マエサトビーチは人工の砂浜で干潟もほとんど生物がいないのでちょっと淋しい…(52)(シーズン3) [石垣島だより]

「珊瑚礁」という響きには、深い憧れがある。多くの人がそうではないだろうか。石垣島はそのぐるりをほとんど全部、珊瑚礁で取り巻かれている。
だが、通常はそれは遠くの水平線の手前のリーフに砕ける波が白い帯となって見えているだけで、そこへ行くには船でもチャーターしないと行くことはできない。

島には、砂浜のきれいなビーチがあちこちにたくさんあるが、海水浴場など観光行楽施設としてあげられるところは、川平や底地、フサキや米原など数か所があるだけだ。
マエサトビーチもそのひとつなのだが、ほかと違ってここはどうやら人工の砂浜らしい。ANAのホテルができるときに、あわせて整備されたのかもしれないが、ホテルのビーチ施設がある。

公の海岸なので、ホテルが独占するわけでもなく、ただ一本のビーチへの入口からは誰でも自由に出入りすることができる。ホテルの宿泊者用にはパラソルやビーチタオルなどの便宜も図られているが、宿泊者でなくとも料金さえ払えばすべてのサービスを利用できる。

木陰のない砂浜では、ビーチパラソルが必需品だ。直接日が当たらなくても日に焼ける。いちおう日焼け止めは塗っていたが、足に塗るのを忘れていたので、足の皮はむけてしまった。

このビーチは、珊瑚礁の内側海岸の一部を二本の石積み堤防で囲い、そのなかの岩を除いて砂を入れたものだろう。

その石積み堤防の外側は、ビーチ造成前の真栄里の海岸であった、その昔のままの様子を示している。珊瑚礁のなかはラグーン(礁湖)と呼ばれる。石垣島の周囲を取り巻くラグーンは、見た目にはいわゆるエメラルドグリーンの浅い海面が広がっている。

「珊瑚礁」のなかの広くて平らな浅瀬は、そのほとんどが琉球石灰岩の岩だなで覆われている。干潟には緑の海藻があり、浅いポンド(潮だまり)もたくさんあるが、一般的に想像される干潟の楽しさは、残念ながらここにはない。
なぜか、生物・生命というものがほとんど眼につかないからである。

瀬戸内海で過ごした人にはよくわかるだろうが、普通干潟や潮だまりといえば何種類もの小魚や貝類や海藻類や、ヒトデや海鼠やウミウシなどなど、たくさんの生物であふれかえっている。
場所にもよるのだろうから、いちがいに決めつけることはできないだろう。あるいはまた、珊瑚礁のリーフ近くまで行けば、もっと事情は変わるのであろう。が、瀬戸内海や三浦半島のそれから比べると、石垣島の海岸の干潟は淋しい。

ちょうど引き潮の磯でわずかに見つけた生物は、体中に藻のようなものをくっつけた小さなカニと、三本の長い角を出しているイソギンチャクの仲間のようなものくらいであった。

ビーチの西は八島の港湾に続き、東には原発をもたない唯一の電力会社沖縄電力の塔があり、その先は大浜の海岸につながっている。





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