1443 尾花岬・帆越岬=久遠郡せたな町大成区太田・富磯(北海道)難所の見えない岬だからムリしてでも… [岬めぐり]
これも前項の茂津多岬とまったく同じいきさつと理由で、項目を設ける。
尾花岬・帆越岬も、茂津多岬にまさるとも劣らない岬めぐりの難所である。これもなかなかそば近くにも行けないというわけで、せめて奥尻島の東岸からほぼ正面に見えるこれを、いちおうチェックしておこう。
何度か書いているが、岬は正面から見てもちっとも岬らしくない。周囲の景色が単調なこともあって、遠近感がまったく出ないのだ。
それを承知で、とにかくむりやり正面からの遠望で…。
まず、尾花岬はせたな町の日に一度だけフェリーの発着する港からは、16.5キロ南南西に離れている。以前には鵜泊までしか行かないバスを港で降りて水垂岬まで歩き、そこから南の日中戸岬までを眺めるところで終わっていた。日中戸岬からは、道路はさらに南へ、1.1キロの日昼部トンネルと3.4キロもある太田トンネルという二本の長いトンネルで伸びているが、ここも公共交通機関はいっさいない。(iOS マップ↓)
尾花岬は、その長い太田トンネルの北側4分の1くらいのところにある。もちろん、ここもどこからも見ることができない岬なので、船からか対岸にある奥尻島から見るしかない。
奥尻島の最北端からは、東北東18.5キロにある尾花岬は、おぼろげに巨大な崖が岩肌を露出しているのがわかる程度だ。地理院地図によると、崖のように見えない緑の山も、海岸近くはこの一帯では例外なく崖のようである。
なんらか、場所を特定できるようなものはないかと、眼を皿にしてみたが、やはりわからない。なにしろ、目印になるようなものがほとんどないからだ。
遠目だからわからない、というだけでない。わずかな目印は、トンネルの切れ目とか、小さな沢の切れ込みとか、岩の出っ張りの並び具合くらいしかないのだ。
おそらく、よほど海岸から近い所を、船で行ったり来たりしてやっとわかるくらいだろう。
尾花岬を太田トンネルで南へ抜けたところが、せたな町大成区の太田集落で、ここには漁港もある。この北隣りの集落と漁港は鵜泊で、そこから太田までは11キロ、その間、トンネル以外はほとんどなにもない。
太田トンネルの南よりの上に毛無山816メートルがある。ぽこんと三角に飛び出ている頂きがそうかと思うが、自信はない。
500メートル前後の相泊山・太田山が、毛無山と太田集落の南に続いてあり、帆越山がその先に大きく海岸を制圧している。
帆越山の標高は、せいぜい320メートルしかないが、南北に長い山塊が海岸に立ちはだかり、人を寄せつけない断崖の海辺を避けて、道は2キロ弱の帆越山トンネルでこの山の下をくぐり抜けている。(iOS マップ↓)
つまり、帆越岬もまた尾花岬と同じく、陸からは見えない岬なのだ。1.85キロのトンネルを南に抜けても、次の集落である富磯まではまだしばらくは無人の海岸が続くので、帆越岬の北にある太田集落と南にある富磯集落の間は、6.5キロの間が開いていて、南からの少ないバス路線もほとんどは小歌岬のある大成区都までしか行かない。
わずかに日に一本だけ第二富磯というバス停の終点まで行く便があるので、実は今回の当初計画は、それに合わせて組んでいた。小歌岬もいささか消化不良のままだったが、ここへはまだほかにも日昼岬・添泊岬が残っていた。太田まではバスも通っていないので、せめて富磯まで寄って北の帆越岬を南から見るのと合わせて、いずれまた来るつもりだったのだ。(iOS マップ↓)
尾花岬の海岸線は、断崖続きでトンネル以外の道はなかったように思われるが、帆越岬のほうの海岸線にはトンネルができる前には旧道が通っていたような形跡が、地理院地図からは伺える。そこで、Apple iOSのマップでこの部分の航空写真をみると、確かに廃道になってズタズタになったかつての道路の跡が残っていた。
結局、尾花岬と帆越岬はまったく同じような条件にある岬で、今回はJR線でのせたなからのアプローチができず、岬めぐりの難所はまたしても不発に終わった。
それだからこその難所なのだろうが、遠望とは言いながらせっかく東から眺めることができたので、記録にとどめておくことにした。
茂津多岬・尾花岬・帆越岬と3つの岬めぐりの難所は、海岸線を崖で覆われているので、道はトンネルしかないこと、周辺がまったく人家もなく人の気配もない地であること、もちろんバスなども通っていないといった条件が揃っている。こういう場所は、北海道本島でも積丹半島北部と知床半島の一部のほかにはないように思われる。
▼国土地理院 「地理院地図」
42度18分11.74秒 139度46分6.43秒 42度15分33.66秒 139度46分33.78秒
北海道地方(2016/09/04 訪問)
タグ:北海道
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