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1403 黒崎=敦賀市阿曽(福井県)大きな黒い石というより岩がつくる岬はトンネルと洞門で通り抜ける [岬めぐり]

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 「青の洞門」ではないが、古い時代のトンネルは当然ながらみな手掘りであったから、石壁が掘り跡をそのままに残り、入口の部分だけが石積みであった。明治の頃に鉄道が日本全国に伸び始めたときにも、そうして多くのトンネルが掘られてきた。岡崎や黒崎の東に連綿として凸凹と続く山地は、そうしたトンネルと線路が難工事の末にたくさん掘られ敷かれてきたので、現在もその一部が廃線廃道になったまま残っているようだ。
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 廃線ブームは、鉄オタのなかではいまや堂々たる一カテゴリを成しているらしくて、最近ポット出で流行りの廃墟ブームなどと一緒にされては心外だと、マニアからは苦情がありそうだが、この付近のそうした廃線・廃墟・廃トンネルを探索して、ブログなどを書いている人がいっぱいいるのには驚く。
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 こちらはそういう趣味ではないので、さらりと通り過ぎたいところだが、前項で北陸自動車道の尼御前岬SAについてふれていたので、それつながりで岡崎の東、扇状地の上にある杉津PAについてもちょっとだけ。
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 ここらは上り車線と下り車線がそれぞれ別の道路になっていて、それも旧北陸線の跡を踏襲したからであろう。ここは日本海(実際は湾口)の眺めが良いとかで人気らしく、もういいかげんにしてもらいたい例の“恋人たちの聖地”とやらの触れ込みで、仕掛け屋のものまねの思惑にヤスヤスと動かされるバカップル(とかいっちゃあいけないかね)がつけた鍵がぶら下がっている場所もあるという。(この岬めぐりでも「111 鴎ヶ鼻(恋人岬)=柏崎市大字青海川」と、「114 恋人岬=伊豆市小下田」があった。)
 この杉津PAも、昔の北陸線の駅があった場所だという。その北が北陸自動車道の敦賀トンネルで、南には葉原トンネルがやはり上りと下りと別々に二本通っている。地理院地図でみるとその間にもう一本のトンネルが破線で示され、葉原隧道という名も付してある。どうやら、これが今に残る旧北陸線の遺跡の一部であるらしい。
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 葉原トンネルの山からちょっとはみ出た237メートルで無名の山が、黒崎のある山である。同じ黒崎でも、黒い礫岩の「1399 黒崎」とは違い、ここのは黒い大きな塊の岩で岬が、いやこの山全体ができている。山の西の端ではとくに岩の塊が海に飛び出て残り、これに黒崎と名がついたものだろう。
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 当然に黒崎も、国道8号線はトンネルで越えなければならない。そうそう、国道8号線はね、杉津の北付近でしおかぜラインと合流しているのです。だから、この先敦賀までは国8の一本道なのです。
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 明治の初めにできた黒崎トンネルの長さは、112メートルしかないのだが、その前後、北と南に続いている洞門(覆道)を勘定に入れると、トンネルの長さは690メートルに伸びる。
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 いにしえの北陸道は、山中峠ルートで敦賀へ至るルートをとっていたので、黒崎の北側にある、杉津(すいつ)や阿曽(あぞ)、南側に続く拳野(あげの)五幡(いつはた)江良(えら)といった集落は、古い昔からの長くきつい北陸道の旅のなかで、ほっとできるような場所だったのではないか。今も海水浴場がいくつもつながっていて、なかには砂浜まで車を乗り入れできるところもあるようだ。
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 あれっ! そうすると、その昔の北陸道では、黒崎はどのようにして越えていたんでしょうね? (大疑問発生膨張中。困ったな、ヘンなことに気がついてしまったが、答えの詮索はとりあえず保留。)
 平安時代になると、もっと内陸の木ノ芽峠越えのルートが開かれ、それが現在の国道476号線に引き継がれている。
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 いっぽう、鉄道のほうは、1962(昭和37)年に北陸トンネルが開通するまでは、今の北陸自動車道のルートで、トンネルがなんと12、スイッチバックも4つもあるという難所だった。北陸トンネルの開通時には、記念切手が出たのでよく覚えている。この記念切手、間違いだらけだというので、鉄オタからは厳しい指摘があった。
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 黒崎の東南東、5.10キロのところで、北東向きに山の中を通り抜けている総延長13,870メートルの北陸トンネルは、開通から10年間、山陽新幹線で六甲トンネルができるまでは日本最長だった。
 越前のことを「越の国=こしのくに」というのは、あるいは都から敦賀を経て北東へ進もうとするときには、厳しい山地を越えなければならなかったから…なのだろうか。
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▼国土地理院 「地理院地図」
35度42分59.40秒 136度5分30.13秒
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dendenmushi.gif北越地方(2016/07/18 訪問)

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タグ:福井県 歴史
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