1305 榎木鼻・ヨノ木鼻・浮石鼻=七尾市中島町深浦(石川県)無人地帯の岬は三つまとめて「花咲くいろは」 [岬めぐり]
のと鉄道では、それぞれの駅ごとにテーマを決め、サブの駅名もつけているようだ。
西岸駅は小さな無人駅だが、待合室の壁にはさまざまな張り紙が賑やかでその多くは「花咲くいろは」というコミックのキャラらしい女子高生などのイラストで覆われていた。
その本もベンチ横の本棚に置かれていたので、ぱらぱらめくってみると、どうやら温泉旅館で修業(「修行」ではなく、ここは「修業」です。だいたいブログなどでは「修行」と書いているのが多いが、たいていの場合はそれは「修業」でなければならない。国語の意味を理解して使い分けてくださいね。←またよけいなことを!)する若い女の子たちが主人公のようで、その温泉地が“湯乃鷺温泉”という。それで、西岸駅のホームにはその表示板まで立っていた。
そうか! 焼かき屋で飲んだ塩サイダーのラベルも、「花咲くいろは」のキャラだったのだ。
湾崎の隣にある入江から東へは、榎木鼻・ヨノ木鼻・浮石鼻と名のある岬が三つも連続しているが、これは松ヶ鼻のほうから見ていると逆光のなかにただの黒い固まりにしか見えない。
肉眼では、いちおうそれぞれのでこぼこもなんとか見分けはつくのだが、写真にするとほとんど真っ黒けである。
右の端が榎木鼻で、真ん中に盛り上がっているのがヨノ木鼻、左端の浮石鼻だけは、はっきりとしている。その間、650メートル。そこには道もなく人家もない。
そんな海岸のでこぼこに、ひとつずつ名前をつけたのは、やはり海のほうから、船のほうからみての必要があったということなのだろう。穏やかな水面に浮かんでるブイも、そう言っているようだ。
線路はその内側を通っているが、西岸駅とその南にある能登中島の駅の間に、大きく東に張り出している半島状の出っ張りがあって、高さ40〜50メートルほどの丘が細かいヒダをつくっている。
この三つの岬はその半島の北端にあり、浮石鼻の沖合北360メートルのところには青島が浮かんでいる。能登島にも近いが、やはり西の本土側のどこかの集落の領域に属していたのであろう。
いちばん近いはずの浮石鼻のある半島の北には、まったく人が住んでいなかったので、やはり中島町外か。青島は、真っすぐ西の松ヶ鼻まで870メートル。
念のため、現在の住所を探ってみると、地理院地図では青島の住所表示が出てこない。Mapionでは、これが中島町田岸であると出る。田岸は青島からは北北西に1.2キロという位置関係にある。より近い外(そで)ではなく、より遠い田岸が、青島の所属を手にしたのには、いったいどんなドラマがあったのだろう。
地図からだけの偏った想像では、同じ中島町でも後背地に平地の田んぼをもち埋立もできた外と違って、山と海岸とのわずかな隙間に集落が長く続く田岸では目の前にある海に向かっていくしかなかった…。
ここではMapionに後れをとった地理院地図では、榎木鼻もヨノ木鼻も浮石鼻も、その所在は中島町深浦である。ところが、Mapionではヨノ木鼻までは深浦なのだが、浮石鼻は中島町長浦としているのだ。
長浦は、この半島状出っ張りの東海岸線沿線一帯を広くカバーしている字名で、Mapionはヨノ木鼻と浮石鼻の間に字境界線を引き、深浦と二分している。
これに対して地理院地図では浮石鼻と三ヶ口瀬戸に架かる中能登農道橋の間に線を引き、そこから南が長浦であるとしている。
さて、青島の所在表記では、明記のあるMapionのほうを信用するしかなかったが、この場合はどっちを信用すべきなんでしょうか?
いちおう、見出しは地理院地図によって、三岬とも深浦にしておいた。その理由は、無人地帯のここでは、浮石鼻だけを切り離して長浦にしなければならない積極的な理由が思いつかないから…。
海岸線を一筆書きで辿っていく順番だと、次の岬は長浦にはなく、字(あざ)が変わって中島町瀬嵐の小谷鼻になる。そこはこの半島状出っ張りの南の端なので、最寄り駅は能登中島駅となる。やってきた電車のラッピングも…。
▼国土地理院 「地理院地図」
37度8分35.57秒 136度53分11.38秒
北越地方(2015/09/16 訪問)
タグ:石川県
コメント 0