1166 チカポイ岬=斜里郡斜里町大字遠音別村(北海道)岬と滝と灯台と断崖と入江と森がぜーんぶ一度に楽しめる贅沢コース [岬めぐり]
斜里郡斜里町大字遠音別村は、ホロベツ川以北、半島の西側全部、先端の知床岬までがその範囲になっているようだ。ということは直線距離で38キロもある、ものすごく広い大字である。
知床五湖まで行くバスは、知床峠に向かう本線から、知床自然センターのところで分かれて北東へ進むが、知床自然センターで降りることにした。
これも、バスの中であれこれ考えながら、迷いながら、エイヤッと決めてしまった。ここからは、プユニ岬の北に続くチカポイ岬やフレペの滝や灯台につながる点線の山道があるから、知床五湖よりもそこへ行ってみるほうがよかろう、という結論に達した。
なぜか中国人のグループまでうろうろしている、知床自然センターのおねえさんに聞くと、20分もあれば行けるという。道もきつい登りはなく、それならごく楽勝である。館内にはクマの掲示もあったので念のために「クマは出ませんよね」というと、そのおねえさん即座に「出ます!」という。つい数日前にも目撃情報があったのだそうだ。
万が一、クマに出合ったときの注意を聞いて、まずセンターの建物の裏から森の中に入っていく。ゆっくり下ったところが開けた潅木地帯になっていて、岬の上までの道を進む。灯台まで行って、そこからとも思ったのだが、灯台への道は閉鎖中であるというので、分かれ道を左に辿って行くと、展望台が見えてきた。
チカポイ岬は、展望台から北に下りて行く幅の狭い尾根状になった岬で、大きな木はない。両側は断崖になっているが、左手は展望が利かない。
この左のほうがプユニ岬なのだが…と思ってみても、木が茂っていてよくわからない。
そのかわり、右手のほうがきれいに開けていて、細くて深い切れ目を挟んで対岸に灯台を載せた岬が出張っている。この岬には名前がないが、灯台にはウトロ灯台という名がついているらしい。この付近では、ほかに灯台らしいものはないので、ここがウトロ地域すべてを代表しているのだろう。
このチカポイ岬向かい側の岸壁がすばらしい。高さは100メートルほど。
両側を切り立った崖に挟まれた細い入江は、実はさほど狭いわけではなく100メートルくらいの幅もある。これよりも狭ければ、入江の水面は見ることもできなかっただろう。
入江の奥の岸壁の途中からは、フレペの滝が流れ落ちている。川はないので地下水が滲み出しているのだろう。だから水量はあまり多くなかった。雨が降ればまた違うのだろうが、あまり水量の多くないことを逆手にとる知恵者もいる。
誰が名付けたかは知らないが、この滝には「乙女の涙」という名もあるとか。なるほど、涙ならぽたぽたでもちょろちょろでもいいし、上からでなく途中から湧いてもいいわけだ。
この付近の断崖絶壁には、海鳥の生息地もたくさんあるらしい。ここでも鳥の飛ぶ姿はあったが、なんの鳥だかはわからない。
そういえば、“チカポイ”も鳥が多いというような意味があるようだ。
とにかく、ここの岬と海の風景は、背後の知床の山とつながって、なかなかに雄大で見ごたえがある。
しばらくその付近にいて、ゆっくり景色を楽しんでいたら、結構次々と人がやってくるが、一人という人はいない。
すると、眼下の入江沖に遊覧船が現われた。ウトロから出ている知床観光船だろう。これはコースが二つあって、この付近の岸壁をもっと先まで行って引き返すのと、さらに遠く知床岬まで行くのもある。
知床岬までのは、期間も9月までと限られるし、午前出港の1日1便だけなので、この船は近間コースのものが帰ってくるところだろう。…ということが、今回やってきてわかった。
クマは帰りも出なかった。
▼国土地理院 「地理院地図」
44.108049, 143.909666
北海道地方(2014/09/28訪問)
土曜ワイド劇場に出てきそうな立派な崖ですね。
暢気な感じで書かれてますが、熊が出たら洒落になりません。
ご無事で何よりです。
by desidesi (2014-11-14 17:33)
@そうですね、火サス(ちょっと古すぎ?)とかね。^_^_。
でも、低予算で安上がりの製作では、ここまではロケに来られません。(^o^)。
クマは、死んだふりも、この頃ではダメなんだそうで、音を立てるのがいいらしいです。
by dendenmushi (2014-11-15 19:59)