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1336 房前ノ鼻=高松市牟礼町大町(香川県)低い峠で岬を越える遍路道はどこを通っていたのか [岬めぐり]

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 徳島文理大の丘から西は、さぬき市志度で、志度湾に近い塩屋には86番札所志度寺があり、湾に突き出た港の埋立地にさぬき市役所があり、その南に琴電志度駅とJR高徳線の志度駅がある。
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 ここはさぬき市の西の端で、市役所から600メートル西へ行くと、もうそこは高松市になる。前に、さぬき市は半島を挟んで東の津田と西の志度とふたつの中心があると書いていたと思うが、市役所が西寄りの志度にあるのも、そのほうがなにかと都合がいいからだろうか。
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 ここから琴電の志度線が走っているので、高松市の中心部瓦町まで行くのも便利だ。正式には“高松琴平電鉄志度線”という名前のとおり、高松市街から南西に伸びてこんぴらさんと結ぶ琴平線が本線だが、志度線の南側にもう一本長尾線というのが山を越えてさぬき市まで入っている。
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 志度には86番札所志度寺、長尾には87番札所長尾寺があり、さらにさぬき市の南部の山寄りの多和には88番札所の大窪寺がある。つまり、さぬき市は86・87・88と四国遍路88か所めぐりのオーラス「結願の地」だったのである。
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 そうしてみると、志度も古い門前町であったのだろう。狭い道で四角に区画された街は、志度湾に沿うように広がっている。
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 小さな始発駅から琴電に乗り、原町、房前(ふさざき)、塩屋で降りる。塩屋の駅から歩いてすぐに川を渡り海岸に出られるが、房前ノ鼻はこの河口の水門の向こうにこんもりとしたところである。
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 柵があって、その先には行けないが、琴電の線路も、ここの岬を丸く回りこむようにしてカーブしている。その線路のカーブこそが、今となってはかつての岬の岬たる姿を今に伝える名残りのようなものだろう。
 線路が避けて迂回している低い丘の上には、道の駅など観光施設のようなものがあるらしいが、電車でここを通るときには、その岸壁の一部が見えるだけである。
 琴電の線路がギリギリを通る海岸には道がない。国道11号線が琴電とJRの線路の間で、神社のある丘の裾を切り開いて通っているが、これはあとから新しくできた道だろう。すると、昔からの遍路道はこの岬をどこで通っていたのだろうか。
 塩屋の駅からすぐの橋のところには、「四国のみち」の道標があった。これがどうやら古くからの遍路道で志度寺への道を示しているようだ。
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 ということは、ここを通る県道36号線がそうらしいのだが、この道は南へ琴電の踏切を越えたところで国道11号線に吸収されているようだ。房前ノ鼻を越えるところだけは旧道が国道に乗っ取られたのか。
 県道と国道の合流地点から、少し東へ行った国道沿いには、なにやら大きな工場のような表記があるが、地理院地図では記名がない。Mapionを見ると“ジョージナカシマ記念館”とあった。その人は日系二世の建築家・家具デザイナーで、その技術の流れを汲む木工製作工場がそこにあるらしい。どうやら記念館もその桜製作所に併設されているのか。
 「1330 打伏の鼻」もほぼ同様であったが、こういう海岸線のちょっとした張り出しに岬の名前が残るのは、埋め立てや護岸工事、道路工事などで海岸線の岬らしさがだんだんと失われていく、その経過の途中なのだろう。
 実がその影を薄めていく一方で、名だけが残っているようでもあるが、それが名実ともに岬でなくなるのはいつのことだろう。
 こういう岬をみると、いつもそんなことを思う。
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▼国土地理院 「地理院地図」
34度20分4.56秒 134度9分32.18秒
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dendenmushi.gif四国地方(2015/11/02 訪問)

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タグ:香川県
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