1297 牛ヶ鼻・椿崎・立木鼻=鳳珠郡穴水町字旭ケ丘・字岩車(石川県)県道からは見えない岬が続いて… [岬めぐり]
旭ケ丘とか夕日ヶ丘とかいう名前は、日本中にいったいいくつくらいあるのだろう。郊外の新興住宅団地に付けられる名前であると思っていたので、能登半島の市街地からは遠く外れた場所でお目にかかろうとは…。
県道34号線のカマエ鼻と牛ヶ鼻の間には、“旭ヶ丘口”というバス停があり、そこから北に続く丘の上一帯が広く字旭ケ丘である。中央を一本の主要道路が走り、周辺には地理院地図では民家やそれよりももっと大きな四角で建物の所在を示していて、Mapionは“南旭ヶ丘”とか“旭ヶ丘3区”といったバス停があることを表示している。それらのバス停は、今乗って走っている穴水宇出津B線とは別の路線である。
どうやら、旭ケ丘は農業団地かなにか、そういう類いのいわば近代の開墾地のようなところなのではなかろうか。そう思って検索してみると、ここにはファーム、観光農園、体験農場、ブドウ畑、ワイン醸造所、ふれあい牧場、ソーラーパーク、高級そうなカフェなどがあることがわかった。
当たらずといえども遠からず…であろう。
牛ヶ鼻は県道から大きく飛び出ているというわけではないのだが、車窓には入ってこない。その理由は、バスが走る県道が海岸から30メートルくらい高いところを巻いているためだろう。そして、この付近から人家が増えてくる。
その家のつくりを見ていると、このあたりは別荘地であったのではないかと思われる。“私道”を強調する立て看板は、それを証明しているようにも解釈できる。
見えない牛ヶ鼻はやがて過ぎ、浅いのと深いのとふたつの入江がかさなっている小湾に沿ってバスは走る。このとき、対岸に見えてくるのが椿崎である。字は岩車に変わる。
入江の岸辺の水中に、丸太を組み合わせた櫓が立っている。これが七尾湾特有の漁法「ボラ待ちやぐら」である。櫓の下に網を仕掛けて、ひたすらボラがやってくるのを待つという、実に気の長いのんびりとしたもので、一時期はかなり数も減っていたが、また少し増えてきたのかな。
ふたつの入江の間の小さな飛び出しの上の丘にも、別荘地らしい区画道路と人家の表記が地図にはある。
深いほうの湾にはマリーナがあって、入江の最奥部のバス停は“椿崎マリーナ”となっている。その看板でもあるかと探したがそれはなく、代わりに“穴水マリーナ”という看板があった。
ふたつの入江の奥にはそれぞれ小流が注ぎ込み、そこでいったん高度を下げていた県道は、マリーナを過ぎると再び坂道を登り、陸の上に上がっていく。
ここもまた別荘地のようなところを横切り、バスは北へ向きを変える。
立木鼻は道路から350メートルくらい離れていて、ここでもまた30〜40メートルの高度差があるので、海岸線はまったく見ることができない。
もっとも、椿崎から立木鼻にかけてと、そこからまた北に岩車の集落の南端までの海岸線は、地理院地図で見るとすべてコンクリートとテトラポットのような護岸工事が施されている。それだけを想像すると、あまり美しい海岸線と岬でもないようだが…。
実を言うと、この七尾北湾の北岸部では海岸線でコンクリート護岸でないところのほうが少ない。袖崎のような岩場の出っ張り以外は、ほとんどがコンクリートで波打ち際は覆われている。
立木鼻を長く覆うテトラポットのような護岸の列は1.5キロにも及ぶ。
そうなると逆に、それを見られなかったのが残念で、ぜひとも確かめてみたかったような気もしてきた。
▼国土地理院 「地理院地図」
37度12分5.46秒 136度58分16.97秒 37度12分14.32秒 136度57分55.50秒 37度12分31.31秒 136度57分26.61秒
北越地方(2015/09/14 訪問)
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