1457 灘ヶ崎=三浦市三崎町城ヶ島(神奈川県)前にはなかった岬名がいつからかちゃんと明記されるようになった岬 [岬めぐり]
城ヶ島も何度か行っているので、この道もあの景色も見覚えのあるものばかりだ。ここ前にも通ったよねとか思いながら、京浜急行の三崎口駅前2番乗り場から乗ったバスの終点から、家の裏の間の細道を抜けて行く灘ヶ崎も初めてではない。
それなのに、これまでの三浦半島の岬めぐりでここを項目にあげていなかったのは、当時の地理院地図にはその名の記載がなかったからだ。今では、地理院地図もMapionなど他の地図でもちゃんと載せている。そこで、こりゃちゃんと補足しなければ…と改めてやってきた。
灘ヶ崎はほぼ東西に横長の城ヶ島では、北東の端にあたる。北側はすぐマグロの水揚げで有名な三崎漁港で、その西の入口を守る長い防波堤が、岬の端から伸びている。遠目に見るとほとんど両者はつながっているようにも見えるが、灘ヶ崎の先端でいったん切れ、その先から防波堤が始まっている。
大きな岩が尾根のようになって、西の富士山に向かって伸びていく。この日は、前日は雪が薄く積もったが、もうすでに溶けて、めずらしいくらいの秋晴れのお天気になった。
楫(かじ)の三郎山という、いかにもなにかありそうな(三浦市の建てた説明板を読んでも不得要領)小山が、バス停終点の先にあるが、この山の北側には道がない。南側をすり抜けていくと小山の上に祠があり、そこから眺める灘ヶ崎が最高だ。
この城ヶ島の西端では、ここから南の長津呂崎にかけて、またここから東の城ヶ島一帯では、同じような何十枚もの板を重ねたものを斜めに傾けたような岩の層が、一帯に連続している。大小さまざまな、板棒きれを並べ突き出したような景観が続いている。
ここらではそれが崖ではなく、低い岩のでこぼこになって、海に向かって広がっている。これが三崎層で、城ヶ島付近ではその露頭が目立っているのだ。
三崎層は1200万年前から400万年くらい前までの間に、大洋の海底に堆積した岩で、火山由来の噴出物である灰や岩滓が、積もり重なり固まった岩の互層になっている。
おおまかに言えば、白と黒が互い違いになっているが、白いのが火山灰が泥(シルト・粘土)となって固まった岩石で、黒いのが火山噴出の岩滓(スコリア)を含む凝灰岩の層になっている。それがかなり広範囲な露頭として大規模に展開している。三崎層は、三浦半島でも東は雨崎と剣崎の間から、西は油壺の南の浜諸磯を結ぶ線から以南と荒崎と佐島の一部に限られる。ほとんど半島南端を中心として分布している。
互層になっているということは、1200万年前から400万年前という期間には、交互に違う噴出物を吐き出す大規模噴火が、間を置きながら何度も何度も繰り返されてきた、ということになるのだろうか。
それも想像してみると、かなり不思議なことのように思え、いったいどのようにしてそういう現象が起こったのか疑問に思える。しかし、専門家はそういうことにはあまり疑問を感じないらしく、どのようにすればこういう互層になるのか、そのことについてあまり明快には教えてくれない。
あるサイトのページには「プレートの沈み込みに伴う付加体に特徴的な逆断層によって、同じ地層が繰り返し出現しています」という三崎層に関する説明があったのだが、悲しいかななぜ“逆断層が特徴になるのか、それによって同じ地層が繰り返し出現”することになるのかがわからない。
まったく、ドがつくシロウトはどうしょうもなく困ったものだし、説明の下手な専門家にも困ったものだ。もちろん、専門家の仕事のメインがシロウトのご機嫌をとりむすぶことにはないことも充分に理解しているつもりだ。が、それは両者の意識と知識と疑問のもちかたに、大きな断層があるからなのであって…。
それでも、地質学の研修フィールドにもなっているらしいこの半島の地質については、それぞれ専門の方々によるいろいろなサイトやページがあり、教わることが多くておおいに感謝しています。
そんな情報のなかには、見慣れない用語がたくさん出てくるので、シロウトはその意味から調べて理解しなければならない。
灘ヶ崎の南すぐ、城ヶ島灯台の下には、城ヶ島京急ホテルがある。その横の崖には、黒いスコリア質凝灰岩の層が、まことに奇妙な形にねじ曲がり、のた打ち回ったような跡がそのまま固まってしまったようにして固まっている。
それはスランプ構造というものらしい。海底に堆積したものがまだ固まらないうちに斜面を滑り落ちる(海底地すべり)などして、このような形になったのだという。なるほどねえ。それはなんとなく想像ができます。ただ、ここの写真があまりうまくなかったので、それはまた後で…。
そして、その大洋の海底が、1年に数センチずつ西へ西へと動き、それを日本列島のプレートの端まで運んできて、その下に潜り込んでいくときにその一部がこすり付いた。
城ヶ島で見ている三崎層は、そういうものだったと知ると、なんか楽しくなってくる。ねえ、そう思いませんか。
▼国土地理院 「地理院地図」
35度8分13.84秒 139度36分38.43秒
関東地方(2016/11/25 訪問)
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