番外:高松はこれが二度目=高松市(香川県)だが昔の記憶はほとんどなく初めてのようなものなので… [番外]
初めて高松にやってきたのは、もうン十年も昔のことで、大阪から出張できたのだが、そのときどうやってきたのかまったく記憶がない。当然、まだ橋はどこにも架かっていないから、宇高連絡船(フェリーか)に乗ってきたはずなのだが、その記憶がない。わずかに高松の事務所に挨拶に顔を出したこと、仕事が終わって行った栗林公園の松と船からみた玉藻城の海城の佇まいをかすかに覚えている程度だ。橋ができて、それを初めて渡ったときは、坂出から善通寺のほうへ行ったので、高松には寄らなかった。
今回の高松は、それ以来の二度目ということになるが、そんなわけだからまるで初めてのようなものだ。二度目は飛行機だから、市の中心からは南に15キロのところにできている空港からやってきた。
高松港の桟橋に立ってみても、その昔連絡船を降りてどこをどう歩いたのかもさっぱり思い出せないが、今歩いてみると桟橋から高松駅までも距離がある。あたりの景色もすっかり変わっているはずだ。高いきれいなビルなどが桟橋と駅の間にあって、連絡船「讃岐丸」の錨が、モニュメントとして残されていた。
まあ、どうでもいいことっていやあそうなんだけど、全般にこういうものをプランしたり設計したりする人たちの想像力というものに、疑問をもってしまうことがよくある。 鉄の錨を野外に残すなら、当然風雨の中でサビが落ちるということは、すぐにわかるはずなんだけどね。
なんといっても「紫雲丸」のことは、忘れられない記憶である。もちろん、当時のニュースとして知っているだけだが、その影響などについても、前にも、「470 ナキンダ鼻=玉野市宇野(岡山県)宇高連絡船『紫雲丸』を知っていますか?」の項で書いている。この沈没事故があってから後、客車輸送は廃止され、連絡船自体もフェリーや高速船への移行が促進される。そして本四架橋の実現を、大きく後押ししたのもこうした事故があってからのことだった。
宇高連絡船はなくなったが、高松港は今も瀬戸内海の各島を結ぶ航路がたくさんある。直島へ行く大きな船は、草間彌生もどきの赤い水玉模様。小豆島便が発着する桟橋からは、正面に長崎ノ鼻がある。
高松の町も、岬めぐりでJR高松駅で乗り降りしたり、琴電の駅から歩いたり、うどん屋へ行くのにウロウロした程度で、あまりあちこち歩いてはいないが、アーケードの商店街が縦横に発達しているのはなかなか壮観である。
町を歩いていると、さすがにうどん屋が多い。いたるところにある。昔は…とこれもさっぱり覚えていないが、昔からごく普通にあったのだろう。そこが偉大なところなのであって、どこぞのイベント屋が仕掛けたとかなんとかいうのは、どーでもいいことなのだ。
空港から市内に入るリムジンバスから、ちょっと気になる銅像が歩道脇にあるのが眼に入ったので、そこへは改めて訪ねてみた。バスからちらっと見たとき直感的に、「おっ! これは『父帰る』じゃないのか?」と思ったからだが、行ってみるとやはりそれは当たっていた。
そうか、これまで気にしたことはなかったが、菊池寛はこの街の生まれだったのだ。琴電の瓦町駅から西へ向かう通りはアーケードではないが、なんと“菊池寛通り”という名まであり、そのずっと向こうには菊池寛記念館もあるらしい。
岬めぐりで計画がいっぱいなので、そこまでは行く時間はない。せめて、この銅像だけでもどうぞウ…。
県庁や市役所のあるところとJR高松駅の間にある、兵庫町のホテルに3泊して、ここを拠点に香川県の岬めぐりをすることになったのは、ある出版社の連休を利用した行事に、ついでに混ぜてもらったからだ。その会社では旅行のプランも往復は団体行動だが、行ってどこで何をどうするかは、全部各人が自由に考えて行動するという方針なのである。これはユニークだが、なかなかおもしろいし、すばらしく先進的な考え方ではないか。
「よかったら一緒に行きませんか」と声をかけてもらえるのは、とってもありがたいことである。感謝。香川の岬めぐりはまだ岡山側からちょこっとつついた程度でしかない。これ幸いと便乗して、それではと未踏のままだった香川県の海岸をめぐることにしたが、バスの都合などを考慮しながら計画を立てた結果、日々ちょこちょこと出かけては高松まで戻るという行動の組み合わせになった。
だから、掲載順と実際の行動は前後するのだが、屋島の先端の長崎の鼻までで、高徳線沿線、香川県沿岸の東側約半分弱が終わったことになる。
高松駅のホームの端が行き止まりになっているのも、元々宇高連絡船との接続を必要としていたためだ。この後は、予讃線で西へ行くことになるが、その前に予讃線が通らない海岸をバスで回っておかなければならない。というのは、予讃線自体が高松駅を出るとすぐに立ちはだかる山塊を、南に迂回して海岸線からは離れてしまうからで、坂出までは路線バス乗り継ぎの旅になる。が、また高松に戻ってきて出なおしたほうがいい。
それもこれも、香川県といえばなにしろ日本でいちばん(面積の)小さな都道府県だからである。
これも毎度お世話になっている国土地理院が公表しているデータなのだが、まず広いほう上位の三道県が、
1 北海道 83,424.22 (単位:km2、以下同じ)
2 岩手県 15,275.01
3 福島県 13,783.75
となっていて、狭いほう下位の三都府県が、
45 東京都 2,190.90
46 大阪府 1,904.99
47 香川県 1,876.73
となっている。
うれしいね、堂々の47番目。「うどん県」は「日本でいちばん狭い県」なのだ。これこそもっと自慢していいかも。
▼国土地理院 「地理院地図」
34度20分46.83秒 134度2分45.11秒
四国地方(2015/10/31〜11/03 訪問)
タグ:香川県
コメント 0