1470 弁慶岬2=寿都郡寿都町字政泊町(北海道)弁慶と風車がシンボルの町から西へ [岬めぐり]
「風の街」を標榜する寿都町のマークには、朱太川河口に並んでいる風力発電の風車と、薙刀を立てて持つ弁慶の像が描かれている。これは寿都湾の西に三角に飛び出た弁慶岬の弁慶で、この岬はすでに、
693 弁慶岬=寿都郡寿都町字政泊町弁慶(北海道)大望ある身の永く止まるべきにあらずと…
の項でとりあげている。2011年のその時の訪問では、雷電国道を北上するのが目的だったので、黒松内に泊まって、翌朝のバスで寿都にやってきた。岩内へ向かう前に、時間があったためか、ここには行っておこうと考えたのか、バスで弁慶岬へ行き、次の上り便バスで寿都へ戻っていた。
今回は、寿都から西の島牧村へ向かうが、その西端の栄浜で行き止まり(道はあるがバスはない)なので、また折り返して戻ってこなければならない。弁慶岬はその往復のバスの車窓からを加えて「弁慶岬2」とする。通りすがりに見たところでは、前に来たときより駐車場に停めてある車の数と建物が増えている。
ここでもう少しは寿都のことにふれておこうと考え、一項目を設けた。と言っても、寿都の町をうろうろ歩き回ったわけでもないし、寿都鉱山廃坑や寿都鉄道廃線の遺跡を訪ねたわけでもない。ただ、バスで通り過ぎ(岬付近の写真は、主に帰路に眺めた風景)、帰りには温泉に入ってきただけなのだ。
694 尻別岬=寿都郡寿都町字磯谷町能津登・磯谷郡蘭越町港町(北海道)町の中に町がある寿都は“茅のある川”
町のこともこの尻別岬の項で、いろいろ書いているので、それ以上に今回新情報が判明したというわけでもない。
つけ加えると、人口3,064人で世帯数 1,720世帯、それに「演歌界の巨匠 北島三郎が歌う寿都町のイメージソング!!」として、「風のロマン」と「弁慶岬」の二曲あるというのを、町のサイトで知ったくらいかな、新情報は。
前回問題提起した、黒松内町の境界が、海にわずかに届いていないというナゾもそのままである。どうやら、1955(昭和30)年に寿都町、中の川を除く樽岸村、歌棄村、磯谷村の1町3村が合併して新しい「寿都町」をつくったときの線引を踏襲したものだろうが、肝心の歌棄(うたすつ)村と黒松内町の境界についてのいきさつは、あいかわらずわからない。
弁慶の話はさておき、和人がこの地域に進出して、集落を形成するようになるのは、17世紀も後半、1669(寛文9)年頃になるという。ちょうどシャクシャインの時期と一致する。やがて北の物産を求めて場所が開かれたが、松前が蝦夷進出の拠点であったため、当時の蝦夷といえば、やはりこの渡島半島西岸が中心であったのだろう。
ただ、当時の和人の蝦夷への進出過程について、wikipedia におもしろい記述があった。寿都町の沿革のなかで、
1688年 神威岬から北への婦女子通行禁止令が敷かれ、このため寿都地方に土着する者が増える。
とあるのだ。同様のことは、北に行った岩内でも言えたのだろう。
深い湾に面しているので、住みやすいのか思えば、なかなかそういうわけでもなさそうで、強風で雪も多いらしい。その強風を利用して風力発電をと、朱太川の河口には何本もの風車が立っている。
その付近こそが、実は黒松内町の境界線が海に迫りながら到達していない場所なのだ。いくつかの三日月湖を残す朱太川は、何度も氾濫しているので、この付近も人家は少ない。寿都鉄道存続の夢を砕いたのも、最終的にはこの川の氾濫による。
現在の境界線をみても、黒松内町と寿都町が朱太川で接している場所では、大きく蛇行して線が引かれている。これは明らかに、町の境を決めたときには、この状態で朱太川が流れていたことを示していると考えられるのだが、それはいったいいつ頃のことなのだろう。国道も河口の下流部分を避けて通っている。
国道と並んで走る川の南側の湯別の街があり、湯別の東を流れる川は、黒松内街との境界で、その山寄りに温泉施設がある。帰りは、黒松内へ戻るバスまで2時間も寿都で乗り継ぎを待たなければならなくなったので、思いついて先に「ゆべつの湯」までバスで行き、温泉に入ってそこで帰りのバスを待つことにした。
寿都の街は、朱太川の河口を避けるようにして湾の西岸にあり、歌棄はその湾を挟んで向かいに位置している。風車の背景になっている山が歌棄の山で、その北隣りは蘭越(らんこし)町になる。岩内はその北。寿都=岩内間もニセコバスが走っているので、2時間待つよりも岩内経由で函館本線につなぎ、小樽か長万部かどちらかで札幌に出られないものかと、ニセコバスとJRのダイヤをひっくり返して探してみたが、それは不可能とわかった。
歌棄と向かい合う一方の、まるまる弁慶岬の出っ張りである政泊は、1933(昭和8)年から寿都町になっている。この岬を大きく放物線を描くように過ぎて行くと、いよいよ島牧村に入る。
▼国土地理院 「地理院地図」
42度49分26.53秒 140度11分21.95秒
北海道地方(2017/07/01 訪問)
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