1188 尾崎岬=大船渡市赤崎町(岩手県)地理院地図などでは岬名の表記がちょっとヘンなのだが… [岬めぐり]
「く」の字に折れ曲がっている大船渡湾は、上半分が大船渡港になっているようだ。弁天岬から南に下ると、いくつかの小島を抱えた細長い入江の両岸には、「∴ 下船渡貝塚」とか「∴ 蛸ノ浦貝塚」が地図上に表れる。
なるほど、ドラゴンレール大船渡線のバス車窓から眺める入江の風景は穏やかで、こういうところに太古の昔から人が住み着いたというのは、非常に納得がいく。しかし、その穏やかな自然も突然、予告もなしに牙をむいて人間に襲いかかる。
湾の対岸一帯は、赤崎町となっていて、三陸鉄道南リアス線の陸前赤崎駅の北の山奥から港の南端にある尾崎岬まで8キロにわたって続いている。
「く」の字が折れ曲がるのが、ちょうどこの尾崎岬のところで、ここから南へは大船渡湾が外海に向かって解き放たれていく。
「尾崎岬」というのは、国土地理院の地理院地図に表示してあったので、ここに項目をあげてみたのだが、実はその表記が少々微妙で、通常の岬表記のように海岸の出っ張りの先についているのではない。小さな半島の出っ張りの山の中につけられている。
字名かと思えばそうでもない。通常の岬表記、島の表記などと同じく斜体文字で示されている。ということは、この130メートルのピークをもつ出っ張り全体を尾崎岬としているのか、とも考えられるが、ここだけそうしなければならない理由が想像できない。
下船渡付近までくると、尾崎岬が見えてくるが、そのこちら側には復興が進んでいるところもあるが、その間には土台の後だけが残された空き地も多い。
弁天岬からは3キロほど南に飛び出た出っ張りには、集落はほとんどないようで、麓と山の上に神社がふたつある。どちらも尾崎神社という名なので、山頂が本宮だが、麓にも社殿をおいて参拝がしやすいようにしてあるのだろう。となると、この出っ張り全体がご神体かなにか、そういう聖域であったのではないか。そうすると「尾崎」は「御崎」であったのかも知れぬ。
Mapionでは、この出っ張りのなかに“フレアイランド尾崎岬”という記載があるので、レジャー施設かナニかなのだろう。そして、そこには“赤崎中”と記述もされている。
はて、集落もないところに中学校が…。これにも謂われがあるに違いない。そう思って調べてみると、ありました。
かつては、尾崎岬の北の蛸ノ浦にあった大船渡市立赤崎中学校は、震災後一時は避難して大船渡の中学校と一緒になっていたが、この尾崎岬に高台移転してきたものらしい。
尾崎岬の南岸は崖になっていて、いくつかの小島が浮かんでいる。そこから南対岸の細浦にかけては1キロくらいの水路が開けている。この水域も養殖漁業が盛んで、たくさんのブイが浮いている。やはり、三陸では筏よりもブイのほうが主であるらしい。
「く」の字の角にあたる部分から南にかけての一帯は末崎(まっさき)町で、この町の領域もまた広い。赤崎と大船渡湾南部を挟んで向き合う碁石海岸と碁石岬のある半島全部が末崎である。
この付近からドラゴンレールは南に向かうが、並走してきた国道45号線とバイパスの大船渡三陸道路は、西の山に向かい、通岡峠を越えて陸前高田にでていく。バイパスと国道が無視して過ぎて行く南には、大船町末崎町と陸前高田市広田町のふたつの半島の出っ張りがある。
実際の行程は、このまま細浦を経て、ドラゴンレールの碁石海岸駅まで行き、碁石浜に泊まって翌朝に碁石海岸から改めて赤崎町と三陸町綾里の海岸を眺めることになる。
次の岬は大船渡湾の湾口を隔てた南の碁石海岸からみる綾里の南海岸の岬、となる。項目の掲載順は、ここではこの見た目の順になっている。なにしろリアス海岸の凸凹だからちょっとややこしいけど、ついてきてね。
▼国土地理院 「地理院地図」
39.025374, 141.731804
東北地方(2014/11/05 訪問)
タグ:岩手県
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