1222 長瀬崎=国頭郡国頭村字奥(沖縄県)ヤンバルクイナの鳴き声も聞こえる沖縄本島北部の奥 [岬めぐり]
ヤンバルクイナは、大きな鳴き声が特徴的らしい。村営バスが終点の奥に着いたとき、バス停にやってきていたおじさんが話してくれたのだが、そこらの山からでも鳴き声が聞こえてくるというのだ。
前項で紹介した最初の個体捕獲の前から、その鳥の存在は知られていたようだ。実はイリオモテヤマネコ発見の一年前の1964年に、鳥の声を録音して集めていた蒲谷さんという人が、その鳴き声を収録していたという。だが、その鳥がなんなのかはわからず、「変な声」とメモを残していたと、山階鳥類研究所の記録にある。その録音が採取された場所は、西銘岳。
標高420メートルのこの山は、奥川をバス停から3.5キロほど南に遡っていったところにそのピークがある。
軽をバスと並べて停めたそのおじさんは、バスを運転してきた人と知り合いで、待ち構えていたらしい。折り返して辺土名へ戻る便の出発時刻までは、1時間ちょっとの間がある。その間にゆっくり話をしようというつもりのようだ。
バスが着いたところは、奥川の左岸で集落の東、国道58号線の脇に設けられたバス停で、奥川が流れるそばにある。気持ちのよさそうな緑地が広がるこの付近では5月のシーズンには鯉のぼりをたくさん泳がせるという。
川の向こうには、赤い屋根の戸建ての家が並んでいる。村営住宅にしては立派すぎるな、と思ったら、これは“奥やんばるの里”という沖縄民家風の宿泊施設であった。どうやら公営のような?…。
沖縄の伝統的な民家というのは、一番座、二番座、板間、それから雨端といった間取りが基本である。5月の連休は満室だったと言うから、こんな沖縄本島の奥の方まで、ちゃんとやってくる人が多いのに感心する。
バス停から奥小学校や奥港のある入江に出る。ここでは北に向かって開けた入江の東に飛び出している岬をチェックしておかなければならない。
この岬は、幅が東西1キロ以上はあるずんぐり岬なのだが、ここには地理院地図でもMapionでも名前がついていない。
なのにわざわざここに一項目を設けたのは、ここまでタダで連れてきてもらった国頭村村営バスに感謝と敬意を込めて…。とは大げさだが、国頭村ではこの長瀬崎は認知しているらしく、バスの路線図などにしっかりと記しているからである。
赤崎の辺りで盛んに降っていた雨を、村営バスは追い越してきたようだ。
後から追いついてきた雨が、しとしとと降り始めた。
長瀬崎は70メートルくらいの高さを持つ台地のようになっていて、周囲は崖と岩礁で取り巻かれている。その西の端では、岩礁を利用して築かれた港の防波堤が伸びている。
どこにでもありそうな、いかにも平凡な岬の光景ではある。
▼国土地理院 「地理院地図」
26度50分42.48秒 128度18分0.98秒
沖縄地方(2015/04/07 訪問)
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