1352 古三崎=三豊市詫間町生里(香川県)浦島太郎が生まれた生里の「三崎」に「古」がつく意味はなんだろうか [岬めぐり]
「三崎」は「岬」であり、同時に「御崎」でもある場合は、全国あちこちにある。三豊市の荘内半島の先端が三崎であるのは、そこに古くからある神社の御崎であったのだろうが、その南海岸の内側に引っ込んだところに出っ張っている岬を「古」をつけて呼ぶ理由はなんだろう。
紫雲出山から70メートルくらいの3つの頂きをポコポコと並べて、西に派生して伸びる岬の先端が古三崎で、その北側の入江に詫間町生里(なまり)の集落がある。もっとも、現在の住所表示では、三崎の先端から仁老浜を含んでこの古三崎の先端までが全部生里になっているのだが、仁老浜と比べてどっちが中心かと問うのも意味がないように思われる。
古三崎の生里は、元生里とでも言うべきなのかもしれない。しかし、そうだとしてもここで半島の途中に枝分かれしたような岬が、大元の半島の先端の大きな三崎よりも古いというのはどういうことなのか、わからない。
もちろん、こうしたことに対する答えは、まずどこにもない。
ただ、元からの生里地区は旧名を三崎とも言ったらしいので、三崎神社ができるときに、元の三崎にあった岬を古三崎と称することにした…というような推測が成立しそうな余地はある。
で、この“古三崎の元生里”こそ、浦島太郎の誕生の地なのであった。
荘内半島の浦島伝説が独特なのは、半島全域に散らばるそれぞれの伝承が、非常に具体的で、ある意味でスジが通っていることであろう。
北側の仁老浜は、太郎の家の実家があったところで、太郎の両親はそこから出て生里に新家を立て、そこで太郎が生まれた…といった具合に。
半島の生里や大浜などに伝わる祭りで、国の重要無形民俗文化財に指定されている生里百々手(ももて)祭などとも関連があるのではと思ってみたりしたが、その痕跡はみあたらない。
バスを降りたのがこの生里で、仁老浜へはここから歩いて北へ戻ったので、古三崎を眺める海岸から南には行かなかった。ここから先は、いくつかの小集落や大浜の集落があり、さらにその南には太郎が悪ガキから亀を助けた浜辺鴨ノ越を経て、半島の南の付け根にあたる仁尾町へ続く。
そこで、ふと思った。駅前の銅像について、これじゃカメが小さすぎて乗れないだろう…と書いていたが、鴨ノ越の浜辺で助けたカメは“子ガメ”だったという話も、どこかで記憶の片隅にこびりついた。それが、突然眼を覚ましたのだ。お礼にきて太郎を竜宮城へ連れて行くのは、その母ガメのほうだという話。これなら、駅前の銅像でいいことになるので、ここに伝わるのは、そっちのほうの話なのか…。
でもね、歌の文句も「助けたカメに連れられて…」ですからねえ。
ここから南の海岸線には岬がない。荘内循環路線も乗り継ぎの便がないので、反対回りできた道を引き返すことにした。
引き返してもまた大浜までで、そこから詫間へ行く便に乗り継ぐわけだが、さすがに三豊市のコミュニティバスは市民の足として活用されているらしく、結構たくさんの人が乗り降りする。コミュニティバスも一人だけ乗っているこちらが申し訳なくて肩身の狭い思いをすることが多いが、ここのはそうではない。
顔見知りの人たち同士が、賑やかに会話をしているのが耳に入ってきた。それによると、この日はちょうど、三豊市文化会館でNHKの「のど自慢」の収録があったらしい。
誰それがいちばんうまかったとか、誰が特別賞だったとかいった話が交わされているのをそばで聞いていると、なるほど“みなさまのNHK”のこういう地方回りの地道な努力が、首相のお友達の会長が変なことばかり言ってるオッサンで経営委員からも批判が相次いでいても、組織がだんだんおかしくなっていても、おとなしく受信料を払うことにつながっているのだろうか。
詫間駅に戻ると、線路の向こう側に大きな三豊市の看板があって、美男美女が微笑んでいる。うどん県副知事という要潤のもっている紙の中央には亀に乗った浦島太郎の、そして同じく三豊ふるさと大使という馬渕英俚何のほうの紙にはマーガレットが中央に描かれている。
テレビはほとんど映画(洋画)と野球くらいしか観ないので、どちらもまったく知らないのだが、それぞれテレビや映画や舞台で活躍しているらしい。
古い町並みが残るという仁尾の街も歩く時間がないが、仁尾からの海は燧灘になり、南隣りは観音寺市になる。
三崎を取りあげた同じ日に、kazg さんの「ナードサークの四季」で、「桜 [文学雑話]」として紫雲出山の桜について書いておられ、そこで「でんでんむしの岬めぐり」のご紹介もいただきました。
こういう偶然もあるのですね。こちらの訪問時はご覧のような空模様で、パッとしませんでしたが、kazg さんのほうでは、紫雲出山からの海と桜の眺めがきれいに撮られています。
▼国土地理院 「地理院地図」
34度14分38.60秒 133度34分22.26秒
四国地方(2015/11/01 訪問)
こういう偶然もあるのですね。こちらの訪問時はご覧のような空模様で、パッとしませんでしたが、kazg さんのほうでは、紫雲出山からの海と桜の眺めがきれいに撮られています。
▼国土地理院 「地理院地図」
34度14分38.60秒 133度34分22.26秒
四国地方(2015/11/01 訪問)
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