1229 部瀬名岬=名護市字喜瀬(沖縄県)万国津梁は世界の架け橋で西海岸のリゾートへの架け橋はリムジンバス [岬めぐり]
沖縄本島の西海岸を走る国道58号線は、当初は全島を占領した米軍の必要性から軍用道路としてその整備が始まったという歴史がある。現在もその基地や施設は全島にくまなく及んでいるが、西海岸では米軍基地とリゾートがとびとびに点在するという、いささか奇妙な光景を現出している。
部瀬名岬は、名護市のいちばん南西端に飛び出ているので、名護市の海岸からは名護湾越しにその姿が見える。また、島を横断する沖縄自動車道で南から北部へやってくるとき、西海岸で最初に目に飛び込んでくるのもこの岬である。
許田ICを降りて名護湾岸を走るところが、いちばん近くに見えるが、道の駅許田より南では幸喜の出っ張りの陰に入ってしまう。
当初は許田からさらに南下して部瀬名岬まで行くつもりだったが、諸般の事情で車窓になってしまった。
岬の上に見える建物は、万国津梁館かザ・ブセナテラスというリゾートホテルか、あるいはブセナ海中公園の施設なのであろう。この岬一帯は、ブセナリゾートという。なかでも、万国津梁館は2000(平成12)年7月に主要国首脳会議(沖縄サミット)が開かれた沖縄県立のリゾートコンベンション施設で、野次馬的にはそこを見学してみようというつもりもあった。
サミットの沖縄開催を決めた平成おじさんの小渕サンは、これを記念して2,000円札の発行も決めたが、このお札は厄介者扱いされて今では沖縄でもほとんど姿を消しているし、小渕サン自身も病のためサミットにはでることができなかったのだ。それでも彼の銅像だけは、この岬の上に残っているらしい。
万国津梁とは「世界の架け橋たらん」との意味で、この文字が首里城正殿の梵鐘の銘文にあるものからとられているのだが、そんなん知らんでぇという人でも、一度くらいはその文字を見たことがあるのではないか。
そういえば最近はその露出回数が減ったようにも思えるが、沖縄県知事が誰かと会うときや記者会見などをするときに、必ずそのバックに屏風が映っていた。その屏風に書かれていた漢文の文字がこれなのである。
うろ覚えを確認する必要もあるので念のためにと探してみたら、沖縄県のサイトに「知事応接室の屏風について」として、ちゃんとその写真と全文と書き下しが掲載されていた。
琉球国者南海勝地而
鍾三韓之秀以大明為
輔車以日域為唇齒在
此二中間湧出之蓬莱
島也以舟楫為万国之
津梁異産至宝充満十
方刹地靈人物遠扇和 (以下略)
「此二中間湧出之蓬莱島」というのがおもしろいが、確かに地理的にはいちばん早くから中国や東南アジアとの交易によって、文化文物の架け橋になってきた琉球にふさわしい。
その万国津梁館も、もうサミットが二度三度と開かれるわけでもないから、高級な結婚式場と貸会場とカフェになっている。
当然ながら、多くのナイチャーにとって、沖縄が旅行先として浮かんでくるのは復帰後だが、当初は沖縄出身者や縁者・出身者・関係者の往来が主だったのが、海洋博では一時的には観光客も増えた。しかし、その後は急速に落ち込んでしまう。
そこでその後で始まったのが、大手広告会社や航空会社・旅行会社・沖縄観光関連団体などによる、大々的沖縄観光キャンペーンだった。
小麦色に日焼けした若い女性の水着姿のポスターやCMなど、ものすごい広告量で、多くの人にハワイやグアムより身近な沖縄旅行にあこがれを抱かせたが、そこで大きな役割を担ったのが西海岸に続々とできたリゾート・ホテルである。
そのハシリとなったのが、1975年に沖縄資本でできたホテル・ムーンビーチといわれるが、それが本格化するのは1983年の万座ビーチホテルの開業以後であろう。その後も、ホテルは増え、そしてここ部瀬名にはザ・ブセナテラスもできた。
そのなかで、団体旅行から個人旅行へという底流変化もありながら、白い砂のビーチに白いホテルという沖縄のリゾート・イメージは定着していく。
岬めぐりのでんでんむしは、西海岸のリゾート・ホテル体験は、残波岬のホテルに泊まった以外はない。万座毛にも読谷にも北谷にも、岬がないからである。しかし、恩納のルネッサンスリゾートオキナワには、食事と休憩とリムジンバスに乗るために立ち寄ったことがある。
沖縄本島のバス路線は、東海岸に比べると西海岸ではあまり便利にできているとは言えない。そこで、利用価値があるのが那覇空港から西海岸の各ホテルを結ぶリムジン・バスなのだ。これには、4系統(前の記録では2系統となっていたので増えている)があるので、行き先のホテルによって使う路線が異なるが、いちばん距離が長く走り、空港から北へ遠くまで行くのはDエリアのリムジン。
その終点が、ブセナリゾートエリアの喜瀬ビーチパレスなのである。
257 殘波岬=読谷村 258 真栄田岬=恩納村
▼国土地理院 「地理院地図」
26度32分35.09秒 127度56分0.12秒
沖縄地方(2015/04/04,08 訪問)
タグ:沖縄県
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