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1197 鵜の巣崎・黒崎=陸前高田市広田町(岩手県)三陸ジオパークの基盤大地は北と南で異なる成因からなる [岬めぐり]

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 三陸海岸と呼ばれる地域は、北は青森県の八戸市から南は宮城県の気仙沼市まで、ゆるく弧状に膨らみながら220キロも続く。これまで、震災前にその北部と南部を訪問して岬めぐりの過去記事に掲載し、震災後も南三陸と気仙沼を訪問していたが、それに加えて現在継続中の三陸中間部の訪問で、ひとわたりめぐったことになる。
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 今回の三陸リアス海岸の岬めぐりも、いよいよ終わりに近づいてきた。山田・大槌・釜石・大船渡と南下してきたが、ここまでの海岸線のでこぼこは、だいたいにおいて東向きであった。綾里崎までの岬は、揃って東の太平洋に向いて突き出していた。
 それが、大船渡も碁石岬から陸前高田、そして気仙沼と南にかけていくと、半島の先端にあたる岬は南のほうに向きを変えている。
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 このことは以前から頭にあって、なにかあるのではないかと気になっていた。
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 この地域は、“三陸ジオパーク”として括られ、その範囲は青森・岩手・宮城の3県16市町村からなる。当然、ジオパークとしても日本最大の規模を誇る。が、誇っていいのは、その活動であろう。三陸ジオパーク推進協議会などが中心となって、幅広く展開している活動は、今後のこの地域の復興と発展にもおおきな役割を持つと思われる。
 そこでは、積極的にさまざまな情報発信もされているので、ちょっと調べてみればいろいろなことがわかっておもしろい。
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 そうした情報のなかに、でんでんむしが気にしていたことの、ひょっとしたらこれがその答えかもしれない、と思われるものもあった。
 それらをてきとうにつまみ食い援用しながら、ここらで三陸リアス海岸のおさらいを試みてみたい。
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 まず、三陸海岸の後背地となる北上山地は、おおきく2つに分けられるという。その境界線は、JR山田線の中間部の南に位置する早池峰山から、JR釜石線の五葉山北の鉱山地帯を通って越喜来付近に引かれるらしい。
 そして、この境界線から北側を「北部北上帯」、南側を「南部北上帯」と呼ぶ。北部は、3.2~1.4億年前に深海底に溜まった堆積物や海山などがプレートに乗って移動し、およそ1.8億年前から大陸にこすり付けられ、付け加わったもの(なつかしい付加体だ。これについては四国高知県の「518 松崎・城ヶ鼻・岩ヶ崎」の項や、「527 大長岬」の項などでふれた)である。南部は、およそ4.4億年くらい前に現在の赤道付近にあったゴンドワナ大陸の一部で、その後分離し、プレートの移動によって運ばれてきたものだ。
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 まったく生成の要因も過程も異なるこの2つの基盤となっている大地の違いが、海岸線に飛び出た岬の向きとちょうど、ぴったりと符合するのだ。シロウトの勝手な推測と思い込みだが、これはかなり当たっているのではないか。
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 これで、碁石岬から南にかけての半島と岬の向きが、南にふれていることの説明は充分につくのではないか…と、ひとり悦に入っている。
 東からプレート運動に乗って運ばれてきた海底堆積物と、南道付近にあった古大陸(ゴンドワナ)の一部が押し上げられて、その両者がぶっつかったのが、1億数千年前のことだった。
 その後も太古から長い間のマグマ活動や、地殻の隆起や侵食など、さまざまな地球活動によって形成されてきた三陸の地質や地形、複雑なリアス海岸は、景観としても楽しむことができるが、もう少し地面の下に掘り下げてみると、これがただの凸凹地帯ではないのだ。
 超大陸ゴンドワナの一部であった早池峰山以南に広く分布する古生代~中生代の地層からは、さまざまな鉱物資源のほか、生物化石が数多く産出することでも有名である。
 三陸のジオパークは、5億年も前から連続する地球の歴史が、あちこちに散らばっている、日本でもめずらしい地域だということもできる。
 今後も、これらにもっと普通の人が身近に楽しめ、興味を持てるような施策が伴ってほしいものだと、つくづく思う。
 宮沢賢治のような人が、彼のような興味を持った人が、この地域に生まれたのも、単なるたまたまの偶然ではなかったのだろう。
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 広田半島は、半島の中まで入って行くことができなかったので、碁石からの眺めだけになる。
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 「鵜の巣」と「黒崎」というのは、同じ名が「北部北上帯」の岩手県北山崎の周辺にもあって、そっちのほうがネット情報では有名らしい。以前の岬めぐりでそこへ行ったときには、「455 鵜ノ巣断崖(水尻崎)」鵜ノ巣断崖 も、「451 黒崎」灯台のある黒崎 も、すべてが深い霧のなかだったなあ。

▼国土地理院 「地理院地図」
38.967153, 141.717696 38.951769, 141.727051
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dendenmushi.gif東北地方(2014/11/06 訪問)

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タグ:岩手県
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