という火山性の山の名もあちこちにあるが、ここは日本列島形成時のことはさておけば、その後の火山噴火によるものではないようなので、「焼山」ではなく、「焼けた」山崎なのだろう。また、焼山崎という名の岬もいくつかある(下北半島の太平洋側にもひとつある)が、それらの多くは、なぜ「焼」なのかよくわからないところも多い。
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 ここは一目見ただけで「焼」のつく意味がよくわかるが、不思議なことにどうしてこの海岸の岩肌が、こんな色になっているのか知りたいと思って調べようとしても、なかなかまともに答えてくれる情報が見当たらない。
 下北ジオパークのサイトを見ても、「下北の南西部海岸は断層海岸とも呼ばれ、落差100mを越える断崖が連続しており、新山崎、焼山崎等では落差300~500mの急峻な断崖」と断崖は強調されているが、なぜこのような岩肌なのかの説明はない。その下北ジオパーク推進協議会の焼山崎ジオサイトの説明は、こう言う。

 断層海岸といわれる西海岸は、落差100mを越える断崖が連続しており、新山崎、焼山崎等では落差300~500mの急峻な断崖となっています。断崖を形成している岩体の下部は前期~中期中新統金八沢層の玄武岩、上部は中期中新統檜川層の流紋岩質凝灰岩より構成されます。赤褐色に変色した岩肌が特徴的で津軽海峡を横断するフェリーからも確認できます。


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 これまた岩肌には触れながらも、その理由や原因は無視している。ジオパークやジオサイトの説明が、「かっかそうよう(隔靴掻痒)」であるということについては、前にも佐渡ヶ島かどこかで書いた記憶があるが、せっかくみんなに広く興味を持ってもらいたいというその趣旨には充分に届いていなくて、まだまだ工夫も努力も足りない。
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 もうひとつそこで気になったのが、「断層海岸」という用語で、あまり聞き慣れないないなあと調べてみようとすると、確かにそういう用語はあるらしくネット辞書の用語解説はぞろぞろ出てくる。要するに断層でできた海岸という文字通りなのだが、しかし、それについて記述した情報は、ほとんどといっていいほどない。この用語を使っているのは、下北ジオパークくらいしか出てこないのだ。それもまた不思議というかおもしろいなあと…。
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 では、国土地理院はどう言っているのだろう。
 「日本の典型的地形に関する調査」の結果をまとめた、地形を成因別に 194 の地形項目に分け、それぞれの代表的な地形項目を示している国土地理院のサイトがある。それによると、「海の作用による地形」のうち「海食崖(波食崖ともいう。海に面した山地や台地の前面で主に波食作用によってできた崖)」に該当する青森県の地形として、仏ヶ浦と焼山崎をあげているが、断層海岸という用語はどこにもない。
 焼山崎の岩肌が赤茶けているのは、どうやら、玄武岩に含まれている鉄分が風化によって変化したから、ということらしいのだが…。それで合っていますかね。
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▼国土地理院 「地理院地図」
41度15分11.99秒 140度46分49.47秒
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dendenmushi.gif東北地方(2017/09/05 訪問)
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