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1397 葛籠尾崎=長浜市西浅井町菅浦(滋賀県)北近江の秘境であるかもしれぬ岬は秘境であるがゆえに遠望 [岬めぐり]

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 葛籠尾(つづらお)崎は、海津大崎と並んで湖北の湖面に突き出ているが、東の葛籠尾崎のほうが南に向かってより張り出している。
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 市境のトンネルを出ると、湖西線の永原駅がある。長浜市の西浅井地域は、その駅がある大浦川の流域にできた西の地域と、大川が流れる近江塩津駅を中心とした東の地域、それにその中間にある小さな盆地に点在する集落で、主に構成されている。
 真ん中の盆地から南に続く尾根と、その凸凹がつくりだす、たくさんの無名の岬や入江がある半島の先端が葛籠尾崎なのだ。
 尾根の上では、菅浦の上までは奥琵琶湖パークウエイという観光道路(無料)が走っているが、それがUターンするところからさらに南に1キロ以上も下ったところが葛籠尾崎。周辺には道路も人家もないから、船で近寄ることしかできない秘境である。でも、見えているような場所は秘境とは言わないのかしら。
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 遠望では、西の高島市側からは海津大崎と並んで伊吹山をバックに一応見えていたし、東は長浜市湖北町あたりから見えるはずだろう。
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 当初は、西浅井地域バス路線を運行している湖国バスで菅浦まで行くことも考えたのだが、菅浦まで行っても葛籠尾崎は見えない。
 2010(平成22)年に長浜市に編入されたこの西浅井(旧西浅井町)は、戦国史上では有名な小谷の浅井長政の領地であったためにそういう名になっているのだろう。しかし、実際には東も北も南も、ほかに浅井がつく地域はこの近辺ではない。
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 昔は普通に“あさい”と言っていたはずだが、最近の大河ドラマなどは、ほとんどが“あざい”と言わせている。この「浅井」を“あさい”と清音で読むのか、“あざい”と濁音で読むのかについては、実は二説が分かれている。
 「西浅井」は確かに地元でも“あざい”と呼んでいるようだ。そのこともあって、“あざいながまさ”の優位は当分揺るぎそうにない。
 近江浅井氏は長浜の西、小谷城を拠点としていた。これも信長がらみ秀吉がらお市の方がらみ茶々と三姉妹がらみでさんざんに取り上げられてきたので、歴史などに興味のない人の間でもある程度は知られているくらい有名であろう。その場所は葛籠尾崎から琵琶湖北端、山本山、北陸本線の河毛駅の北を挟みながら、東北東に15キロ直線を伸ばしていった標高330メートルの山の上にある。
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 浅井氏はもともと北近江の守護大名であった京極氏に仕えていたが、乱世に乗じてこれを追い落として、自ら戦国大名となったわけだ。この頃おおいに流行していた、いわゆる「下克上」を地でいった家である。その意味では、後に義兄となる信長と同じであった。その後、一時南近江の守護であった六角氏に臣従せざるを得なくなるが、機をうかがってその支配下を脱することに成功する。この頃から越前の朝倉氏との交流が深まっていたが、結局最後には織田と朝倉との三角関係がその運命を決める。
 後には、信長側で言う金ヶ崎崩れと朽木越えにつながっていくのだが、浅井氏がいちばん輝いていたのは、1568(永禄11)年に将軍義昭を守護して、その上洛を掩護した頃ではなかったか。
 浅井氏の領地は、湖北地方と呼ばれる北近江(愛知川以北の六郡)であったが、それに加えて、犬上・愛智(今で言う彦根以南)・高島の三郡にまで拡大したのも、ちょうどこの頃だった。つまり、琵琶湖の北半分以上を支配下に置いたことになる。
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 浅井の名を残す唯一の西浅井地域の、その南端にある葛籠尾崎は、やはり現在でも容易に行けないという点で、充分秘境であると言ってよい。
 なんてことを言いながら、だからそれらしく見える写真は、ほとんど木之本町は飯浦からの遠望だけなのだという言い訳をしている。その遠望の葛籠尾崎の先に見える島が竹生島。縦に見ているので小島に見えるし、斜めから見ているので、葛籠尾崎と竹生島の距離がぐっと近く見えるが、その間は2キロ離れている。
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▼国土地理院 「地理院地図」
35度26分32.84秒 136度8分52.13秒
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dendenmushi.gif近畿地方(2016/07/16 訪問)

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タグ:歴史 滋賀県
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