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1462 稲荷岬2=せたな町瀬棚区元浦(北海道)お稲荷さんは見当たらず虻羅の崖のほうにひきつけられてしまうが… [岬めぐり]

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 前項の番外で、北檜山地域の輪郭はなぞってみたが、海側のせたな町が久遠郡で、長万部寄りの今金町が瀬棚郡となっていた。素朴に考えて、「せたな町」が「瀬棚郡」でないのはおかしい。なんでだろ?と思った。
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 せたな町は、2005(平成17)年に瀬棚郡瀬棚町と瀬棚郡北檜山町と久遠郡大成町が合併してできた。こういう合併の場合、どうしてもそのなかでいちばん大きい町などが中心となって、それに引きずられることが多いのだが、ここでは3町の間の力関係が均衡していたのだろう。
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 合併に際しては、3町のそれぞれの顔を均等に立てるように配慮された。その結果、町役場は瀬棚郡北檜山町に置き、町の名は漢字ではなく「かな」にしたうえで瀬棚郡瀬棚町からとり、郡名は他の二町とは異なる久遠郡大成町から引き継ぐということになった。
 大岡裁きのようなまとめかただが、これがわかると、この地域の状況がだいたいよく納得がいく。
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 長万部から乗ってきた函館バスは、北檜山ではなく上三本杉が終点となっているが、そのひとつ手前の三本杉で降りる。バスの運転手さんに聞くと須築への乗り換えは、終点の上三本杉よりも瀬棚市街の北、三本杉のほうがいいだろうというので、そのアドバイスに従った。確かに、ここでは北行きのバス停に二本のバス停標識が立っているが、後で通りがかりにみたら、上三本杉には北行きにはそれがなかった。
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 計画通り2分の待ち合わせで、東ハイヤーのマイクロバスがやってきた。例によって乗客はでんでんむし一人だけ。
 瀬棚須築線と呼んでいるこのバス路線は、函館バスの足が伸ばせないというところなのだろう。町では「運行は(有)東ハイヤーが行い、バス運行に係る経費は運賃収入等、町と北海道からの補助金によって運行されています」とサイトで書いている。どうも実際は町営というより(サイト上のダイヤも別扱い)、せたな町瀬棚区の区営バスというような位置づけらしい。
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 この路線の維持に努力が払われているのは、主に老人などの交通弱者と通学生徒のためであろう。日に4〜5本のダイヤは、瀬棚方面に行く南行きは早朝に、須築へ行く北行きは夕刻に組まれており、日中に使えるのは2本しかない。この路線に乗りその後の若松・久遠線に続いて乗るために、土日ダイヤを避けほかとの日程調整にずいぶん苦労した。
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 旧瀬棚町の地域は、瀬棚区として海岸沿いに広がり、風力発電の風車と三本杉と日に1便だけ奥尻島との間をフェリーが発着する港がある。その北に位置する三本杉からさらに北へ、毎度おなじみの風景が展開する海岸沿いの道を5.5キロほど進むと、この区間最初の岬となる稲荷岬がある。
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 三本杉の北では、梅花都、中歌、元浦、嗣内、虻羅といった集落が点在していて、これらがみんな瀬棚区元浦という地域。岩礁や立岩が続く海岸の先に、岬らしい巨大な岩の飛び出しが見えてくる。
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 これが稲荷岬だ、と言いたいところだが、国土地理院地図の岬名表記は、この岩の間を通り抜けた先、道路がゆるく膨らんで弧を描いているところにつけられている。バスの通りすがりにはお稲荷さんは見当たらず、地図にも神社記号はない。(落合道人ブログのコメントで、これは「トウカ」の原日本語に漢字を当てたのでは、と教えてもらった。なるほど、稲荷社のない稲荷岬もあるわけだ。)
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 漁師の店を看板にした店など数軒の建物があるその付近は、虻羅の集落と港のすぐ手前で、海には岩礁地帯があり、山側にはふたつの小さな尾根と崖が張り出している。
 稲荷岬は、現在はこの丸い出っ張りになっているが、あるいは元はもっと尾根と連動したちゃんとした岬だったのかもしれない。
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 目の前のバスのフロントガラスに、巨大な崖が現れる。このほうがずっと岬らしいが、ここは岬の名はなく、また実態も岬ではなく「クズレ」という記名は崖につけられている名だ。1.2キロに渡って続くこの崖の中を、虻羅トンネルで道路は抜ける。
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▼国土地理院 「地理院地図」
42度29分56.96秒 139度50分36.49秒
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dendenmushi.gif北海道地方(2017/06/30 訪問)
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タグ:北海道
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