1103 鴻ノ瀬鼻=佐渡市松ヶ崎(新潟県)砂洲が三角地帯をつくってできたような岬には古そうな集落があった [岬めぐり]
鴻ノ瀬鼻(こうのせはな)は、佐渡交通バス東海岸線の実質的な終点である岩首から、南に2.6キロのところにある。この間、目立った集落はなく、崖と海の間を細い道路がやっと通っているように、地図からはみえる。だから、バスもなるべくなら行きたくないところなのか。
東強清水の弁天岬から松ヶ崎の鴻ノ瀬鼻まで、10キロ以上に渡って岬不毛地帯が続くのは、ほぼ直線という出っ張りがあまり目立っていない地形に加えて、岬に名をつけて意識しなければならない住民が少ない、ということもあるのではなかろうか。
松ヶ崎へは岩首を通らず、南の多田までバスで来て、そこから歩いている。折から、雨がだんだん本格的になってきた。
松ヶ崎というのも、元々は岬の名前であったのかもしれない。現在では、集落の名が松ヶ崎で、岬の名は鴻ノ瀬鼻になっている。岬の名は、陸地側の尾根や山の張り出しに着目してつくものと、海岸の岩礁などの様子からつくものと、大きく分けられるようだ。鴻ノ瀨鼻は後者で、ここには瀨があったものだろう。この項の見出しでは、“砂洲”ととりあえず書いてしまったが、よく考えてみると、川もないのでここは堆積砂洲ではない。岩のある瀬が広がり、そこに波浪の働きで砂地ができたものだろう。
350メートルのピークから南に落ちてくる尾根の下に、三角の平地がくっついている松ヶ崎は、その先端部に確かに松の林がある。一帯が公園やキャンプ場になっているそこには灯台も立っている。
カギ型に折れ曲がる一筋の街道に開けたような松ヶ崎の集落は、なかなか独特の雰囲気をもっている。
黒っぽい板張りの家が並ぶ道筋には、これも昔からの伝統を伝えようという主旨なのか、表札がわりに各々の屋号のようにして「文兵衛」とか「平兵衛」とか呼び名を掲げている。古くから栄えてきた名残を偲ばせる。
それにしてもと不思議なのは、この集落はなんでここにでき、主にどんなことで生計を立ててきたのか、である。街道筋とは書いたが、縷縷述べているような道であるから、街道や宿場ではない。お寺も神社もあるが門前町でもない。田畑もないので農業はムリである。いちばんありそうな漁業にしても、ここにはそれらしい漁港もないのである。
37.920356, 138.49931
信越地方(2014/05/15訪問)
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