1281 金剛崎(珠洲岬)=珠洲市三崎町寺家(石川県)行かなくて行けなくて正解だった“聖域の岬” [岬めぐり]
禄剛崎にきたのはもうずいぶん昔、1998(平成10)年のことなので、今回も改めてあのずんぐり灯台のある岬に行くつもりでいた。が、結局それは果たせなかった。雨の中、時計を眺めながら岬へ向かう登り道の途中で、時間的にバスの時間に間に合うように、引き返さざるをえなかったからだ。
狼煙(のろし)という地域の名前が岬名になっていないのも、気になるところだし、お天気さえよければ少しゆっくりして次の次のバスまで2時間半ほど待つという案もあったのだが、そういう気分になるような状況ではなかった。狼煙には、広い駐車場と道の駅などもできていたが、2時間も冷たい雨の中で過ごすほどの魅力はない。
そこで、早々に次にやってくる飯田線に乗り換えてしまったのだ。
こういうように計画とは違う結果になることは、往々にしてあるもので、とくに公共交通機関に頼るという制約と、お天気や現地にきてみてからの状況などによって、当初計画をその場で変更することは少なくない。
それを必ずしもマイナスだけに捉えるのではなく、それもありだと肯定的に考えるというのが、「岬めぐり」を続けてきての知恵である。
金剛崎は禄剛崎から南東に2.2キロのところに飛び出している岬だが、地理院地図ではおもしろいことに珠洲岬という表記が併記されている。縮尺によっても表記が変わるが、基本図では金剛崎の横書きの上にかぶさるように縦書きで珠洲岬と表示している。MapionでもGoogleMapでも、その「珠洲岬」表記はなく、それがあるのは地理院地図のみである。
金剛崎も、狼煙からの眺めのみ。というか、これも計画の現地変更で、“…のみになってしまった”ものだ。金剛崎を東端とする比較的大きな三角形の上は50メートルくらいの台地になっていて、海岸線はすべて崖である。このため県道28号線は海岸を巻くことができず、また人家もほとんどないため、台地の奥まった山伏山の裾を通り抜けている。だから、金剛崎へ行くにはバス停からさらに歩かなければならない。
葭ヶ浦の入口までバスで行き、そこから1.5キロも歩けば、金剛崎の上に出ることができるし、道は平坦なのだから、そうむずかしいことではない。しかし、それでもなるべくなら歩きたくない道というのがある。
葭ヶ浦には有名な旅館がある。“ランプの宿”というのがそれで、最初に禄剛崎にくるときにも、そこに泊まれないかと考えていたことを思い出した。結局は泊まれなかったか泊まらなかったか、どっちだったかもう忘れてしまったが、そのときには狼煙の民宿に泊まっている。
やはり、現地での計画変更には、そのときのお天気が大きく影響する。この雨の中を往復3キロも歩いて、またバスの時間まで待つというのも、あまり賢明な策とも思えない。
それで、葭ヶ浦で降りるのをやめて、そのままバスに乗ったままで珠洲市の中心部まで行くことにした。
バスで通り過ぎるところに、広くてまだ新しいような自動車道が、海のほうに向かっていて、周辺にはなにやらけばけばしい幟やら看板もある。葭ヶ浦のバス停から乗ってくる人がいて、バスが停まったときに見ると、“青の洞窟”とか“空中展望台”、さらには“聖域の岬”などという文字が読めた。
うーん、これはかなり悪い予感がする。降りて歩いて行かなくて正解だったかもね。
GoogleMapには写真もたくさん出ている。それをみると、なにか四角いアナの開いた岩とか、崖の上に張り出した鉄骨の上を柵で囲んだものとか、櫓のようなつくりの展望台などがある。“ランプの宿”の写真もあったが、その名が象徴する昔のイメージとはまったく違っているようだ。レビューによるとどうやら岬の展望台などには入場料500円也が必要らしい。また、「日本三大パワースポット!と宣伝されていた「青の洞窟」に行きましたが、正直ガッカリ。第一、一人1500円はちょっと高い。」などという書き込みもあった。
へぇー、そんなことになっているんだ! ちょっとびっくり。
“聖域の岬”というのは、そこに“聖域の岬自然環境保護センター”なるものがあるかららしいが、自然環境保護と観光という名の商売の関係はビミョウで、ここでは“聖域”の名も逆にうまく利用されているようだ。
▼国土地理院 「地理院地図」
37度30分54.07秒 137度20分42.47秒
以前は地理院地図にも、葭ヶ浦から金剛崎へ行く細い道しかなかったが、最近の地図で見ると、広い自動車道ができているのがちゃんと描かれている。
北越地方(2015/09/13 訪問)
タグ:石川県
あそこはですね~、商売っ気たっぷりですよ(笑)
ちょっとやり過ぎです。
海から見るとホントいいとこなんですけどね~。
by ちくわ (2015-11-08 17:12)
@ちくわさんのように、でんでんむしもシーカヤックで海から岬を見てみたいと、思うことがよくあります。
やっぱり、やり過ぎ…ですかぁ、ここは。。 (>_<)ゞ
by dendenmushi (2015-11-09 06:25)