1221 赤崎=国頭郡国頭村字楚洲(沖縄県)県道70号線を走る車は飛べない鳥ヤンバルクイナに注意 [岬めぐり]
第1次の日本全国岬・崎・鼻調査統計結果(2008年1月でんでんむし調べ)では、岬の名前でいちばん多いのが黒崎で50、赤崎33は4番目で、白崎15も上位10に入っていた。つまり、岬に色がつく名前は、黒・赤・白…である。
それ以外の色が名前についている岬は…ちょっと考えてみても思い浮かばない。「青崎」なんかはあってもよさそうだが、でんでんむしの通った広島市立の小・中学校が青崎小学校・青崎中学校だったものの、岬名として残ってはいなかった。それ以外の色は、やっぱりないねえ。
黒赤白のうち、黒崎だけは実際に岬が黒いわけではなく、“黒く見える”というイメージでついたものが多いので数が増えているのだろう。が、なかには事実黒い岩石や崖が露出していて、それが名前になったのもある。
赤や白の場合は、実際にその岬の地質の特徴、たとえば赤は赤土であり白は石灰岩などによることからつけられたものが多い、とみてよいだろう。
国頭村(くにがみそん)楚洲(そす)の海岸近くを走っていると、この付近は砂浜あり、岩礁あり、立岩あり、珊瑚礁あり、でっぱりもいくつかあり、なかなか楽しそうな海岸線だ。だが、実は防波堤や人工ビーチなどによる自然の変化も続いているらしい。雨の車窓からはそれは伺えない。
そのなかに赤崎があり、これは文字通り付近一帯が赤土が多いという特徴を示している。
赤崎は、県道から東に飛び出た44メートルの独立した小山の先っちょにあたり、その南を小さな水流があって谷をつくっている。浜の砂も、赤みがかっている。
ここからしばらくは車窓の外では雨が続いていたが、帰りには雨はどうにか止んでいた。赤崎の写真は、帰りに北側からみたところである。
全体に、沖縄本島の東北部の沿岸では、集落も多くなく、人口も少ない。滅多に観光客なども行かない、沖縄の秘境であるかもしれない。したがって、この付近のことがネット情報に表れることはまれであろう。
そんななかで、国頭村楚洲の赤崎だけは例外で、たくさんの項目が検索で出てくる。そのほとんどは、ここでキャンプした、ダイビングした、展望台からの景色がきれい…といったものである。
こちらが知らなかっただけで、「アダンビーチ」とも呼ばれていたらしいので、結構な人気スポットだったのか。
暗い雨の中ではあるが、確かに“アダンビーチ展望台”という看板を掲げた建物もあった。
県道70号線には、あちこちに濃く黄色い◆の標識が立っている。標識に描かれているのは「やんばるふんばる」の村営バスにも描かれていた、あのヤンバルクイナである。
この類いの標識を最初に見たのは、初めての八重山訪問で、西表島の道路に掲示されていた“イリオモテヤマネコ注意”の標識であった。今では、全国のあちこちでこれと同じような標識も増えているようだが、要するに道路標識だから、「この道路には野生動物が出没するから、運転には充分気をつけるように…」という意味である。
クイナ科に属する鳥は世界中で約130種も生息しているというが、そのなかでここヤンバルだけにしかいない固有種であることが発見確認されたのは、1981年のことであったから、1965年のイリオモテヤマネコよりずっと後のことになる。山階鳥類研究所の研究員などによって初めて捕獲され、新種と確認され、1982年には国指定天然記念物に指定されている。
飛べない鳥ヤンバルクイナは、羽根が使えない分足とくちばしが発達していて、ヤンバルの森の中を住み処としている。ハブ退治のために人間が森に放ったマングースが最大の天敵で、ほかにハシブトカラスやネコなどの影響もあって、やはりどんどん数が減っている絶滅危惧種である。
せめて交通事故死“ロードキル”だけは、なくしてやりたいものだ。
しかし、野生で飛べない鳥というのは、なにかしら詩的というかなんというか、だなぁ。
▼国土地理院 「地理院地図」
26度49分15.21秒 128度18分56.52秒
沖縄地方(2015/04/07 訪問)
タグ:沖縄県
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