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1277 大崎=珠洲市馬緤町(石川県)義経がしばらく滞在したといい伝えられる泊集落の西側にある小山の張り出し [岬めぐり]

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 25キロにおよぶ珠洲(すず)市の北海岸には、西から真浦町・仁江町・清水町・片岩町・長橋町・大谷町・馬緤町・笹波町・高屋町・折戸町・川浦町そして狼煙町と、12もの(訂正しました)町名が並ぶ海岸を走る国道249号線と県道28号線は、東側終わりの3町を除いて、ずっと海岸のすぐそばの低いところを通る。
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 そのところどころにぴょこぴょこと岩の出っ張りがあって、岬の名が残されているわけだが、馬緤(まつなぎ)町の大崎は、その道中のぼぼ中間地点にある。
 「馬緤」の町の名は明らかに「馬をつなぐ」の意だが、「緤」の字を使うのはめずらしい。この名を見てすぐに思ったのは、ここも義経伝説に関わりがあるのではないか、ということだった。
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 北陸から能登、そして越後から出羽にかけて、この一帯に義経伝説は点々と残されていて、この馬を降りたとか代えたとか繫いだとかいうのや、舟隠しのように類似のものもあちこちに多い。
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 これも伝説・伝承のふしぎな伝播機能によるものだろうが、今となってはことの真偽を明らかにするすべもない。伝説は伝説として受け入れるしかないのであろう。
 先に時国家の項で述べたように、平家高官でただ一人生き残った平時忠が死罪を免れ流罪になったのは、1185(文治元)年秋のことで、その配流地が奥能登大谷の地であった。それには、義経の義父に対する配慮もあったのだろうが、その義経が兄頼朝から追われることになるのは、そのすぐ後である。
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 鞍崎を後にしたバスが長橋の揚浜塩田を過ぎると、珠洲大谷川がつくる小さな河口の平地に集まる大谷の集落に入る。国道249号線は大谷からぐるりとループを描くと烏川に沿って南に向かい、半島横断の山道に入っていくのだが、時忠の墓と伝えられるところは、その道筋を海岸からは2キロも奥に入ったところにある。
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 そこが配流生活の場所と同一なのかどうかは不明だが、罪を問われて流される場所としては海岸よりも山の中のほうがなんとなくそれらしい。
 それから間もなくして時忠の後を追うように逃避行を余儀なくされた義経一行が、能登を通るときに妻の父にあたる時忠を配流の地に訪ねて行ったという話も、あまり無理なく容易にできるものだったろう。
 義経の行動や奥羽への道筋なども、諸説あって確かなことがわからない。そのうえにさまざまな物語や言い伝えや伝説が何層にも折り重なっている。いわゆる史料として確かなものがないので、実際に能登大谷の時忠と旅の途上の義経が会ったかどうかもわからない…。
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 だが、説話はちゃんとこの能登の外浦をめぐるコースでぐるりとつながっているのだ。そのいくつかを並べてみると…。
 ・白崎(「1274 白崎」項)には、義経の舟隠しと伝えられる場所がある。
 ・揚浜塩田の東、清水町には義経がひと太刀で割ったという「義経の割石」がある。
 ・義経一行がしばらく滞在したところが「泊」で、その場所は大崎のすぐ東側で、バス停にその名が残る。
 ・時忠を訪ねた義経が馬を繫いだところが「馬緤」で、現在の町名。
 ・珠洲市狼煙の南にある山伏山(184メートル)は、義経の家来で弁慶と並び称された常陸坊海尊が不老不死となって現れたのでその名がある。
 ・珠洲市三崎町寺家の須須神社は、義経の愛馬が残した爪の跡を刻んだ石があり、義経と弁慶が奉納した笛と短刀を宝物として保管している。
 ・須須神社の近くの塩津にも舟隠しがある。
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 国道249号線は大谷から山に入って時忠墓所のところを通るので、バスは大谷から国道と分かれて県道28号線に入る。
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 県道を行くと、大崎が見えてくる途中に“ゴジラ岩”という標識が立っていたが、どれがゴジラ岩かもわからぬうちに通り過ぎてしまった。
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 大崎もまた50メートル足らずの張り出た小山を迂回するように、鋭角に折れ曲がる岩場の先端にその名がついているが、Mapionではそこではなくすぐそこにある岩に囲まれた島の北端に大崎の表示がある。こういうことはやはり国土地理院のほうを信用したほうがよさそうだし、岩というよりここの飛び出た小山自体を大崎と呼んだのだと思われる。その大崎の道路脇には神社と向かい合う石碑の記号もあるのだが、車窓からは見落としていた。
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 その地理院地図では、神社がある大崎の左手から島に渡る橋がはっきりと描かれているのだが、その橋はすでになく、橋桁だけが残っていた。
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▼国土地理院 「地理院地図」
37度30分27.66秒 137度12分4.99秒
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dendenmushi.gif北越地方(2015/09/13 訪問)

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タグ:石川県
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