SSブログ

1169 熊ヶ崎・伝作鼻・浪板崎=下閉伊郡山田町(岩手県)カキやホタテの養殖筏とブイも復活して浮かぶ山田湾にはオランダ島 [岬めぐり]

namidensaku-8.jpg
 山田湾の湾口である明神崎の付近ではその幅は500メートルと狭く、その内側は広く大きく湾が広がっている。このため外海からの暴風や津波による波の影響は減殺されて、これまで大きな被害は出していなかった。岩手県沿岸で2,500人を超える犠牲者を出した昭和三陸津波(1933)でも、当時の山田村の死者不明者は7人だけだった。
yamadawanM.jpg
 2011年の大震災でも、最初にきた津波は3メートルの防波堤をやっとじわじわ越えるくらいで、いったん高台に避難していた住民たちはこれを見て安心して、貴重品や荷物などを取りにまた家に戻った。そこへ、潮が大きく引いて湾内のふたつの島の間の海底が広く露出した。と、一瞬にて大きな波のうねりが盛り上がって町を襲い、何もかも呑み込んでいった。今度は南部の船越から10メートル以上の津波が、船越半島の付け根を越えて山田湾に流入した…。
 被災後の4月17日の「河北新報」は、山田湾は津波に強いという過信が、死者不明者900人超を数える被害につながったのでは、という記事を載せていた。
namidensaku-1.jpg
 「道の駅やまだ」から国道45号線を北へ歩いて行くと、正面に小山のような盛り上がりがある。これが浪板崎の出っ張りなのだが、海は見えない。道路の両脇には、やはり主に復興工事の人のためのような宿泊施設ができている。
namidensaku-2.jpgnamidensaku-3.jpg
 浪板崎の尾根を下ると、山田湾の海岸に出るが、その手前にあるガードは、不通になったままのJR山田線の鉄橋である。
namidensaku-4.jpg
 これをくぐると山田湾に浮かぶふたつの島、大島・小島というのが見えてくる。実際には島は4つあって、ほかに女郎島・弁財天島という小さいのもあるが、浪板崎からは左手に見える大島の北奥向うが熊ヶ崎、西が伝作鼻である。大島は別名オランダ島ともいわれる。namidensaku-7.jpg
 伝作鼻の手前には、織笠川の河口が大きく広がり、そこには織笠大橋が架かっている。津波と火災で大きな被害をだした山田町の中心市街地は、伝作鼻のさらに北側にあるはずなのだが、次の釜石へ戻るバスに乗るには、早々にここらで引返さなくてはならない。
namidensaku-5.jpg
 山田町観光協会では、「山田町の今 ~写真による報告~」というページを設けている。被災の状況と復興の過程を写真で記録しようというもので、その一文にはこうあった。

 2011年3月11日、東日本大震災により多くの沿岸の町と同様に山田町も壊滅的な被害を受けました。
 被災後間もない頃、情報の少なさから山田町の状況を知りたくてもなかなか知ることのできない人たちへ何か伝えられるものはないかと、「山田の今」の写真の掲載を始めました。
 あれから幾分かの月日が経ち、震災の資料もいくつか出、被災直後と比べ町が変化する速度も落ち着いてきた中で、写真を更新する意味とは何だろう?と問い直し、忘却との戦いなのだと思いました。

 
namidensaku-9.jpg
 大島のことをオランダ島と呼ぶのは、1643(寛永20)年にオランダ船ブレスケンス号がここに着いて上陸し、捕縛されたという歴史上のできごとが記憶されているためだろう。
 マルコ・ポーロが「黄金の島・ジパング」をヨーロッパに紹介したことになっているが、そのせいでか東方に金銀を豊富に産出する“金島”・“銀島”があるという伝説は、広く信じられていたようだ。
namidensaku-10.jpg
 ブレスケンス号がなんのためにここまでやってきたかといえば、まさにその“金島”・“銀島”を探すためだったというから、人間を突き動かす欲望のすさまじさには驚く。僚船とともに日本沿岸を北上中に房総半島沖で暴風雨に遭い、千島列島沖まで流されたあげく、また南下して陸奥国山田浦に漂着したこの事件は、この後多少の外交の駆け引きの元(まあ簡単に言えば頭を下げるかそうか)になる。
 ちょうどその時期は、三代将軍家光政権の末期にあたり、スペイン人続いてポルトガル人の来航を禁じ、島原の乱をなんとか押さえ込み、平戸にあったオランダ商館を長崎の出島に移して、オランダ船の長崎入港に絞って幕府の貿易統制独占権を確保し、いわゆる鎖国体制が完成したところであり、これを機に、オランダも屈辱に耐えても経済的独占的優位を選ぶ姿勢を明確にしたのであった。
kumagasaki-1.jpg

▼国土地理院 「地理院地図」
39度28分51.45秒 141度59分1.01秒 39度27分30.82秒 141度57分40.05秒 39度26分56.11秒 141度58分12.81秒
orandajimaM.jpg
dendenmushi.gif東北地方(2014/11/05 訪問)

にほんブログ村 その他趣味ブログ<br />その他珍しい趣味へ 人気ブログランキングへ
タグ:岩手県 歴史
きた!みた!印(25)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:地域

きた!みた!印 25

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

トラックバックの受付は締め切りました