1498 新山崎=下北郡佐井村大字長後(青森県)国道338号線は海岸から遠く離れていくので… [岬めぐり]
仏ヶ浦観光の遊覧船の拠点である牛滝港を出た船から南の海岸を見ると、3つの比較的大きな岬が並んでいるのがわかる。手前から(北から)、新山崎・焼山崎・大崎の順になる。
牛滝からいちばん遠くに見えている大崎までは、約11.5キロある。いちばん手前の新山崎までは2.3キロ、そこから次の大崎までは2.5キロと、ほぼ等間隔に並んでいる。
新山崎の名は、「新」しい「山崎」という意味ではなく、「新山」という山から伸びてきた尾根の「崎」を示している。482メートルだからそんなに高山というわけではないが、小荒川という谷筋で区切られて新山から北に延びる尾根が海に落ちるところの西の張り出しに、その名がついている。
先端部は何本かの突き出た岩が、複雑なでこぼこをつくっている。このように、この付近の海岸は岩が連なる崖で覆われ、水流のある谷筋で切れ目ができる以外は、ずっと同じような海岸線が続いている。
道はない。徒歩で歩けるような山道すらどこにもない。崖の下はすぐに海となっている。道を探し求めるなら、新山崎から東に4キロ以上も山の中に登って入って行かなければならない。そこには下北半島の東沿岸を走る国道338号線が通っているのだが、佐井村とむつ市の境界線も走るその付近は、標高250メートルもある。
大間町からつながってきた338号線は、大間の原発建設工事中のところで内陸に迂回する以外は、佐井村の磯谷集落まで18キロほどは、ほぼ海岸線に近いところを通っている。山に上った仏ヶ浦付近でも、道路脇の展望台から海岸が見降ろせるくらい近かった国道は、牛滝ではいったん牛滝川と並行して走るほど下まで降りてきて、そこからまた南東に向かって山の中に入っている。
牛滝以南には人家も集落もなく、高くはないが深い山が続くこの新山崎・焼山崎・大崎という3つの岬の山側は、なべてこのように道も海岸から遠く離れた山の中で、人の世界からは遠くなっている。
少し前の地理院地図では、下北半島のこの一帯が野生のサル生息の北限という表示が大きく目立っていたが、最近の地図では拡大してやっと小さくその文字が出てくる。曰く「∴ 下北半島のサルおよびサル生息北限地」。その意味は、天然記念物に指定(1970(昭和45)年)されたということであろう。
専門家のおっしゃることに間違いはないのだろうが、よく考えてみるとこの表現はいささか要領を得ない。つまり「および」という並列表現がついているので、この「∴ 」はふたつのことを指しているらしい。ひとつは「下北半島のサル」であり、いまひとつは「サル生息北限地」ということになる。わざわざ別々にする意味が、よくわからないのだが…。ま、なにか理由があるのだろう。
その表記は、新山の南、焼山崎のところと、佐井村の南端付近に当たる湯ノ沢山のところと、むつ市に入って東北自然歩道の通る穴間山のあたりの3か所につけられている。これによると、「北限地」とは新山付近くらいとなりそうだが、佐井村よりさらに北の大間町の山でもサルは確認されているという情報もあるらしいので、あまり厳密に考える必要はないのだろう。
いよいよこの新山崎から南にかけては、人間の世界ではなく名実ともにおサルさんの世界になっていくのか。
▼国土地理院 「地理院地図」
41度19分19.93秒 140度47分59.10秒
東北地方(2017/09/05 訪問)
タグ:青森県
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