1345 赤鼻=高松市亀水町(香川県)五色台の北端から東に降りる斜面はミカン畑らしくその降りたところがここ [岬めぐり]
亀水(たるみ)の湾の西で、ゆるく張り出しているところに赤鼻という名前が付けられている。ちょうど東の向かい側に紅ノ峰鼻があるので、紅に対して赤というつもりなのか。
標高245メートルの紅峰から、生島湾を挟んですぐ南には174.8m黄ノ峰、そこからまた南へは82番札所根香寺のある449.3m青峰、そこから南を回りこんでスカイラインを北上すると375m黒峰があり、回りこまずに南から西尾根を伝えばふもとに崇徳天皇の陵と81番札所白峰寺がある380m白峰山、といった山々が連なる。高松市と坂出市の境界にまたがるその一帯を五色台と呼ぶ。
信号三色に黒と白を含めて五色というのは、色彩感覚としてはいささか?だが、あれっオリンピックもおんなじだっけ。それに、“台”というにはでこぼこと峰が多く集まっているところであるが、それでも多少は頂上が平らなところもあって、それらにはそれぞれいくつもの施設ができている。
休暇村もそのひとつだが、五色台の北の端、大崎山には、高松市側に瀬戸内海歴史民俗資料館、坂出市側には香川県自然科学館といった具合だが、そこから斜面を東に降りてきたところが赤鼻の張り出しになる。
赤鼻の上の斜面は、どうやらミカンの栽培が行なわれているらしく、そのおこぼれが道路下と海の間にもはみだしている。
高松から弓弦羽までのバス路線はことでんバスで、その名も下笠居線と古名を汲んでいるが、ここから先へは坂出を地盤とする琴参バスの王越線に乗り換えなければならない。
路線バスで境界線を越えるというのは、えてして至難の業になることが多い。太川陽介リーダーと蛭子さんのテレ東系のテレビ番組をご覧の人にはわかると思うが、バス路線というのは意外に縄張り意識が強い。隣り合う地域を相互に乗り入れたり繋がったりせず、ともするとふたつの異なる地域のバスを結ぶには、延々歩いて行かなくてはならないことも多いのだ。
ここもそうなる危険性は充分にあったのだが、幸いにも坂出の琴参バスがぐるっと大崎を回って高松側の弓弦羽まできてくれる。ただし、その乗り継ぎまでは1時間以上待たなくてはならない。その時間を利用して、弓弦羽から赤鼻まで往復してきたのである。
車窓からでも期待できたのだが、できれば動かないところでじっくり景色も楽しみたい。
崖の上なので少し高いところを通る県道16号線を歩いていると、瀬戸内海国立公園の看板があった。国立公園のなかでも地域が広範囲にわたるので、当然こういうところは指定地域も飛び飛びにでこぼこに限定されているのだろう。ここからは国立公園内ということなのか。
亀水湾から見た赤鼻のすぐ先には、円錐形の島が浮かんでいる。大槌島である。こうして見ると、すぐ近くにあるようだが、赤鼻からは北北西に4.5キロの海中に浮かんでいるこの島は、見えている南側半分が高松市で、見えない向こう北側半分は岡山県の玉野市なのである。
この境界に伝わる話は、それが現在をもきちんと縛っているという点でおもしろい。そのことは前に玉野市のところでも書いたが、江戸時代に備前と讃岐の海上の境界線を決めるのでモメたことがあった。双方が自分たちの海だと主張して譲らなかったために、それではと樽を流して海流を調べそれによる線引をすることになった。その樽を流したのがこの大槌島だったのだが、その結果が問題ですよね。
現在の香川県と岡山県の境界線は、半分コした大槌島から岡山県玉野のすぐ目と鼻の先の直島と深く出崎内に入り込んで弁島の南大部分と豊島までを香川県に取り込んでいるのだ。それが、その樽の…いや海流のせいなのだ。
赤鼻から弓弦羽のバス停に戻る途中で、谷戸に抱かれた集落の黒い屋根がきれいに見える。牛ノ鼻にあった船玉神社は生島にもあり、ここ亀水にもあるというのだが…。それはよくわからなかったが、香西氏の水軍の根拠地としては、牛ノ鼻から生島、亀水とこの辺りまでは当然縄張りが及んでいただろうから、入江ごとに同じ船玉様を祀っていたとしてもちっともおかしくない。
船玉神社は見つからないが、こんな石碑を見つけた。“いとこ会”かぁ。いとこ同士というのはこれもなかなか微妙な関係で、このように会までつくって結束することもあるし、もう何十年も会っていないといういとこ同士も多いはずで…。そのことについては、「599 三本松鼻=舞鶴市千歳」の項で少し書いていた。
スカイラインに日が落ちかける頃、琴参バスがやってきた。折り返すこのバスに乗っていけば、市境を越えて大崎ノ鼻・宮ノ鼻・乃生岬と回りながら坂出まで出られる。
▼国土地理院 「地理院地図」
34度22分49.13秒 133度56分18.95秒
四国地方(2015/10/31 訪問)
タグ:香川県
2016-03-21 00:00
きた!みた!印(43)
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