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番外:崖の鼻…ではなくてこれは花2=家の前の崖に咲く花(神奈川県)最初は一本から始まって見事な群生になったヤマブキ [番外]

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 部屋から隣近所の家が見えないというのが自慢だと、前項で書いたが、ちょうど今の時期だと部屋から庭の生け垣越しに見る崖の眺めは、こんな感じになる。
 この頃では、花も外来種が幅をきかせているので、花の名前も聞いたこともなく言いにくい名前の花ばかりだ。が、もともと図鑑とにらめっこでその名を究明するというそんな情熱もなく、ただぼんやりとそこに勝手に生えてきて勝手に花を咲かせているものを眺めている楽しんでいるだけだが、これがヤマブキであることくらいは、わかる。
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 近年のネットの情報には、それを図鑑本をカバーするものがあるようだが、この図鑑というのが結構期待はずれというか、探そうとする花がちゃんと載っているほうが少なく、それでだんだん当てにしなくなって、今のような横着を決め込む原因にもなってきた。(ほら、またヒトのセイにしてはダメ!)
 植物図鑑も写真のものが主流になっているようだが、図鑑はやはりイラストのほうが、よくわかっていいような気がする。制作者側の身になって考えてみると、牧野式のイラストをオリジナルで網羅するというのは費用も時間も膨大になるので、やさしい企画ではない。
 もうだいぶ前のことになるが、近所の空き地や崖などに、黄色いコスモスに似た形の花がたくさん咲いた。そのときにも、苦心してその名前を調べたものの、やはり外来種でその長いカタカナ名前は、忘れてしまっていて思い出せない。
 ところが、その黄色い花は同じ黄色の外来種でもセイタカアワダチソウほどの生命力はないらしく、毎年続いて咲くかと思えば、だんだん少なくなってしまい、今ではほとんど見かけなくなってしまった。
 この地域の谷戸をつくる低い山々には、神奈川県の花になっているヤマユリがたくさん自生している。崖にもたくさん咲いた時期もあって、とくに初夏の夕暮れの薄暗がりのなかに、白く浮き上がる花はなんともいえない風情があるのだが、これも年々その数が減っていく。
 さびしいことだが、自然は人間の手を加えずとも、変わっていくのでそれが自然というものだろう。
 崖の植生には、クズの侵食が大きな影響を与えていることもあるようだ。これも昔にはなかったものが、向こうの山から崖に降りてきて、年々はびこっている。クズもその花はなかなか可憐なのだが、これもほおっておくとあのツルと葉っぱが崖全面を覆うことになってしまう…。
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 この崖にヤマブキが黄色い花を咲かせ始めたのはだいぶ前からだ。最初はひょろんと一本だけだったのが、株が大きくなり見事な黄金の塊をつくるようになったのだが、ある年の市の刈り込みで、全部刈り取られてしまった。
 しかし、それからまたその周辺の別の場所から生えだし、今年の春は一段と大きく崖の上のほうにまでその範囲が広がっている。比較する人間とかが入っていないので、規模がわかりにくいが、フェンスの支柱と支柱の間隔が3メートルで、フェンスの高さが1メートルである。この塊でも6メートルの幅、高さも3メートルあることになる。
 これがひょろりの1本から始まったことを、最初から観察していて知っているでんでんむしには、結構感動もんなのである。
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 道行く人の目も楽しませているようで、枝を切り取っていく人もあるようだが、ヤマブキは花瓶にさしてもなかなか水が上がらないのだという。
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 太田道灌の故事にあるのは「七重八重…」というが、家の前の崖のヤマブキは一重である。wikipediaには、ちょっと独特な解説が加えられていて、それがおもしろいところもあるが、ヤマブキのこの歌でも新しい解釈があることを知った。
 通常、八重の花には実がつかないという解釈だが、「七重八重…」は花が幾重にも折り重なるさまをいい、「実のひとつだに」というのも、「山ほど花が咲くのに、(実が硬くて)食える実がつかないのは情けない」とする解釈もあるというのだ。だが、一重でも実をみた記憶がないし、これだと鄙には稀なる歌の教養ある佳人が、蓑のかわりに差し出す場面も登場する余地がなくなる。道灌の歌への開眼もなく、「わが庵は 松原つづき 海近く 富士の高嶺を 軒端にぞ見る」という歌も生まれなかったことになるので、やはりその解釈は不採用で却下。
 わが庵からも、当初は富士の高嶺が見えていたのだが、家が建てこんできて見えなくなってしまった。
 枝がずいぶん伸びてきたので、今年は花が終わったら剪定をするつもりでいる。そう、数年前からは、この崖の手入れを自分でするようにしているのだ。
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dendenmushi.gif関東地方(2016/04/11 記)

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U3

七重八重 花は咲けども山吹の 実の一つだに無きぞ悲しき
by U3 (2016-04-14 12:32) 

dendenmushi

@昨日まで まくめうしわを 入れ置きし へむなし袋 いま破りけむ
by dendenmushi (2016-04-14 14:26) 

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