1159 弁天岬=紋別市弁天町1丁目3(北海道)MapionもGoogle mapもYahoo!地図もみんなに無視されている岬は… [岬めぐり]
流氷を見に初めて紋別へやってきたのは、1986(昭和61)年の2月だった。その頃は、岬めぐりも出張のついでくらいしかできず、また主だった岬だけでいいやと考えていたため、紋別に3つも岬があることが意識になかった。もっとも、そのときに見たとしても雪と氷で一面海も陸も区別がつかないほどだったので、どれが岬だかわからなかっただろう。
今では紋別名物になっている「ガリンコ号」も就航する前のことで、どこに泊まったのかも記憶が定かでないのだが、少し高台から港のほうに深い雪のなかを下りてきた。あまりの寒さ冷たさで、足がつってしまったことはよく覚えている。
紋別港はその北側が西から弁天町3丁目、2丁目、1丁目と続いて、港の北の岸壁を構成しているが、弁天岬は1丁目の端、防波堤との付け根のところにその表記がある。
ここは、弁天町3丁目のほうから眺めたところだけにして、バスターミナルへ急がなければならない。
北西方向からみると、港を外海の波浪から守る防波堤が浮かんでいて、その下に岬から北のほうに向いて、か細い砂地のような出っ張りがわずかに突き出ているのがわかる。
地理院地図の細かい表示では弁天岬の表記はそこにはなく、南に延びる埠頭の付け根に“弁天岬”と記している。
伊能図でも岩礁の固まりとして描かれていたこの付近は、築港のためにまるごと下敷きになったとみても差し支えないのだろう。
そして、北に飛び出た小さな砂地の出っ張りは、波の作用でできたものだろうと推測できる。
おもしろいことに、地理院地図以外のネット地図では、弁天岬もこのツノのような砂地の出っ張りも、まったく無視されている。その理由は、それらがみんなZENRINをソースにしているからで、MapionもGoogle mapもYahoo!地図も、みんなこの海岸をツノなんかない、なで肩のように表記している。
ZENRINではよくあることだが、そのくせ、あわせて設けている写真(航空写真・衛星写真)のほうには、そのツノがはっきり写っている。こんなばかげた状態を長年放置しているのは、無料のネット地図とはいえなんとも変である。
地理院地図以外の他のネット地図が、弁天岬を表記しないのは、そこがもう岬の実態をなくしてしまっているからだ、という論拠も成り立つかも知れないが、そこまで考えてのことではなかろう。
弁天町1丁目は省略して、バスターミナルがあるとおぼしき方向に歩いて行くと、道がどんどん上り坂になる。紋別公園まで行かなくとも高台はあるわけだ。その上から見ると埠頭の赤い灯台が見える。その手前の、ちょうど塔と建物が重なっている付近が弁天町1丁目になろう。
広い道路から右手の山のほうに、大きな鳥居がある。ここが厳島神社である。厳島神社については、「1156 沙留岬」の項でもふれたようなことだろうが、広島にいるときにはこんなに全国あちこちに厳島神社があろうとは思いもしなかった。
他のネット地図では、認知されていない弁天岬だが、紋別バスターミナルに掲げられている観光案内地図では、砂洲のツノこそ描いてないが、赤灯台のある防波堤と埠頭の内側にちゃんと明記しているので、まったく忘れられているわけでもなさそうだ。どうやらそこも流氷を見るポイントになっているらしい。
紋別バスターミナルから、今度は北紋バスの遠軽行きに乗る。途中、湧別を経由する1時間半のバス旅となる。
次の岬は、サロマ湖になるのだが、これがまた大変なんだ…。
▼国土地理院 「地理院地図」
44.355258, 143.363432
北海道地方(2014/09/28訪問)
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