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1185 舘崎=大船渡市三陸町越喜来(岩手県)死骨崎に首崎に脚崎に…こんな岬の名から想像できることはなに? [岬めぐり]

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 すぐに自虐ネタになりそうな越喜来(おきらい)という名も、元々は“鬼喜来”つまり鬼も喜んで来る(入江が織りなす地形が複雑で隠れるのに適していたから?)という意味だったともいうが、蝦夷(えみし)の勢力圏であったこの広い東北の一帯では、その時代の記憶も記録も極めて希薄であるといえるだろう。断片的にもそれが残るようになるのは、主に中央政権の派遣した北征討伐軍の活動以降と考えられる。
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 その過程で、征伐されるほうの旧勢力も、そう簡単には屈服するわけがなく、強い抵抗をしたのは当然で、強い敵の印象と記憶が“鬼”という形になって伝説化していったことは、充分に納得できる。
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 死骨崎に首崎に脚崎…吉浜湾から越喜来湾にかけての半島の先端には、そいった岬の名が並び、鬼間ヶ崎に鬼沢といった直接に鬼の存在を示したものもあれば、地図には出てこない隠れた地名や言い伝えも多いようだ。
 最終的には坂上田村麿呂が大軍をもって、リアス海岸に潜んで抵抗を試みる鬼たちを攻め滅ぼすことになるが、越喜来湾の南湾奥にある鬼沢は、そのときに鬼の一部が逃げ籠もった末に討ち果たされた場所で、その死体は再生できないようにバラバラにされて海に投げ捨てられた。そして、その脚が流れ着いたのが脚崎、首が流れてきたのが首崎、しばらく経って骨になって流されてきたのが死骨崎だと、伝説は語るのである。
 鬼間ヶ崎もそうだったが、越喜来湾北側にある舘崎は、小さな出っ張りが湾に飛び出たところで、平らになったその上は館など拠点を構えるには適当な場所だったのだろう。また、こういう場所はほかにもたくさんあったのだろう。この岬の付け根には舘という地名が今もあるし、鬼沢の南にも舘ヶ森という地名が残っている。
 ただ、こういう海岸の要衝に館を構えるというのは、なにも鬼に限ったことではなく、戦国の世まで日本中どこでもあったことなので、後世の地域の有力者などが拠点としたという名残りでもあるのだろう。
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 三陸駅に降りたとき、少し高いところにあるホームの下に、マイクロバスが停まっていた。これはコミュニティバスだったのだが、崎浜へ行くバス乗り場を運転手さんに尋ねると、そこまで乗せていってくれた。所通(ところがよい)というそこは、駅からは若干離れているのだ。
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 これも本当は、駅から勝手にふらふら海岸に向いて歩いてみたほうが、舘崎ももっと間近に見ることができてよかったかもしれない。そんなんばっか、なのだがこれもいたしかたない。こういうこと一切合切を含めて、めぐりあわせというしかない。
 マイクロバスで連れてきてもらった周辺で時間までふらふらすることになった。
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 浦浜川が流れ下る河口に近い三角の平地は、もちろん全部津波被災で跡形もなくなっていて、海岸寄りでは重機が動き、土砂がうずたかく積み上げられているいる。どこもかしこも、被災地では共通の風景が広がる。
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 残った道路のそばにはプレハブの商店街ができているようだ。山際の高いところの民家は残ったが、そのすぐ下まで津波は及んだ。越喜来中学校の下の川沿いにある桜の幹には、不自然な傷跡がついていた。
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 浦浜は越喜来地区の中心地であったようで、かつての役場か市役所支所だったのではないかと思われる大きな建物も被災し、その復旧か解体かどちらとも判断つきかねるような佇まいで建っていた。
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▼国土地理院 「地理院地図」
39.107348, 141.814087
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dendenmushi.gif東北地方(2014/11/05 訪問)

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タグ:岩手県
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コメント 2

通りすがり

地元民です。「鬼喜来」ではなく 「越鬼来」が本当の由来です。
by 通りすがり (2018-04-21 19:46) 

dendenmushi

@通りすがりさん、コメントありがとうございました。「越鬼来」が元々の名だったということですね。
by dendenmushi (2018-04-22 06:39) 

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