1311 ボロボロ鼻=七尾市能登島田尻町(石川県)名前とは逆できれいに整った形をした岬が漁港を抱える [岬めぐり]
これもどういういきさつがあってこういう名前になったのかわからないが、田尻集落の北のはずれから、小さな漁港を囲むように突き出た岬である。
幅は100メートルに満たないが、その幅を保ったまま、トガ崎へ向かう行止り道路から岬の先端までは340メートル飛び出ている。その半分くらいは平地だが、先の残り半分は10メートルほどの楕円形の小山になっている。その部分は護岸もなく、自然のままの山と海の際が残されている。
そこへは道もなく、小山には自然の植生ではない、植林によると思われる樹木が生い茂っている。道路寄り半分の平地のほうは民宿のような建物が建っていて、どうやら平地のほうはこの民宿の地所のような雰囲気でもある。
家の東西両側が海で、どちらからでも船が出せるようになっていて、南北には森が茂る。こんなロケーションで暮らすというのは、都会人の憧れを絵にしたようではなかろうか。
七尾市内とは言え、市街地から遠く離れた能登島の、そのなかでも北西の端っことあれば、この付近でもやはりネットに上がってくる地域情報はまったくと言っていいほどない。
わずかに出てくるのが釣情報で、熱心な釣り人がこの漁港の防波堤からの釣を紹介しているのがあるくらいだ。この頃では一か所に腰を据えてがんばるというのでもなく、釣り人も車であちこち回るすぐに別の場所を探して移動していくというスタイルが多いのだろうか。
地理院地図は多少データが古いらしく、港の防波堤・堤防も実際とは違っている。比較的頻繁に更新整備が行なわれているらしい港湾では、とくにそのギャップが目立つようである。
この港の堤防は、波もなく高さが水面に近くて、平坦でしかも水深は結構あるらしい。何人かの釣り人の記録をみると、ここはキスやカレイのポイントであるようだ。
そんな釣行記録のなかのひとつには、このボロボロ鼻東の漁港を「三ヶ浦漁港」ではないかとしているものがあった。ほほう、どの地図にも載ってはいないがそういう名前もあるのか。
ただ、その漁港もたいして大きく広くもないので、ふたつの集落が向かい合うこの田尻・久木地区でも、いわゆる半農半漁で生計を立てている家が多いのではなかろうか。
そう思ったのは、港のそばには脱穀機を据え付けた小屋があり、そこから飛び出た太い管からは、もみ殻が吹き出されていたからだし、別の家では米を入れた紙袋を車で積み出しているところだったからだ。その袋には「石川の米 能登のコシヒカリ」と印刷してあった。
田尻・久木のバス停から南には、田んぼが広がっている。
ちょうど能登島を訪れた時期が、秋の収穫のシーズンで、どこでも至るところで同じような風景が見られた。
次の吉ヶ浦鼻と向かい合って漁港を守っているが、ふたつの岬の間はそれぞれの先っちょから先っちょまで350メートル。
▼国土地理院 「地理院地図」
37度9分13.19秒 136度54分23.84秒
北越地方(2015/09/15 訪問)
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