1125 台ヶ鼻=佐渡市米郷(新潟県)溜池が点々とある台地の端っこに立つ灯台のそばがひどいことに… [岬めぐり]

前項から、いよいよ二つに分かれている佐渡島の北側の山並に取りついているわけだが、この台ヶ鼻はその北半分の山のうちの南端にあたる。
前項にも書いたが、佐渡金山メインルートは、おそらく沢根から相川へは最短距離の峠越えで往来したと思われる。そのルートは、現在では中山トンネルを抜ける県道31号線で、バスは本線が両津と相川を結んでいる。
本線というだけあって、こちらはいちばん本数も多いが、これには結局乗らずじまいだった。海岸線を走らない本線は、岬めぐりではお呼びでない。
その本線ラインから南西にはみ出した部分を、ぐるりと回っているのが七浦海岸で、ここを走る路線バスが七浦海岸線である。
この部分は山も低くなっていて、台地状の傾斜地が全体を覆っている。その海岸線は、岩礁のでこぼこ地帯で、よく言えば海岸美とも言えるが、白い波が強い風に押されて、絶えず押し寄せている、荒々しいところでもある。
この本線以南の半島では、地理的にも大きな特徴がある。
とにかく川らしい川が1本もない、といってよい(1〜2本はあるというべきなのかな)。山も低く浅い(最高点は150メートルだが、だいたい50〜90くらい)ので、雨水を集め山のなかに貯めることもできない。その範囲は、南北に約7キロ、東西の幅を広いところで5キロほどだから、決して広いとは言えないが、これはめずらしい。
この一角が、ほぼ台地のようになっているので、耕作も行なわれてきたのだろう。「米郷」という地名は、それを想像はさせるものの、そうした水利の便を考えると、どうも好適地とは言えそうにない。
そう思いながら地図を見ると、台ヶ鼻の北側には、点々と溜池があるのがわかった。

台ヶ鼻には灯台がある。この灯台のあるところは、古墳への道を行かず、その右の道を辿って行く。

灯台のある場所は展望もなく、やたらさびしいだけの場所だ。ここが台ヶ鼻かと思えばそうでもなく、地図上でその岬表記がついているのは、前項でふれた台ヶ鼻古墳のある出っ張りのほうだった。

「台ヶ鼻」の名は、この水利の悪い台地の、いちばん南の端っこ、ということからついたものだろうか。
前項にも掲げた空からの写真によると、緑の中に白い灯台がぽっかりと浮かび、その西側は一面木々に覆われた中央に、なにやら四角い人工的なスペースと、そこに至る道だけが刻まれている。

この写真がいつ頃の撮影なのかわからないが、ここが今ではすっかり様変わりしていた。見渡す限り台ヶ鼻の上は山も木も取り払われて平にならされ、しかもまだその跡地の整備に着手されず、ほおったままにされている。

それだけならまだいいのだが、この日は西寄りの風が強く、その広い土がむき出しになった上を砂塵を巻き上げながら、吹き付けてくる。

台ヶ鼻へ入ってくるときもそうだったのだが、出るときもまたたいへんで、しばらく砂塵がおさまるのを待っていた。
大砂塵も、写真に撮ろうとしても、なかなかうまくは撮れない。

その砂まじりの風の中に入ると、息もできず、眼も開けていられない。顔にピシピシと砂が当たるので痛い。

道の手前の凹んだところから、カメラを突き出して撮ってみたが、やはりこれではなんのへんてつもなく、その様子は写らない。

風は収まりそうにないので、タオルで顔を覆い、砂が巻き上がる合間を縫って大急ぎで通り抜けた。

入口のゲートは閉まっていて、その脇の隙間から人間は出入りできるのだが、そのゲートの鉄柵についている看板によると、どうやらパラグライダーかなにかの施設をつくるつもりのようだ。
しかしなあ…。なんだろうねぇ、これは…。

37.965081, 138.254875




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