1241 八ッ鉢鼻=岩船郡粟島浦村(新潟県)8つあるかどうかを数えてみるまでもないだろうが… [岬めぐり]
八ッ鉢鼻は南西に隣り合う仏崎よりもさらに出っ張りは目立たない。ただ、それは地図で見たうえでのことではあるが。
船が仏崎を過ぎると、すぐに前方に先端が丸くなった八ッ鉢鼻が見えていた。このときにはまだフツーの感じだった。
高さは八ッ鉢鼻も仏崎どちらも同じようなものだが、岬の出っ張りそのものはさほど大ききなく、仏崎には表記がなかった岬をとりまく岩礁が、大きく広く周辺に広がっている。
岬の周辺は、似たようなデコボコがいくつか連続し、その沖には立岩や岩島がたくさん点在している。
この岬についての情報はまったくなく、その名前の由来もわからない。ただ、リストのようなものだけはあってその読み方については、どこが出所かは不明ながらほとんど「やつはちばな」と右へ習へで読みが振られている。
へそまがりは、こういうところでもいささか素直でない。
元来、人々が呼び習わす地名などというものは、口でしゃべりやすいように変化するはずのものである。
たとえば、適切な例かどうかは自分でもわからないながら、「日本橋」が「にほんはし」(橋柱にはどこでもにごりなしで彫られているのが普通。ただ、最近ではそうでないのも…)ではなく、「にほんばし」と言うように…。
ここも、私見では「八ッ」と「ッ」を受ければ、「やつばちはな」のほうが口に乗せるには自然なように思うのだが、どんなもんだろう。
ここには仏崎のような伝説もなさそうだし、「1235 大潤鼻」で紹介したようにChinchikoPapa さんお得意の原日本語にもこの音ではどうも関係がなさそうだ。よりどころがまったくない。はっきり言えば書くこともないので、でんでんむし得意の揣摩臆測で、自由に考えてみることにしよう。
八ッ鉢鼻とは、いちばん素直に考えれば、「8つの鉢の岬」ということになる。ここでいう鉢とは「鉢を伏せたような形」を意味していると考えるにも、あまり無理はない。ここには、8つの鉢を伏せたような出っ張り、岩島などがあるという意味にもとれる。
しかし、それらしきものが8つあるかどうか、数えてみる必要もあるまい。「八ッ」とは具体的に8の数を表す数詞というよりも、数が多いことを示しているというほうがよかろう。
やれやれ、いかにも意味ありげな名前があるにもかかわらず、なんにもわからないのでつまらんことばかり書いている。
いくつかある鉢のような地形のなかでも、当然地図上で岬名表記がある丸い出っ張りがいちばん大きく、海の上からの目線で見ると、なかなか迫力がある。
というのも、ここは岬の突端を取り巻く岩礁の間を縫って、「シーバード」がかなり岸壁近くまで接近するからだ。観光船だからいちおう船内放送はあって、ところどころでなにやら言っているのだが、エンジン音と波の音でさっぱり聞き取れない。
近寄って、まさしく伏せた大きな深い鉢のそばを通り抜けるような感じではある。
▼国土地理院 「地理院地図」
38度28分55.80秒 139度14分40.16秒
北越地方(2015/06/29 訪問)
タグ:新潟県
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