1369 奈古ノ鼻=八丈町樫立(東京都)ちょうどこの岩根の岬の上が“黒砂の路”を上った“黒砂砂丘”なのです [岬めぐり]
大賀郷から横間ヶ浦のほうを見たときに、横瀬という断崖の岸はゆるく巻いて南東へ連なって消えていた。奈古ノ鼻は、その断崖の岸が東へ回り込んだところにあたる。したがって、北側からは見えていなかったこの岬を見るのは、大坂隧道を抜けて南へ向かわなくてはならない。
ここも、これまでの八丈島の岬と同様で、岬と言っても海岸に岩の根が飛び出しているくらいのものだ。これは、火山の噴出で流れ出た溶岩が、海に落ちるところでできたもので、通常のいわゆる岬らしい岬からすると、だいぶイメージが異なる。
だが、これが八丈島の岬の特色なのだ。
大小前から、末吉行きのバスに乗って、何度かこの坂を越えて、樫立・末吉方面を往復することになったのだが、それらの行程を岬ごとにまとめて、地図上の順で北から逆時計回りで辿ってみよう。
奈古ノ鼻にいちばん近いバス停、向里で降りると、海岸のほうに下って行く道があり、その入口には“黒砂砂丘”、“黒砂の路”という標識がある。
その道を下ったところは谷で、二本の細流が合わさって南の海岸に流れている。そこからまた上りのルートがあって、その坂の道を登る。
地理院地図では、横瀬、大神子、横塚そして奈古ノ鼻といった名があり、それぞれ岩礁や岩島があるようだ。だが、234メートルの独立したピークには山の名前はない。これは東山とは別にそそり立つ形で、横間ヶ浦火山と同類なのかもしれない。
道は、そのピークに向かっているのだが、道は途中で切れている。
この下あたりが奈古ノ鼻なんだがなあ、と思って下を覗いてみても、断崖の下は見えない。なにしろ、この下は50メートルの岩の壁がほぼ垂直に屹立しており、100メートルの高度までも急傾斜でせり上がっている。下の海岸など見える道理がない。
いつのまにか細くなった道は、黒いざらざらの荒い砂で、ずるずる滑る。
ここ滑り落ちたら相当やばいなという斜面は、見えるところ全部黒い砂で覆われている。足場が悪くなってきたので、危なそうな急傾斜を先へ進むのはやめたが、道ももうすぐおしまいのはずである。
当然、この黒い砂も、東山火山か横間ヶ浦火山の噴火時に噴出したスコリア(岩滓)が黒砂なのであろう。堆積したというより、この山全体がそういう黒い岩と砂でできているような感じだ。上からも全体が見えないので、もっと上へ航空写真で上ってみる。(iOSのマップから)
南東の開けた景色のなかには、素石ヶ鼻から乙千代ヶ浜、さらにその奥と50メートルの断崖海岸が続いている。そのいちばん奥で右に飛び出しているのは、八丈島最南端の小岩戸ヶ鼻の尾根であろう。
奈古ノ鼻からその先端までは、直線距離にして5.2キロ離れている。
手前で大きく目立っている乙千代ヶ浜の先端までは1.3キロほど。地理院地図では畳根と表記のあるところは、根で岬ではないのだが、ここだけ北から降りてくる大きい自動車道が、50メートルの断崖の上からさらに下って波打ち際まで降りられるようになっている。
が下までは降りないで、50メートル付近から北西方向を眺めると、素石ヶ鼻と奈古ノ鼻の断崖のなかの岬が見える。
奈古ノ鼻の上からは下の海岸が望めなかったので、畳根の上から見た姿を見ておこう。
奈古ノ鼻から向こうに続いていく断崖は、なんと150メートルもの落差があるのだが、向きをすぐ北に向きを変えていくので見えない。見えているのは奈古ノ鼻、横塚までだが、それがさらに横塚からまっすぐ大坂隧道の215メートルのピークまで続いているのだ。
遠くに見えている最奥の出っ張りは、八丈小島の西側付近である。
▼国土地理院 「地理院地図」
33度6分6.82秒 139度45分56.39秒
関東地方(2016/04/16・19 訪問)
コメント 0