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1154 音稲府岬=紋別郡雄武町北雄武(北海道)完成しなかったオホーツク縦貫鉄道の怨霊?のせいにしてはいかんけどね [岬めぐり]

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 郡界から9.5キロも南東へ下ると、こんどは音稲府(おといねっぷ)岬である。その途中には、枝枝幸(えだえさし)という集落もある。だが、ここは枝幸ではなくて雄武(おうむ)。雄武の中に枝幸があるとすれば、これはかつての飛地の名残か、と思ったりするがわからない。
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 北海道の地名のほとんどは、アイヌの名がそのまま残っていることが多いのだが、アイヌには文字がなかったため、和人がそれを聞き取ってカタカナで表わしたり、漢字を当てたりした。けれども、それら地名由来をいちいち追いかけていたのでは、岬めぐりではなく、アイヌ語源めぐりになってしまうので、適当にしておかなければならない。
 …のだが、“おといねっぷ”には同じ読みで“音威子府”というのもある。そこは北海道内で最も人口の少ない自治体、というので有名なところらしい。宗谷本線の音威子府からは、浜頓別まで廃線になった天北線ルートがあった。読みや語源はそこと同じらしいのだが、互いの関係は不明である。偶然の一致で読みだけ一致したのか。
 「オ・トイネ・プ」は「河口が泥で汚れている所」の意味があるのだそうだが、河口って言ったって、音威子府のほうは山の中。河口なんかないじゃないか。おかしい、と思った。
 …のだが、支流の音威子府川が本流の天塩川に合流するところを指しているという。確かに、音威子府はそのふたつの流れがひとつになるところではある。
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 で、音稲府のほうは、三本に分岐する支流を合わせた音稲府川が、岬のそばでオホーツク海に注いでいる。その河口付近では、岬の西の低湿地帯の中を、くねくねと蛇行しながら洪水などで何度も流れを変えてきたような形跡がある。これなら、河口が泥水になることも多かったのか。
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 現在の湿地帯には、水生植物らしき植生がぎっしり生えているようなので、これなら逆に水の浄化に役立っているんじゃないのかな。
 河口の東がフタコブラクダのようになっていて、西のほうに音稲府岬と表記があり、東のほうには道が一本と若干の建物もあり、灯台の記号もついている。このフタコブにわたって、道内のあちこちにもある「ウエンコタン」との表記もある。この岬の台地には、かつてはアイヌの村があったのかもしれない。
 フタコブの幅は1キロ以上あって、これがまた国道からも1キロ以上離れているので、これも車窓からはなかなかうまく全貌を望む、というわけにはいかない。
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 ここでも往復で写真を撮るには撮ったのだが、なぜかここでも一様にぼけてしまっている。いかにオートでカメラ任せとはいえ、もう少しはカメラ操作をちゃんとマニュアルをみて会得すべきなのかもしれないね。
 走るバスの車窓写真の撮り方についても、なにかもっとうまい方法があるのかもしれんしなぁ。(とかいいつつ、結局やらないんだよね。)
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 音稲府岬には道もなく、あまり人が立ち入るようなところではないらしい。盛り上がった植生にぎっしり覆われたその形も、なにやらユニークだ。
 ブレブレの写真は、音稲府川の河口付近の向うに、音稲府岬を捉えたところと、帰りに音稲府橋で音稲府川を渡るところである。こんな写真でも、周辺の雰囲気を捉えるくらいの役には立っているので、あえてボツにしないで載せたりしている。
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 牧場もありウシさんも広い放牧場に悠々と寝そべったりしているこの付近こそは、でんでんむしがこどもの頃にみていた地図では、線路がつながっていないで、途中で途切れていた、と「1151 目梨泊岬」の項でもふれている。こどもごころにも、なんでここだけ切れているんだろうと思ったので、忘れずに覚えていた。まさに、その線路の途切れていた部分が、ここだったのである。それから60年以上も経って、その現地でその記憶を呼び覚ますことになろうとは…。
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 岬で言うと、音標岬、音稲府岬の沿線、枝幸=雄武の間がそうだったのである。ここらでやたら写真がぼけてしまうのは、ひょっとするとこの鉄道路線の怨霊のせいかもしれないなぁ。
 「そうだ! きっと、そうだ」と思わせるくらい、実現開通間近までこぎ着けておきながら、結局途中で工事中止、そしてついに開通することなく廃線にされてしまったこの路線の怨念は、決して小さいものではなかろう。計画倒れというのならまだしも、実際に線路まで敷いて駅まで決めていたのであるから…。“北見音稲府”、それがここにできるはずの駅の名前だった。
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 現在でも、この沿線ではそうした“遺跡”があちこちに残っているらしい。
 廃線オタクでも鉄道マニアでもないでんでんむしは、それ自体を訪ね歩くほどの興味はないが、地域の歴史としての興味がある。
 もう一息で、念願の鉄道開通、そうなればオホーツクを縦貫する鉄道網が完成するはずであった。その直前で廃線処理されてしまった、恨みの鉄道路線名は、「興浜線」という。
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▼国土地理院 「地理院地図」
44.628689, 142.927084
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dendenmushi.gif北海道地方(2014/09/27訪問)

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タグ:北海道
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コメント 2

desidesi

すごいです。
いったい日本中にいくつ岬があるのでしょう?
by desidesi (2014-10-15 15:59) 

dendenmushi

@desidesi さん、左側の欄の下のほう、「いまなんじ?」の下に「日本の岬・崎・鼻データベース」というのがあります。その最初の項目ボタン(青文字)をクリックしていただくと、表が見えます。いちおう、数えたんですが、やはり少しばかりブレがあるので、「約」ということで…。
たまに、desidesi さんのように、「すごい」と言ってくださる方があると、もう少しがんばろう、という気持ちになります。
ありがとうございます。

by dendenmushi (2014-10-15 16:20) 

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